キィキィ鳴る音に目を覚ますと、竹ひごを集めたような天井が見えました。
体が重くて、手足が思うように動きません。
「んん…どうなってんだ?」
ぐるっと首を巡らして、高耶は息を呑みました。
高耶は大きな鳥籠の中に、閉じ込められていたのです。
「美弥!大丈夫か?美弥?」
なんとか身体を起こし、格子の枠まで這い寄りましたが、美弥の姿は見えず声も聞こえません。
代わりに現れたのは、あの妙な美青年でした。
「目が覚めたか。ふふふ。安心しろ、私は女子供を手荒く扱う趣味はない。」
高坂は楽しげに笑うと、まるで小鳥に餌をやるような手付きで高耶の顎を持ち上げ、
噛みつきそうな顔で睨む高耶の瞳を覗き込みました。
「触るなッ!美弥はどこだ!ちくしょう!何が安心しろ、だ。
だったら今すぐ、この鎖を外せ!ここから出せよっ!」
振り払おうと伸ばした手が、重い鎖に引きずられて届かず、高耶は悔しさに顔を歪めて籠の枠を掴みました。
高坂の腰ほどの高さに吊り下げられた籠は、
竹ひごを編んだだけに見えるのに、とても堅くて高耶の力ではビクともしません。
手と足に嵌められた枷も、それぞれ籠の中心にある柱に鎖で繋がれ、どう足掻いても外れませんでした。
「くそう! なんでこんな…っ」
これからどうなってしまうのでしょう?
美弥は無事でしょうか?
怖くて不安で心配で、目に涙が滲みそうでした。
けれど、こんな男の前で泣くなんて、絶対に嫌です。
高耶は精一杯の力を振り絞り、高坂を睨みつけました。
「ほう…この状況でも、萎えるどころか更に輝くとは…面白い…実に面白い素材だ。」
わけのわからない言葉を呟きながら、
高坂は息が触れるほど近くに顔を寄せ、目を細めて瞳に見入っています。
何を考えているのか、高耶には全然わかりませんでした。
捉えられた顎から手を退けることさえ出来ない屈辱に、歯を食いしばるしかなかったのです。
そのとき、さっと風が吹きました。
「お兄ちゃんから手を放して!」
開いた扉から、ダダッと駆け寄ったのは美弥でした。
「おっとっと…」
体当たりされて、ちょっとよろけた高坂が、美弥を見下ろして微笑みました。
2010年2月11日
小説のコーナーに戻る
TOPに戻る