「んん…んっ…アッ…」
荒い呼吸に混じって上がる小さな喘ぎ。
ピチャピチャという音の合間に、直江の息づかいと卑猥な囁きが交じる。
羞恥と快感に身悶えて、高耶は切れ切れに声を発した。
その吐息と声が、どれだけ甘く男を誘っているのか、きっとあなたは知らない。
滑らかな肌に触れた時の、吸いつくような感触、
そっと撫でるだけで反応する感度の良さに、
歓喜しながら愛撫している男の欲情が、どんなに高まり抑えをなくしてしまうのか、
きっと何もわかっていない。
そうして俺は、あなたに溺れる。
あなたの中で溺れてゆく。
だからもっと声を聴かせて…
あなたの中に俺がいると、もっと教えて…
「直江…なおえっ…ああっ!…直江ぇ…」
啜り泣くように名を呼ぶ高耶を抱きしめて、目尻に溜まった涙の粒を、そっと吸いとる。
潤んだ瞳が直江を見つめた。
この瞳も、この声も、俺だけのもの。
「高耶さん…」
直江の声に、体が奥から熱くなる。
おまえが俺の知らない俺を呼び覚ます。
抑えの効かない獣が、おまえを求めて叫んでる。
おまえの熱で俺を満たしてくれ。
心が、体が、おまえに抱かれて開かれてく。
緩やかに、性急に、
優しさと激しさに翻弄されて、それでもそこにおまえがいる。
おまえを感じる。
だから…
なんど果てても果てない波に抱かれて、高耶は気が遠くなるまで、愛しい男の名を呼んでいた。
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