ジーンズのボタンを外したところで、 高耶は喘ぐような息を漏らして、きゅっと唇を噛んだ。
心はとっくに決まっている。
だけど…
心臓が飛び出しそうな勢いで鳴っている。
息が詰まって苦しい。
助けてくれ…
体が待ちきれずに叫んでいる。
おまえを求めて
おまえをもっと感じたくて
知らなかった。
心を決めただけで
こんなにも簡単に箍(たが)が外れる
心を隠すつもりはない。
だけど…
高耶はギュッと目を瞑ると、一気にジーンズを脱いだ。
脱ぎ捨てた服を、ガバッと掴んで脱衣籠に投げ入れ、
後ろも見ずに風呂場に駆け込む。
その体を、上半身だけ裸になった直江が背中から抱きとめた。
肩に直江の息が触れた。
それだけで、ヒクリと喉が震える。
耳元に落とされた囁きに、堪えきれず甘い吐息が漏れた。
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抱きしめた体から、高耶の鼓動が伝わってくる。
その早鐘のような音が、
蕩けるような甘い吐息が、
直江の心と体を熱く満たしていた。
「あなたは俺のものだ。」
そんな言葉を、百回、千回、何万回、
口にしたところで、本当は一度も信じられない。
信じられないから口にするようなものだ。
けれど今、あなたの心と体を満たしているのは、
紛れもなく俺なのだと信じられる。
俺だけを見て
俺だけを感じて
俺だけを求めてくれる
それが何よりも嬉しくて
ただ幸せで…
もう何も考えられない
オマエガホシイ
あなたの全身が、そう言っている。
きっと俺の全身も、同じ言葉を告げている。
だから…
「あなたの体は正直だ。
ほら、もうこんなになっている。
さあ言ってごらんなさい。
欲しいって ちゃんと声に出して…」
嫌がるのを知っていて、俺は求めてみる
今しか聞けない、今しか信じられない言葉を、
もっと深く心に刻みつける為に
2006年12月1日
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