『熱波ー4』

滑らかな背を、長い指がつうっと撫でる。
触れるか触れないかの繊細な動きに、ひくん。と体が跳ねた。
「ここも感じるの?」
いじわるな囁きが耳に甘くて、高耶は喘ぎそうになるのをグッと堪えた。
直江の舌が、弱いところばかりを攻めてくる。
高耶の全身に散った花びらのような赤い印は、とっくに傷の数を超えていた。

傷のひとつひとつに、自分の刻印を押していく。
それは同時に、高耶の官能を引き出すことでもあった。

感じさせて、啼かせて、
この目で、この耳で、この全身で、あなたをもっと感じたい。
誰も知らないあなたを…
俺だけが知っているあなたを…

「んっ…アっ…あっ…」
あまりの快感に、堪えきれずに声を上げながら、高耶は腕で顔を隠した。
恥ずかしくてたまらない。
それなのに直江は、高耶の腕をしっかり捉えて開かせる。

「目を開けて。あなたの瞳を見せて下さい」

 

人に甘えることを怖れる、美しい獣。
あなたはもっと俺に甘えていい。
甘えてくれればいい。
あなたが欲しいと言ってくれるなら、俺はいつだってこの身を差し出すだろう。
だから…

もっと教えて…あなたを
俺だけに…

 

 
翌朝、直江は残しておいたカ○リーメイトと水を高耶に差し出した。
「サンキュ」
と一口かじって、高耶は不思議そうに直江を見た。
「おまえは?」
「私はもう頂きました。」
にっこり笑う直江を見つめて、高耶はムッと唇を尖らせた。

「ばか。俺に嘘つくんじゃねえ!」
スティックを半分に折ろうとしたが、上手く出来ないとわかると、
高耶は食べかけた反対側を、直江の口に押し込んだ。
「いいから食え。俺も食うから…」
両側からモグモグかじった唇が、ほんの少し触れて離れた。

それはまるで甘いキスのようで

思わず抱きしめようとした直江だったが、
高耶は笑って立ち上がると、ひょいと屈んで直江の唇をペロリと舐めた。
「かけらがいっぱいだ。子供みたいだな。」

お返しに、水を含んで口移しに飲ませてやる。
キラキラ光る海が、夢のように美しかった。

 

 

朝になっても、ふたりだけの時間を楽しんでる直高ですが、何か忘れているような…(笑)
さて、全身についたマーク、どうやって誤魔化すんだ??(爆)

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