てぬぐいの雑記


 思ったり、思わなかったり。
思ったことを記す。


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7    塩梅
更新日時:
2004.05.27 Thu.
浪人街、公然と晒されている入り口看板に肖像権はあるの?
5月25日、青山劇場「浪人街」。
マキノノゾミ/脚本 山田和也/演出
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見せ場は終盤の大立ち廻り。約40名が舞台を縦横無尽に駆け回る。計ったわけではないが、感じとしては20分以上続いたのではないかと思う。
本水を使い、更に大階段や竹林、磔やぐらなど大道具の転換も途切れることなく盛り込まれ、観ていて飽きなかった。
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でもたりない、音が足りない。
BGMは流れている。
しかし、「カキーン」とか「グサッ」とかチャンバラといえば思い出すあの、付きものの擬音が排除されているのだ。
あえて時代劇のひな型を避けた演出なのかもしれないけれど、実際に刀と刀が打ち合ったときには、客席に「コツン」という軽い音が聞こえてきてしまうわけで……。きっと役者はアザだらけ、と思える体を張った激しい殺陣とのバランスを考えると、こりゃ寂しいんじゃないの?
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醤油つけずに刺身食ってるみたい。
合点が行かない客は私だけではないと思う。
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して思うのは「ツケ」。
木の板を敷き、そこに両手に持った板切れを打ち付けるだけの効果音なのだが、歌舞伎やおどりに際し絶大な威力を発揮する。
立ち廻りは云うに及ばず、足音、筋肉の緊張、眼光鋭き視線までも音でデフォルメし伝えてくる。演技とあいまって時に身が奮えだすことさえある。感服すべき昔人の知恵。
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役者の動きと共にツケが決まったときに覚えるような爽快感を、「浪人街」はなぜ与えようとしないのだろう。相乗効果をなぜに嫌う。
だからってこの芝居にツケがほしい訳ではない。
チャンバラだもん「カキーン」て音入れちゃえばいいじゃん。もっと胸の透く芝居になるような気がするけど。
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S席H列・花道?際、\12.500
損をしたとは思わない内容だったけど、「コツン」は頂けない、消化不良。
 
 



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