『誕生日の贈り物』

その椅子は、既に本人でさえ忘れてしまった遠い過去の町に、今も残されているはずだという。

普通なら、町の名前を高耶が思い出せなくても、
親なり親類なりが覚えているか、役所の記録にあっただろう。

だが高耶の場合は、そう簡単に行かなかった。

その頃、借金に追われていた彼の父親は、妻と別れた後、
親類にも見放され、高耶と妹の美弥を連れて、女の家やアパートを転々として暮らしていた。
当然ながら住所変更の届けも出していないから、役所で調べてもわからない。

だがそれでも直江は、必ず見つける自信があった。
だてに何年もかけて、高耶を探していない。

何年くらい前で、どの季節、どんな風景が見えたかを、
高耶の話から辿っていきながら、自分の記憶と照らし合わせる。

そうして探す範囲を絞り込んだ直江は、高耶を列車の旅に誘った。

 

椅子を探す旅は、これからどうなるんでしょう?
…って、ごめんなさい。まだ続きます〜(><)

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