森岡正博さんの「脳死・臓器移植」専用掲示板過去ログハウス 2000年04月28日〜05月17日

過去ログハウス入り口


脳死を「生」とすることについて 投稿者:てるてる  投稿日:05月17日(水)18時32分30秒

脳死を「生」として、生体間移植に近い扱いにするほうがいいと思ったのですが、
そうすると、自分が植物状態になったら全身麻酔をかけて臓器を摘出してほしい、
という人も現われるのではないか、と心配になってきました。
植物状態の人からの生体間移植はしてはいけないと思います。
しかし、何年も植物状態が続いたら臓器提供させてほしい、という人が現われたら?
脳死と植物状態とは違うのだ、と言っても、自分が生きるということにおいては、
どちらでも同じだ、自分で自分の生き方・死に方を決めたい、という人が現われたら?
脳死を生として扱って、死に方の選択肢として臓器提供を示すのは、そういう考え方を
誘発するかもしれない…

てるてるさん 投稿者:森岡正博  投稿日:05月17日(水)08時41分23秒

脳死状態が1ヶ月以上も続く場合の医療費をどうするかというのは、大問題です。
「脳死の人」では、それについて、まだ深く考えていませんでした。ただ、脳死のケアは自己負担にせよという誰かの意見は紹介しておきましたが。この点は、これから考えないといけなくなります。脳死の人を維持した状態からの血液の採取などについては、私は賛成できません。しかし、海外では、臓器のみならず、組織もまたがんがん採取しているわけだし、日本でも例の厚生省の組織ガイドラインができちゃえば、どうなるやら。
粟屋剛さんの「人体部品ビジネス」(講談社メチエ)を読んでいますが、世界の実状は壮絶です。

脳死から心臓死への間 投稿者:てるてる  投稿日:05月16日(火)23時44分17秒

『脳死の人』(福武文庫)の63ページに、「医療の中心の推移」という図があって、
脳死判定後、三つに分かれています。
脳死判定後は、医療の中心は、家族の看取りを援助することに移る、ということですが、これは、いわゆる、終末期医療に移る、と言ってもいいのでしょうか?
それで、その三つの方法というのは、
ICUの中で心臓停止まで脳死の人を看取る。
ICU控室や一般病室で脳死の人を看取る。
ICUの中で家族が看取りを終えた後、脳死の人を手術室へ移して臓器移植をする。
そして、脳死の人を看取るための医療費は、一定限度までは公共で負担すべき、とされています。
私は、基本的には賛成です。
しかし、
ICUの中で心臓停止まで脳死の人を看取る。
という方法については、妊婦や乳幼児の場合は、公共で医療費を負担すればいいと思いますが、そうでなくて、脳死状態が1ヶ月以上も続く場合は、自己負担に切り替えるか、または、輸血用の血液の供給などのような脳死身体の利用に提供するか、したほうがいいように思うのですが…

黒木板と宮台ウェッブ 投稿者:てるてる  投稿日:05月15日(月)22時24分43秒

「黒木のなんでも掲示板2」とmiyadai on the WEB とに臓器移植法改正案のことを投稿しました。
黒木板では、子供の臓器提供について、疑問が大きいようです。死の教育についても。
臓器移植法の改正に合わせて急いで行なうのはいけない、ゆっくりしっかり準備してから行なうべき、という意見があります。
ということは、死の教育が行なわれていない日本で子供の臓器提供を行なうのは、やめたほうがよい、ということかな?
miyadai on the WEB では、町野案がそのまま通るのはよくない、という意見が出ています。

おじゃまします 投稿者:カエル  投稿日:05月15日(月)01時57分45秒

森岡さん講演会レポートをアップしてみました。テーマは脳死臓器移植でしたよ。
つたないレポートですが、どうぞ、みてみて下さい。

http://www.geocities.co.jp/CollegeLife/4728/
http://www.kinokopress.com/inko/jp/noushi02.html


彼女にふられた 投稿者:White  投稿日:05月14日(日)21時25分19秒

ので、気晴らしに、このページを覗いていて、とてもわかりやすい意見にであいました。

わたくし脳死移植に関する全くの素人です。

脳死移植という方向からのアプローチ、ものすごく気が重いです。       
だから、この議論に参加するには、相当多方面の知識を吸収する。もしくは、
実際ドナーもしくはレシピエントを身近に体験する。とかでもない限り、
軽率な意見は述べられないなと、考えていました。

だから、この掲示板も時々訪問させてもらってはいるけど、流し読みしかしていませんでした。

そして、目からうろこ的意見に、出会いました。

テーマは脳死移植ではありません。
脳死からの、心臓死への、選択方法にすぎません。
非常に単純です。

もし、現在も、脳死移植という、概念が、地球上になかったと、考えてください。
多分脳死を死とする、という概念も発生していなかったのではないでしょうか。
そして、脳死のままで、半永久的に、心臓を動かし続ける技術だけが進歩してきた
と、します。

脳死からの、心臓死への確定方法の生前選択は、必ず必用になるとおもう。
その、選択条件の一つとして、初めて脳死移植が、登場するのです。

ものすごく、すなおに、受け入れられます。
ドナーカードとかよりも、ずっとスマートな、自己決定カードです。
みんな、当然考えなければならない、選択です。
死の、決定方法の選択とかんがえれば、率直に考える事ができます。
その選択肢のひとつに、臓器提供による死がある。

全く、感覚だけの、意見です。
わたしは、この問題の、全くの素人だし、ドナーカードも、もっていません。
というより、自分自身どのようにアプローチしていいかも、わかりませんでした。

だから、目からうろこ、と思いました。


代諾者 投稿者:yukiko  投稿日:05月14日(日)03時35分40秒

手もとの「遺伝子解析研究に付随する倫理問題等に対応するための指針についての報告書(案)」に、「代諾者」という項目があります。

流産となりましたが、「ヒト組織の利用についての報告書案」にもすでに「代諾」という言葉が使われています。「代諾」は本報告書案において定義づけられるようなので、投稿しておきます。臓器移植法でどうなるかわかりませんが。

「(2−9)代諾者
試料等の提供を求められた本人が、インフォームド・コンセントを与えるかどうかを決めることができない場合に、その人の代わりに決める人をいう。試料等提供者本人が死者の場合には遺族をいう。
 なお、代諾者は、あくまでも試料等提供者の人権保護の観点から、その人の代わりに同意するかどうかを決める人であり、代諾者自身の遺伝的問題については、別途の対応の考慮が必要である。
 (注)代諾者は、任意後見人、親権者、後見人、保佐人、試料等提供者本人に近しい人
  (配偶者、成人の子、父母または配偶者をいう)。または試料等提供者本人に近し
  い人に準ずると考えられる人の中から選ばれるのが一般的と考えられる。しかし
  代諾者の選定は、その試料等提供者が置かれている状況によって個別的に判断さ
  れるべきであり、この指針で一義的に定義しない。」

代諾については(4-1-6)から(4-1-6-3-2)までA4一枚ほどの細目もあります。
細目の但し書きで、
「(注)代諾者の範囲についての上記(細目)の取り扱いは当面の考え方であり、
  民法の成年後見人制度の運用の状況を勘案して、適宜見直すことが必要である。」
と書いてあります。


脳死身体の利用 投稿者:てるてる  投稿日:05月14日(日)01時46分26秒

森岡さんの「脳死の人」を読んで、脳死後の臓器移植は、脳死身体の利用の一つである、
と認識しました。森岡さんの本では、脳死の倫理問題とは、脳死の人と他の人との「共生」をいかに確立するか、という問題である、とされていると思います。「共生」を確立するというのであれば、法的には、脳死を「生」として扱うほうがよいと思います。

人の死は、従来通り、心臓死であり、それが法的な死である。

という前提に基づいて、

現代医学では、脳死から心臓死へのプロセスに介入して、時間を引き延ばすことができるようになった。それゆえ、その時間を、どのようにして終わらせるかを、生前に本人が選択できるようにする。

としては、どうでしょうか。

そして、次の三つの選択肢を提示する。

人工呼吸器をはずして、死ぬこと。
人工呼吸器をつけたまま、移植用の臓器を摘出することによって、死ぬこと。
人工呼吸器を付けたまま、身体を輸血用の血液の供給などに利用しつつ、
心臓が停止するのを待つ。

ひとが、生前に、どの選択肢も選ばずに、脳死状態になった場合、他の人は、
上記の三つのうちの一つめ、

人工呼吸器をはずして、死ぬこと。

だけを代行して選択できる。

非常に幼い人の場合、たとえば、現行の臓器移植法で脳死判定を行わないとしている6歳未満の人の場合、もし、臓器移植法が改正されて脳死判定が行われるようになったら、保護者が、

人工呼吸器をはずして、死ぬこと。

の他に、同じように幼い人の命を救うためにだけ、

人工呼吸器をつけたまま、移植用の臓器を摘出することによって、死ぬこと。

を、例外的に代行して選択できる。

以上の考え方は、いかがでしょうか。

臓器移植以外の脳死身体の利用については、別途に法律の条項で決める必要があると思います。森岡さんの著書にあるように、脳死の人の尊厳を傷つけないものでなければならないと思います。

心臓死後の臓器提供については、角膜と腎臓の提供について行われてきたように、
生前に本人の拒否の意思表示がなければ、遺族の意思に基づいて行なってもいい、
としてもよいように思います。


ドナーの人格権 投稿者:てるてる  投稿日:05月13日(土)20時53分28秒

ドナーの氏名をレシピエントに伝えることについて
これは、ドナーの人格権の保護という目的で必要と言えるのではないか、と思います。
同時に、レシピエントの氏名を、ドナーの遺族(私の対案のなかでは保証人)に伝えることも、ドナーの人格権の保護のために、必要な処置として、認めることができるのではないかと思います。

脳死と心臓死との違いについて
脳死と心臓死とを並べて両方とも「死」の側に置くことには無理があるのではないか
と思えてきました。
脳死状態は、人工的に心臓を動かすことによって、かなり長い間維持することができます。

これはもう、「生」の側においたほうがいいのではないか。
だから、心臓死後の臓器提供は、死後の臓器提供として扱って良いが、脳死後の臓器提供は、生体からの臓器提供として扱った方が良いのではないでしょうか。
現行のドナーカードでは、脳死と心臓死とをならべて、それぞれ、臓器を提供してもよいかどうかを質問しています。
しかし、本来は、脳死後、どのようにして死ぬか、という質問と、それとは別個に、心臓死後の臓器提供をしてもよろしいか、という質問を設けるべきではないでしょうか。
そして、脳死後の心臓死の迎え方には、次の三つの選択肢を提示できるのではないでしょうか。
人工的に心臓を動かすことをやめて、死ぬこと。
人工的に心臓を動かしながら、移植用の臓器を摘出することによって、死ぬこと。
人工的に心臓を動かしながら、身体を輸血用の血液の供給などに利用し、いずれは、
心臓が停止して、死ぬこと。
最初の選択肢は、健康保険を適用できるし、後の二つは、脳死の人の家族などに経済的な負担を一切かけずに行うことができると思います。


ドナーとレシピエント 投稿者:佐川弘之  投稿日:05月13日(土)11時17分09秒

みなさん、こんにちは、佐川です。

森岡先生,Felixさん、フォローありがとうございます。

>まだ移植を受けていないレシピエント候補者の場合は、ドナーになる可能性は
>あるかもしれませんね。でも、治療を続けてきたわけだから、きびしいかも。

やっぱりそうですよね。臓器移植を受ける前も受けた後も、ずっと治療が続いているわけだからか、その他の臓器も身体全体も相当な負担を強いられているんですよね。

そういう意味でも、ドナーとレシピエントは非対称になるのですね。

臓器移植のニュースを見ていて気が付いたのですが、ドナーになった方の年齢って、以外と高齢なんですよね。それで、交通事故などの外傷によるものじゃなくて、脳疾患の方からの臓器が移植されているんですね。
たぶん、交通事故による脳死者からの臓器移植は増えなくて、脳疾患による脳死者からの臓器移植がメインになるような気がします。
で、脳疾患の治療も進歩するわけですから、ドナー不足は、さらに深刻化しそうな気がします。

それでは、佐川でした。


死後の臓器移植と生体間の移植 投稿者:てるてる  投稿日:05月13日(土)04時24分48秒

現行法を根本改訂するとすれば、そのときは、現行法が、生体間の移植を扱っていない、という点に触れることになると思います。
ドイツやスウェーデンなどの臓器移植法は、死後の臓器移植と生体間の臓器移植と、両方を扱っています。
日本の臓器移植法では、生体間の臓器移植を扱っていないために、生体のドナーの権利が法的に守られない、という批判があります。

私は、
医学的には脳死と心臓死と両方あって、臓器移植はそのどちらの医学的死の状態でもできるが、法的な死は心臓死で統一する。
という考え方はできないだろうか、と思います。

脳死後の臓器提供では、ドナーの心臓そのものは、レシピエントに移植されて「生き続ける」が、ドナー本人は、心臓をなくして、死んでいる。
それを法的な死とする。脳死は、医学的には死であっても法的には死としない。
という考え方は、どうでしょうか。

心臓死後の臓器提供では、これまでどおり、臓器を摘出した後ではなく、その前の、心臓が止まったときを法的な死とするのですが。

現行法のもとで、心臓死後の臓器提供では、角膜と腎臓は、本人の生前の承諾がなくても、遺族の同意だけでもいいとされています。
現行の臓器移植法の施行前から、角腎法のもとで、この方法が今まで長く行われてきたので、現行法のもとでも、角膜と腎臓とは、経過措置として、そのままのやりかたが踏襲されています。
それによって目の病気や腎臓の病気が治った人々がいるのだから、この方法はもう、このままでもいいかな、とも思います。

しかし、本当は、心臓死後の角膜と腎臓の提供も、生前の本人の承諾がなければだめ、としたほうが、整合性がある、とも、思います。

このような考え方をするのは、先の、ドナーとレシピエントとの直接の交流を図るという考え方と同様に、死後の臓器移植の取扱いをできるだけ生体間の臓器移植に近づけよう、それによって、死後の臓器移植の匿名性がもたらすと予想される、ある種の、社会的なモラル低下を避けよう、という目的があるのですが…


死亡時刻 投稿者:森岡正博  投稿日:05月13日(土)00時40分42秒

現行移植法では、「死体からの摘出」という構成をとっているので、摘出の前にその人は死んでいなければなりません。現行法を根本改訂するのならば、そこはクリアーできるかもしれません。

レシピエント 投稿者:森岡正博  投稿日:05月13日(土)00時38分56秒

まだ移植を受けていないレシピエント候補者の場合は、ドナーになる可能性は
あるかもしれませんね。でも、治療を続けてきたわけだから、きびしいかも。

資料紹介のページの更新 投稿者:てるてる  投稿日:05月12日(金)21時20分34秒

資料紹介のページに、次の3冊を追加しました。
小松美彦著「死は共鳴する」
池田清彦著「臓器移植 我、せずされず」
須藤正親・池田良彦・高月義照著「なぜ日本では臓器移植がむずかしいのか」

http://www.interq.or.jp/earth/elephant/transplantbook.html
http://www5f.biglobe.ne.jp/~terutell/transplantbook1.htm


死亡時刻の決定について 投稿者:てるてる  投稿日:05月12日(金)18時38分12秒

脳死と心臓死と二つの死を認めると、死亡時刻の決定に困る、とききますが、
私には脳死が死であるとは思えません。
脳死状態から臓器を提供する人の死亡時刻は、臓器を摘出し終わったとき、
と決めることにはできないのでしょうか?

なれないのでは? 投稿者:Felix  投稿日:05月12日(金)17時01分31秒

最近、翻訳プロジェクトに顔を出しておりますが他のところにも侵出しつつあるFelixです。

 さて、
>レシピエントはドナーにはならないのでしょうか?
>レシピエントだって脳死状態になる可能性は十分にあるわけですよね。

あやふやな記憶で申し訳ないのですが、確か、これはなれないというのを読んだ覚えがあります。それは、レシピエントになったということは移植を受けたことになりますよね?
そのときには免疫系の働きを無理やり薬で押さえて臓器を身体に根付かせるわけで、結構組織に無理をさせているのです。もはや、もういちどの移植には耐えられない臓器になってしまってるってことです。
どこで読んだのか、今すぐは思い出せませんが。。。


臓器移植専門委員会 投稿者:yukiko  投稿日:05月12日(金)16時00分51秒

厚生省で臓器移植専門委員会が行われます。

時    5月29日(月) 15:00〜17:00
ところ  厚生省 共用第23会議室
担当   医・臓器移植対策室

傍聴手続きなし、直接いけばいいそうです。


臓器移植に5000万円 投稿者:佐川弘之  投稿日:05月11日(木)22時58分22秒

みなさん、初めまして、佐川と申します。

私の住んでいるところの隣町の高校生(心臓病の)が、ドナーが現れるのを待っていたが、これ以上待つことが出来ないとしてアメリカで心臓移植を受けようとしています。
渡米しての心臓移植には、5000万円以上掛かるために募金によって負担を軽減しようというわけです。

ドナーとレシピエントとの接触について議論が続いていますが、海外での移植には、
ドナーへの想像力を遮断する働きが強いように思います。

それで、ふと思ったのですが、レシピエントはドナーにはならないのでしょうか?
レシピエントだって脳死状態になる可能性は十分にあるわけですよね。

『ドナーになる意志がある人のみがレシピエントになれる』というのはどうですかね?

それでは、佐川でした。


移植コーディネーター 投稿者:てるてる  投稿日:05月09日(火)20時42分43秒

森岡さん、修正案をアップしていただき、ありがとうございました。
きのう、アップしていただいた分を、すぐにまた直したので、きょう、また新しくアップし直していただきました。何度もおてまをおかけしてすみませんでした。

ところで、現在発売中の、「PRESIDENT」5月29日号に、脳死状態からの臓器移植の国内2例目の方の遺族の手記が載っています。
「脳死ドナーとなった息子よ」というタイトルで、ドナーとなった方の父親の手記です。
ドナーとなった方は30代の男性で、生前、ドナーカードを両親に見せて、ドナーとなる意思があることを話しており、妻も署名していて、二人とも、ドナーカードに臓器提供の意思があることを表示していたということでした。

息子さんがドナーカードを両親に見せて話したのは、脳梗塞で病院に運び込まれる三日前のことだったといいます。

そんなことがあるんだな、と思いました。

息子さん夫婦も御両親もクリスチャンで、特に息子さん夫婦は海外での生活経験があり、ドナーとなることを夫婦で話し合って決めてありました。息子さんの妻は、患者は感覚がなくなっても聴覚は最後まで残るときいていて、脳死状態となった夫にカセットでゴスペルを聴かせながら世話をしました。

コーディネーターは、やさしい心のこもった態度で接してくれたようです。
コーディネーターを呼ぶ前に、医師は、患者がドナーカードを持っていることを知っていたし、患者の家族のほうは、医師から聞かれる前に、自分たちのほうから、患者にはドナーになる意思があったことを伝えています。
それでも、患者の家族は心が揺れ動き、医師がコーディネーターを呼ぶと言った後で、看護婦さんが、やめることもできますよ、と家族に伝えています。

今の臓器移植法では、本人が臓器提供の意思表示をしていても、家族が同意しなければ、とりやめなければなりません。それには私は反対なのですが、PRESIDENTの手記を読んでいると、家族の気持ちをくんで、とりやめることもできる、という選択の余地があることもたいせつかな、と思いました。

ドナーの父親の手記では、レシピエントと直接に接触することはできないが、コーディネーターを通して、レシピエントから感謝の手紙をいただいた、と書いてあります。
レシピエントとの直接の接触がないということについて不満は書いていませんが、もし、直接の接触があったとしても、それがいやというわけではないように、私は感じ取りました。
手記全体から、息子さんの遺志を生かし、レシピエントが元気でいてくれることが、慰めになっているように受け取れました。

マスコミの報道のことも書いてありましたが、病院で手当たり次第に声をかけていた、とのことで、そこには怒りを覚えました。


アップ 投稿者:森岡正博  投稿日:05月08日(月)22時09分28秒

てるてるさんの最新バージョンと、puddingさんの傍聴記を移植法ページにアップしました。

ちょっとおひさしぶりです 投稿者:てるてる  投稿日:05月06日(土)13時15分36秒

> 森岡さん
また、修正案を送りました。
ここの掲示板で少し前から議論していた、ドナーとレシピエントとの交流について、
移植コーディネーターの仕事として、入れてみました。

> 翠さん
> 本性を有していることと自己決定することは、別の次元の問題だと私も思います。
そうですよねえ! それが本性だからそう自己決定している、というのは何か言葉の矛盾のような気がするんですが。もっとくわしくじょうずに言いたかったのに言えなかった。自己決定という言葉の使い方は、宮台真司さんにきくといいのかな…?

>puddingさん
「ヒト組織の利用」の審議会の報告、ありがとうございます。
ヒト組織の利用でも、臓器移植でも、そのほかの先端医療でも、いろんなことができるようになって、これまで治らなかった病気が治るようになるのは、すばらしいと思うんですが、そのための方法とか手段とかが、誰かを踏みにじることにならないようにするために、厳しい法律が必要なんだろう、と思います。
ぬで島さん、審議会を傍聴しようとしたのに、できなかったのか…。残念。


審議会のメモ 投稿者:pudding  投稿日:05月01日(月)23時13分51秒

4月28日の「Aヒト組織の移植等」の審議会のメモです。記録は私個人のメモをもとに起こしており、発言内容は要約になりますことをお断りいたします。

1、報告書案
委員)この報告書案は、臓器移植についての議論がある最中でどうしても出さなければならないものなのか?専門委員会としてはどう思うか?

専門委員会)現場がバラバラなので、今の時点で方向性を出したいのでできるだけ早くやりたい。ただ私個人の意見ではない。私は現場の声をまとめて、上に上げるだけだ。

2、情報公開
委員)5名の議員の要望書に「『ヒト組織の移植等へのあり方に関する専門委員会』は限定的な公開」と指摘された。専門委員会の傍聴人数などの記録を見せて欲しい。私も厚生省のHPを見ているが、インターネットでの公開状況は十分とは言えなかったのではないかと思う。

厚) 「ヒト組織専門委員会」の傍聴や、インターネットでの公開はこの審議会と同じ手続きでやった。傍聴人数が一人か百人だったかで公開性を判断されては困る。

委員)「限定的な公開」ではなく「全面的公開」をやったのであれば、議員に抗議しなければならないのでは?

厚) …。

3、組織採取する医者と移植医
委員)現状では、組織を採取する医者と移植医が同一人物であることが多いと思うが?

専門委員会)そういう現場にはそれはやってはいけないと私は言いたい。組織バンクは、同一病院内の別組織。組織バンク事業の移植がはじまったら、組織採取する人と移植する人が同じではいけない。臓器移植の関係もある。

委員)「ヒト組織の移植等」の「等」とは?
   
専門委員会)@組織の移植と、A使わなかった組織をドナーの同意がある場合に組織バンクの移植医の研修に使用すること。今のところは。

委員)組織とは?

専門委員会)組織について、臓器よりニーズが高く、どの組織が必要だと限定することはできない。ほとんど。たくさんいる。

委員)なぜ今「脳死」についてやるのか。(いや、いい。)
    
議長)また次回も引き続きやる、ということで。

                  *

審議は15時05分くらいから16時まで。
私の記憶では「ドナーの意思表示を原則とする主義」など5議員の具体的要望(1)〜(4)に関し、つっこんだ意見交換は行われなかったように思います。


puddingさん 投稿者:森岡正博  投稿日:05月01日(月)19時40分06秒

わかりました。たぶん来週の連休あけになると思いますが、やっておきます。
ありがとうございました。

下のレポートを今、読みなおしたら 投稿者:pudding  投稿日:05月01日(月)18時46分59秒

めちゃくちゃ間違ってましたね、ことば。会席(=解析)、食堂(=食道)…。
会席料理審議会か。ビール飲みながらキーボード打つんじゃなかった…。
すみません、そういう間違いも思いっきり訂正しといてください。
ご迷惑おかけします。(--;) m(__;)m

どうぞ 投稿者:pudding  投稿日:05月01日(月)18時20分39秒

どうぞ、ご掲載下さい。
「てにをは」は適当に訂正してください。

puddingさん 投稿者:森岡正博  投稿日:05月01日(月)10時15分21秒

厚生科学審議会の報告、ありがとうございました。どんなことが話し合われたのか
これで、情報公開になりましたね。「要望書」と「案」については、なるほど、
そういう動きになっているのかというのが、よくわかりました。

これをこのホームページの移植法改正案ページに再掲載してもよろしいでしょうか?


つづき 投稿者:pudding  投稿日:04月28日(金)21時43分28秒

「組織バンク事業を通じたヒト組織の移植等への利用のあり方について(案)」の要旨

1、@現状
  ヒト組織(皮膚・骨・靭帯・心臓弁・血管・鼓膜・耳小骨等)は、現在医療機関の組織
  バンク事業を通じて、事実上、移植のために利用されている。これに伴い、倫理的妥
  当性や、規制、条件が必要である。
A本報告書案では、ヒト組織の移植利用、および、移植に適さない組織についての研究・
  研修(移植医の)を可能とする。

2、今後
ヒト組織の対象を拡大し、臓器・組織由来のヒト細胞の移植等への利用についても行われ
ることが望ましい。また、今後ヒト組織の利用は移植のみならず、研究・開発を通して大きな展開が予想される。民間企業の参入が予想され、産業応用につながる場合、生じる利益の適正な社会への還元を考慮すること。ドナーは組織バンクから財産上の対価をもらってはならない。また、法的枠組みの構築の可能性も視野に入れた検討が望まれる。

3、提供意思の確認
ヒト組織の提供は、生体の場合ドナー本人、死後の提供である場合には遺族の自由意思に
基づく(本人が生前に拒否の意思を表示していた時には家族の同意がっても採取できない)。生体の場合で、ドナーが未成年又は医師の医学的判断に基づきドナー本人が同意能力を欠いていると判断される場合で、
@未成年の場合は親権者、成人の場合には法定代理人が代諾する。
A可能な限りドナー本人に対しても説明が行われ、ヒト組織の提供についてドナーが明示
  的な拒否の意思を表示していないこと。

4、なお、死体とは、臓器の移植に関する法律第6条第2項に規定する「脳死した者の身体」を含む。

                *

おおまかにポイントと思われるところだけ。
ちゃんと確認したい方は、厚生省の大臣官房厚生科学課から報告書案をもらってください。


厚生科学審議会先端医療技術評議部会 投稿者:pudding  投稿日:04月28日(金)20時49分54秒

が、厚生省特別第一会議室で14時から16時まで行われ、傍聴してきました。
結論から言うと、今日出る予定だった「ヒト組織の利用」の指針(ガイドライン)は、
次回に継続審議となり、今日は指針は出ませんでした。

今日の議題
議事1「遺伝子会席研究に付随する倫理問題に対応するための指針(案)」について
〃 A「組織バンク事業を通じたヒト組織の移植等への利用のあり方について(案)」
  について
〃 3「千葉大学医学部付属病院の遺伝子治療臨床研究実施計画(食堂がん)について

入室と同時に受け取った資料集とは別に、議事に入る直前、
 「脳死状態の者等からの組織の摘出の取り扱いについて(要望書)」
という1枚のペーパーをもらいました。要望した人は、全員、衆議院議員で、金田誠一、
北村哲男、海江田万里、枝野幸男、山本孝史の各氏でした。

要望書では、
問題点(要旨)
1、まだ7例の臓器移植の事例の検証が行われていない。現在のドナーカードは組織に
  ついての同意の記載が欠落しており、家族の同意のみで組織提供が行われていること
  は、「ドナーの意思表示を原則とする主義」に反する。
2、行政指針ではなく、立法府によって法的に体系づける必要がある。
3、「ヒト組織の移植等へのあり方に関する専門委員会」は限定的な公開しかされてい
  ない。
4、具体的要望 指針を拙速に了承することがないよう、以下を求める。 
  (1)全く行ってこなかった参考人等からの意見聴取を行うこと
  (2)充分にパブリックコメントを再度とること
  (3)臓器移植法制定時の立法趣旨、立法意思を十分に踏まえた議論のもとに結論を得
  ること
  (4)立法府での法律見直しの議論に配慮すること            以上


厚生科学審議会先端医療技術評議部会の報告
pudding  4月28日(金)

カエルのケロケロレポート 2000年5月×日 森岡正博・脳死臓器移植講演会