「あった! 長秀! これ、これよ!」
「よし! こっちにもあった。間違いない。これは怨将の仕業だ。」
芝生が不自然に千切れた箇所から、微かな波動が出ている。
埋めこまれた石を掘り起こし、二人は顔を見合わせて頷いた。
普通の石に見えるが、これは霊魂を封じて作った霊石だ。
こんなことが出来るのは、換生者か、それに近い力を持った怨将…
やはり思ったとおり、闇戦国が絡んでいたのだ。
もう殆ど霊力が消えている為、どこの誰とまで特定は出来なかったが、
少なくとも、今日ここで霊を調伏していなければ、もっと大きな被害が出たことだけは間違いない。
知らせてやりたい。
早く!
二人は同時に思念を送っていた。
「わかったぞ! 景虎!」
「見つけたのよ。やっぱり怨将だったの!」
飛び込んで来た思念波に、高耶はビクっとして直江から離れた。
「思念波だ。千秋たちが、なんか見つけたらしい。」
言い訳めいた言い方になって、何やってんだと自分で思って赤くなる。
別に何も恥ずかしくないはずなのに、変な動悸が止まらなかった。
「何を見つけた? どこの怨将だったんだ?」
思念波を飛ばしながら、声に出して会話する。
直江の隣で、隠し事みたいな話し方をしたくなかった。
この心を受けとめて欲しいなんて、望んでるわけじゃない。
ただ…
直江の声が、耳に残って響いている。
忘れないで下さい。
あなたの傍には、私がいる。
本当に…本当に、ずっといてくれるなら…
木の枝を揺らして、ザァッと風が吹き抜けた。
冷たさを増した夜風が、背広の裾を翻す。
パタパタと音を立てたネクタイに、ハッとして直江を見つめた。
この感じ…
あれは…おまえ?