『ヒートアップ! 第3戦』−1

 

雲の隙間から、薄い光がさしていた。
心を湧き立たせた試合の余韻が、急ごしらえのコートに満ちている。
高耶が抜けて、以後の予定が自然消滅しても、だれひとり帰ろうとせず、あのシュートは凄かったとか、あの顔は笑えたとか、わいわい喋りながらシュート練習を続けていた。

それを子守唄のように聞きながら、高耶はコートのすぐ傍で、直江の膝に頭を乗せたまま、すやすやと眠っていた。
「そろそろ帰りましょうか。」
前髪を梳きながら、直江がそっと囁いた。
気持ち良さそうに寝ているのを起こしたくないが、いつまでもこんな場所では風邪をひく。
「ン…ちょ…待っ…」
何を思ったか、高耶はころんと向きを変えると、直江の体に腕を廻した。

ギョッと固まった周囲の視線をものともせず、蕩けそうに優しいまなざしで高耶を見つめた直江は、慣れた仕草で軽くその腕をとって背中を抱き起こした。
「大丈夫ですか? よければこのまま抱いていってもいいんですよ。」
小さな声で耳打ちしたとたん、高耶はぷるぷると頭を振って目を開けた。が、まだ身体は直江に預けたままだ。
まるでそれが当たり前のことのような自然さに、魅入っていた面々から思わず溜息がもれた。

「おいおい。ンなトコで何見せつけてんだよ、お二人サン。」
突然の聞きなれない声に、一同の視線がハッと集まった。
「千秋!?」
叫んだのは高耶だった。
「譲さんまで…」
呆然と呟いた直江に、ふふっと微笑んだ譲は、
「相変わらずだね、高耶。寝ぼけると何にでも抱きつくから、みんなビックリしてるよ。」
そう言うと、アッと赤くなった高耶を見て、嬉しそうに笑った。

「バスケの試合やってたんだってな。せっかく俺が素晴らしいシュートを見せてやろうと思ったのに、もう終わっちまったのか?」
残念そうな千秋の言葉に、
「なんのなんの。仰木じゃのうてええなら、わしらがいくらでも試合しちゃるぜよ。その素晴らしいシュートっちゅうのを拝ませてもらおか。」
周りを囲んでいた赤鯨衆から声が上がった。

 

暑くなりましたね〜(^^; 暑いときに、ますます熱いヒートアップ(笑)
なんだか無性に書きたくなるのは、アニ○ックスで放送されてる某バスケアニメのせいかも(^^)
この後に出てくるお方との勝負、どうぞ広いお心で見てやってください。

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