武蔵伝説

無二斎の兵法を誹謗する

弁之助(武藏の童名)は無二斎の兵法に対しても、しだいに批判がましくなった。
ある日、無二斎が楊枝を削っていると、弁之助が一間隔たところに座った。
すると、突然、無二斎は、楊枝を削っていた小刀を手裏剣にして弁之助に向かって投げつけた。
しかし、弁之助は面をかわしたので、小刀は背後の柱に突き刺さった。
無二斎は、甚だ怒って、「日ごろからわが兵法を誹謗するので、手裏剣で耳の端を切って思い知らせてやろうと
手裏剣を投げたが、面をそむけて難を逃れる。お前は、近頃、様子がおかしい。」と勘当し、家を追い出した。
弁之助が九歳の時のことである。


手裏剣を投げられ勘当されるって、いったい何を言ったのだ。