中編
その日の夜はひたすら静寂につつまれていた。

このあたりは住宅街だから夜になると静まり返るのは当然なんだけど、慣れてるはずのこの静けさが今日はやたらと気になって仕方がない。

息をすればその呼吸の音が、唾を飲み込めばそののどを鳴らす音が、すぐ下にいるこの金髪の少女に聞こえてしまいそうで、俺はただじっと息を殺していた。




初めてではない。

彼女とこうなるのは初めてではない。

それなのに……なんど身体を重ねても、いっこうに慣れることが出来ないのは、この少女が持つ美しさによるためだろうか。




む、む……

なんというか、いきなり格の違いを見せつけられている?

普段よりも、こう――なぜか神々しさを感じるんだけど。

サーヴァントってのはそんなことまで調節できるものなのだろうか。

それとも……いつもは恥ずかしげに伏せられる緑玉石の瞳、この瞳にじっと見つめられているからだろうか。

服を着たままのセイバーは、俺の身体の下で布団に横たわり、そのまま黙って俺に視線を据えていた。

体勢的には俺が上なんだけど、心理的な立場ではセイバーのほうが上か?



「今さら――怖気ついたのですか? シロウ」

「だ、だれが」

挑発的なセイバーの言葉に反射的に答える。

ほんの少しだけ自分の声が震えているような気もしたが、それをなんとか押し殺した。

セイバーにはばれていないはずだ、多分。



戦いはすでに始まっている。

弱気は禁物。

一瞬でも隙を見せたほうがこの戦いに敗れることとなる。

とくに俺の場合、この『夜の戦い』を制さないことには話しにならない。

なにしろ翌日に控えている『剣の戦い』は俺のほうが圧倒的に不利なのだ。

この緒戦に負ければ2連敗が濃厚。

そうなれば俺の立場は『何の取り柄もない駄目男』ということで決定してしまう。

それだけは絶対に阻止しなければならない。

俺は、そう決意を新たにした。




で。

俺は意を決して攻撃に移ることにする。

まずは第一段階。

セイバーの身を守る防具を破壊する。

まあつまりは、彼女が着ている洋服を脱がす、ということだ。

セイバーが着ている服は、なんというか……いつものやつだ。

遠坂が誕生日を迎えるたびにあの言峰から送られてきたという曰くつきの服。

飾り気はないんだけど、このシンプルな白と青がまた良くセイバーに似合う……って、今はそんなことどうでも良い。

とにかく、この服が俺にとって最初の障害となる。



だが俺には勝算があった。

遠坂はおなじ洋服を何着もセイバーにプレゼントしたのだが、それはつまり、セイバーがいつもおなじ種類の服を着ているということ。

食事の時も、稽古の時も、出かける時も、そして普段――俺との夜の時も。

そう、俺はセイバーのこの服を脱がし慣れている。

「じゃあ……始めるぞ、セイバー」


そんな前置きをおいて俺はその行為に取り掛かった。



横になるセイバーに俺は少し半身になって覆いかぶさる。

経験は「力」

これは剣術でも魔術でもおなじであり、どんなものにも通じる真理。

最初はたどたどしかったこの行為も、回数をかさねるごとにスムーズになっていく。

俺はまずセイバーの唇を自分のそれで塞いだ。

「……ん」

決して強くは押しつけない、優しく触れるだけのキス。

セイバーの唇からほんの小さな声が漏れた。

すっと、なにげない動作で俺は彼女の胸元のリボンに手をかける。

セイバーの瞳がわずかに揺れたが、気にせずにそのリボンをするするっと外す。



これがセイバーの守りを崩す第一歩。

胸元をくつろげ、あらわになったその真っ白な首筋に吸いついた。

シロウ……と、本来なら俺の名を呼ぶセイバーの声が漏れるあたりだが、彼女はその小さな唇を閉ざしたままだった。

セイバーのやつ、だんまりを決め込むつもりか。

どうやら、彼女も並々ならぬ覚悟でこの戦いにのぞんでいるらしい。



俺は苦戦の予感を脳裏で感じながら、首筋に押しつけた唇を少しずつ下方へとずらしていく。

到達したのは先ほどまで隠されていた胸元。

そこにはなにやら赤いあざのようなものがあった。

真っ白な肌に不似合いなその赤いしるし。

一瞬、これがなんなのか首をかしげるが、すぐに思い出した。

なにしろこれは俺がつけたもの。

薄い……ピンク色のキスマーク。

もう、四日ほど前のことだったはずだが、結構ながいあいだ残ってるものなんだな、キスマークって。

普段は見えないところにつけといて良かったな。

そんなふうにちょっとだけ自分の理性を褒めながら、そのマークのうえから再びキスを落とす。

舌がセイバーの滑らかな肌を汚した。

「……うっ」

ピクッ、とセイバーの身体が震えた。わずかに背を反らせる。

隙ありだ、セイバー。

俺はその隙を逃さず、右手をセイバーの腰の下にもぐりこませた。

「あ……っ」

と、いうまに腰の後ろのリボンを解き放った。

セイバーの防壁を突破するのにもっとも大事なことがこれだ。

ここのリボンを外しておけば攻撃はたやすい。

そのまま下のスカートを脱がすも良し、こうして――

「……っ!」

上のシャツの中へと手を侵入させ、セイバーの綺麗な肌を存分に堪能することも出来る。

華奢だけど柔らかくてきめの細かい肌。

上等のシルクの出来を確かめるように、その肌を撫でる。

でもそうしていてもセイバーからは喘ぎ声のひとつも漏れない。

身体からは熱さが伝わってくるがそれを意志の力で押し込めているようだ。

俺を見つめる瞳が「その程度ですか?」と言っているような気がした。



くっ……だったら。

俺は侵入させた手を上へと持っていく。

セイバーの白い服の中で俺の手が生き物のようにうごめいた。

「……ぅ」

さすがにほんの少しだけ声が漏れた。

俺の手が彼女の小さなふくらみにたどり着いたからだ。

とくんとくん、と息づくふくらみ。

俺はそのまま胸を覆う下着のあいまに右手を差しのべた。

柔らかな感触。

セイバーの瞳が揺れた。

すっぽりと手におさまる控えめなふくらみ。

それがどれほど柔らかいか、どれほどの敏感さを持っているか、すべて自分の中に記憶してある。

その感触を楽しむかのようにふくらみ弄び続けた。

「はぁ……ん……ん」

唇をかみ締めていても、ときおり漏れる声までは制御できないようだ。

セイバーは気丈なまでに俺に視線をあてているが、最初のころのような強さが消えかかっている。

敏感すぎる自分の身体に戸惑っているようだ。

これでも俺はセイバーの身体のことなら誰よりも――それこそセイバー自身よりも詳しいと思っている。

どこが弱点か、どこが敏感なのか、どうやったら彼女の鳴き声を引き出せるのか、そのすべてをこれまでの経験から学び取っていた。

そもそも、セイバーの敏感さをここまで開発したのは俺だという自負がある。

自慢になるかどうかはけっこう微妙だが。




俺はその胸の柔らかさを堪能しながら聞いた。

「セイバー、気持ち良いか?」

「そ、そのようなこと、ありません……!」

そう反射的に答えたセイバーを見て、俺は先制攻撃が成功したことをさとった。

いつもの冷静さが消えかけている。

「ん? そうか?」

意地悪く言いながら胸をいじくる。身体をセイバーの横にずらし、耳元に顔を近づけた。

「でもさ……」

セイバーの耳朶をパクっと咥える。ちなみに、ここもセイバーの弱点の一つだ。

それを軽く歯でかみながら、そのまま囁いた。

「ここは、こんなに硬くなってるぞ」

俺の指は、胸の先端の突起を正確にとらえていた。

「――っ!」

そこはセイバーの意思に反し、俺の愛撫にしっかりとこたえるように硬くなっている。

セイバーの横顔。

耳元に、ふぅっ、と吐息をかけられるたびに揺れるそれを見ながら、

「けっこう、いやらしいよなセイバーって」

などと、無礼きわまりないことを口走ってみる。

「な、なにを――!」

当然のように顔を赤く染めるセイバー。

でも、その赤の大半は怒りではなく羞恥、それと快感による興奮。

「だってさ……」

ピン、と尖っているその胸の突起を指でくにくにしてやる。

指でつまんだりこすったり、そのまま手のひらで転がしたり、とにかく服の下で思う様に動き回る俺の手。

服に隠れてちょくせつ見えないため、なんだかよりいっそうくるものがあるな。

そしてそのセイバーの突起はじょじょに硬度を増していった。

「ほら、どんどん硬くなってきてるぞ」

「……ぅ」

そう指摘するとセイバーは口ごもった。



戦術の一つ。言葉責め。

どちらかというとセイバーよりは遠坂向きの戦術だが、今日に限ってはセイバーにも効き目があるようだ。

いつものセイバーはもっと素直だから、こんなことする必要ないし。




その間も俺の手はとどまることをしらず、服の下でうごめき続けている。

くいっ、くいっ、と先端の突起をひねるたびに「んぁ……ぁ……」押し殺しきれない鳴き声がセイバーから漏れた。

「セイバー、感じてきたか?」

「そのようなこと、あるはずが――っ」

「ふーん」

そう笑う俺の顔は、多分、遠坂のあの悪魔の微笑よりも、さらに上を行くだけの邪悪なものであっただろう。

「じゃあ、確かめてみるか」



プチン。

胸元でなにかを外す音。

「あ……」

するすると服の中を通り、裾から俺の手と共に出てきたのは白いブラジャー。

遠坂がいろいろ彼女のためにそろえてあげているらしい。

「シ、シロウ」

はっとして上半身を起こし、胸の辺りを手で覆うセイバー。

服を着ているのだから別に隠す必要などないのだが、下着だけを抜き取られたというのはそれなりに心細いらしい。

俺の手が服を脱がすかのように動くと、セイバーはあわてたように上着の裾を押さえた。

その手には相当の力が加えられているようで、俺ではその手を払いのけることは出来そうに無い。



だけど――

甘いな、セイバー。

俺の狙いは上じゃない。下だ。

彼女の腰をしっかりとつかみ、ぐっと持ち上げる。

「な――っ」

驚きの声と共にセイバーは再び後ろに倒れこんだ。

そのあいだに俺はセイバーの青いスカートを手際よく脱がせる。

たまには上を着たままというのも良いんではなかろうか、なんてことを考えながら。

「まっ、シ……!」

上半身を布団に押し付けられたセイバーはなんとか起き上がろうとするが、俺はそれを阻止すべく、というよりさらに『いろいろ』すべく――

「よっ……と」

掛け声をかけながら足を持ち上げる。

後ろのほうへ回り、セイバーの両膝の裏を両手で持ち、そのまま覆いかぶせるように前へ、ぐいっと押し込んでいき、ついには膝頭がセイバーの顔の横にまで行くぐらい前へ。

身体が二つに折り曲がってしまったような格好。

セイバーの身体の柔らかさは相変わらずだ。

ちなみにこれは、このあいだ慎二に借りてきた本にのっていた体勢だ。

俗に……まんぐり返しと言うらしい。

「シロウ、こ、このような……」

セイバーが羞恥に顔を染めながら抗議してくる。

まあ、当たり前だろうな。誰がどう見たって恥ずかしい格好であるのは間違いない。

俺は両足をしっかりと押さえたまま、セイバーの顔を上から覗き込んだ。

ちょうど俺の顔のすぐ下には、白い下着につつまれたセイバーのもっとも大事な場所があった。

「じゃあセイバー、そろそろ確認してみようか」

「……え?」

「本当に感じていないのかどうか、ここを見たらわかるだろ?」

つんつん、とその部分をあごでつつく。

「く――っ」

ビクン、とセイバーの身体が跳ねた。

これは……確認するまでも無いかな。

だが、今日のこれは勝負の一環。

どちらが強いのか、きっちりと証明しなければならない。




俺はセイバーの下着に手をかけた。

体勢が体勢のため、セイバーはその行為を止めることができない。

白い、小さなそれを、両の脚からひきぬく。

目の前にはセイバーの秘唇。

溢れだす、というほどではないが、快楽の源泉からは確実に蜜が染みだしてきていた。

「濡れてるぞ、セイバー」

間近で確認しながらそう言う。

「ほら。セイバーも見てみろよ」

そう促すがセイバーは瞳をつむってしまいそれを見ようとはしない。

む、やっぱり今日のセイバーは素直じゃないな。

「じゃあ、見なくても良いから音だけでも聞いてみな」

「え?」

指を二本揃えてセイバーの中へ。

「……っ、ぅ、はぁ……」

俺の指が秘唇の中へと吸い込まれると、それと反比例するように吐き出されるセイバーの吐息。

俺の指がセイバーの暖かい肉壁につつまれ、そしてきゅっと締め付けられた。

きつい。指だけだというのに、ここは本当にきつい。

それをほぐすようにしながら、その中をじっくりと掻き回し始めた。


くちゅ、くちゅ、くちゅ


一定のリズムで奏でられる卑猥な音楽。

「くぁっ――あ、あ……」

そして、それと共に零れ落ちるセイバーの鳴く声。

さすがにもうこれ以上は声を我慢しきれないみたいだ。

まあ、そうだよな。

これだけ溢れさせたら我慢なんかしきれないだろうし、我慢したところで誤魔化せないもんな。

そもそも、今現在のかっこうからしてとんでもないし。

溢れ出てくる蜜に手を濡らしながらそんなことを考える。

「ん、ん、あ……」

抜き差しのたびに、ぴゅっぴゅっ、と愛液が飛んだ。

手首のほうまでそれにまみれ、温かさにつつまれる。

「ほら、セイバー。ここも好きだろ?」

二本の指は突き入れたまま、余ったほうの手でもう一方の性感帯を攻めることにする。

ぷっくりと膨らんだ快感の芽。

薄皮に護られたそれを剥きあげ押す。

「ふぁ、や……んっ……シ、ロウ」

切羽詰ったようなその声を聞きながら、今度は差し入れている二本の指を動かす。

「あと、ここも……」

指をカギのように曲げ、天井を指の平でこする。

ちょうどザラザラしたような壁がそこにはあり、そこを集中的に攻め立てる。

「好きだもんな、セイバーは」

「そ、そのような……ことは……な、ないです、んっ」

「そうか? そのわりにはひくひく震えてるし、締めつけもきつくなってるような気がするけど?」

あえてそんな屈辱的な言い方をする。

今日のセイバーには、こういう攻め方のほうが効き目があるみたいだから。

「なっ……うぅ……んっ、んっ」

否定しようとしてすぐに口を閉じてしまったセイバー。

言葉を発しようとしても、それが途中で鳴き声に変換されてしまう。

そう悟り、せめてもということでだんまりを決め込むことにしたようだ。

だけど、そんなことはさせない。

口を開かないというのなら、それこそ無理やりにでもこじ開ける。

直接的にではなく、間接的に。

俺はセイバーの膣内から蜜を掻きだすように指を蠢動させた。

「……っ!」

かっ、と目を見開き、それでも必死で唇を閉ざそうとするセイバー。

俺はそのまま膣をかき回し続け、頑強なる天の岩戸を中から開け放とうとする。

そして、ころあいを見計らって、むき出しの肉芽をきゅっとこすりあげた。

「ん――んんっ! ひあぁっ!!」

ついに耐えられずに快楽の声を上げるセイバー。

びくっと震え、俺の指を千切らんばかりに締め付けてくる。

どうやら軽い絶頂を迎えたみたいだ。

この感度の良さがセイバーの可愛いところであり、今日に限っては彼女の敗因となる。



「ぁん……」

指を抜くとセイバーの切なげな声。呼吸が荒くなり、胸を上下させ続けている。

「俺の勝ちかな? セイバー」

ちょっと笑いながらそう言って見下ろす。

なんとなく意地悪心から発された言葉だが、下から見上げてくる視線は俺の心を射抜いた。

熱にうなされたようなセイバーの瞳。

どこか恨めしそうに、どこか非難めいていて、そして、

「シ、ロウ……」

そう言葉を発するセイバーは、今にも泣き出しそうだった。

最初のあの強気な瞳は今はなく、捨てられた仔犬のように弱々しく俺を見つめてくるセイバー。

ちょっと……いじめすぎたかな。

そう反省するけども、なぜか――もっといじめてあげたい、そんな気持ちが湧き上がってくる。

…………

俺って、そんな性癖あったかな。



「シロウ……ひどい、です」

恨みがましそうに、どこか拗ねたようにセイバーが言ってくる。

飼い主に怒られしゅんと耳をたれた仔犬――そんな感じで。

…………

「あ、の……シロウ?」

セイバーの声はもう俺の耳には入らなかった。

いやだって、反則だろ。

なにしろ体勢が体勢だし。

それに、こんなかわいい仔犬は、飼い主としてしっかりかわいがってあげなきゃいけない。

「セイバー」

俺は甘い香りを放つ花びらに顔を近づける。

「や、シロウ……なにを?」

あわてたようなセイバーの声もまるで気にしない。

ただ、蜜に誘われたハチのようにゆらゆらとそこに口づける。


ぴちゃ……


着水。


ちゅる……


そして吸う。

口のなかにひろがる甘くて温かな液体。

どのような果実酒よりも甘美な味わい。

「うぁ、シ、ロウ……んっ、あぅっ」

そしてそれに彩りをくわえる天上からの響き。

頭がくらくらしてきた。

こんなすさまじい攻撃をくらったら、俺じゃなく他の男だってきっと頭が狂うだろう。

他の男には絶対わたさないけどな。

「やっ、やめてください……シロウ」

セイバーの手が股間に取りついた俺の頭を押しのけようとする。

だが、身体をこれだけ窮屈に丸め込まれ、最大の弱点を攻められ続けているのだ。

いかにセイバーとはいえこの窮地を脱することなど出来ない。

俺も逃がす気など毛頭ない。


ずず……ず、ず、ずず――


はしたない音を立てながら、無限に溢れだしてくる甘い雫をのどに落とし込んでいく。

さらには舌を伸ばし中に突きこむ。

「ひぁ……っ、そ、ん……あぁぁ」

舌でさえ締め付けようとするセイバーの中。

暴れだしそうになるセイバーの脚をしっかりと押さえつけながら、俺は舌を抜き差しする。

「うぅ……あ、あ、シロウ」

華奢な身体を震わせながら可憐な鳴き声を聞かせてくれる。

それをたまらなく愛しく感じるが、今日に限ってはそれがいじめたいという感情に変わっていく。

ざわざわと俺の舌を引きずり込もうとする肉壁。

自分の舌でその肉壁にこびりついた蜜をそぎ落とすように掻き回した。

舌を最奥まで突き刺し、それをストロー代わりのようにして奥の奥から蜜を吸い出す。

「ふあぁっ、シロウ……あ、あぁっ」

セイバーの中が痙攣し始めた。

「セイバー……どんどん溢れてきたぞ」

「う、あ、んっ! そ、そのような……んっ!」

「ほら、こっちのほうまで」

いったん舌を抜き、後ろの穴のほうまで垂れてきたその愛液をなめ取ってあげる。

「ひぁっ! シ、シロウ! そちらは……」

「ん? こっちがどうかしたか?」

後ろの窄まり。前のほうよりも控えめで、小さくて可愛い。

その周囲を円をえがくように嘗め回す。

「そのうち、こっちでもしような、セイバー」

「な、な、な……」

後ろでしよう。

その言葉をどうとらえたのか、セイバーは目を白黒させていた。

まあそんな知識はセイバーにはないだろうし、驚くのも無理はないか。

でも、後ろの穴に入れられて快楽に打ち震えるセイバー、そんな姿も見てみたいと思うわけだ、俺としては。

そんなことを思いながら舌の先をそのすぼまりに差し込んでみる。

「ひんっ! や、シロウ。やめてください」

じたばたと脚を暴れさせるセイバー。まあこっちはじっくりゆっくりと、だな。

って、なんだかだんだん危ない方向へいってるような気がする、俺。



再び照準を前の穴へ。

ぴたりと唇を押し付け、舌を差し込みうごめかす。

温かくてきつい。

セイバーのそれを舌で感じることができるのは、この世で俺一人だけ。

そう考えるとふしぎな優越感に浸ることができる。

ぴちゃぴちゃと、はしたなく聞こえる蜜の音。

「ん……あ、うっ」

俺の髪の毛をつかむセイバーの手に力がこもった。

俺は左手を伸ばす。

よれよれになりながら、それでもなんとかセイバーの上半身を隠す白いシャツの中に手を差し込んだ。

手のひらにおさまるふくらみを優しく揉みながら、ついでに先端の乳首もつまんでやる。

「ふあっ……」

おまけにちょっと意地悪く引っ張ってみる。

「ひゃ、んっ……!」

うん。

かわいい。

さらに余った右手にセイバーの膣内から溢れた蜜をまぶす。

ねっとりとした蜜が指に絡みつき、それをそのままセイバーのもっとも敏感な箇所、クリトリスへと持っていく。

「あぅっ! ふ、あぁぁ、んっ……!」

膣口を舌でえぐり、胸の先端はいじめつつ、クリトリスを指でこすりたてる。

「シ、ロウ……んっあぁぁっ……くぅぅ」

三箇所からくる快感の波にセイバーの鳴き声がさらに高まった。

身体の震えとともに、透明からにごった白へと変色し始めた液体がセイバーの中から次々と湧き出し、クリームたっぷりのケーキにかぶりついたみたいに俺の口元を汚した。

俺の手から逃れようと――というか、ただじっとしていられないかのように身体をくねらせるセイバー。

「ひあぁぁっ、シロウ……だ、めです、これ以上……は、許して……」

下の口だけではなく、瞳も濡らしながら嘆願してくるが、もちろん俺は許すようなことはしない。

それどころかこれは最大のチャンス。

ここで一気に勝負を決める。

「もうイキそうなのか? セイバー」

ペロペロと膣口の周辺を味わいながら。

「ふあっ、うく……んっ、んっ」

ビクン、ビクン、としっかりと俺の愛撫に反応しながらも、セイバーは必死で首を横に振った。

ほんと、今日のセイバーは強情だ。そのぶん、いじめがいがあるけど。

「でもほら、ここからはもうこんなに美味しい汁が漏れてきてるし」

ずずず……と、それを吸いながら。

「こっちのほうも硬くなってるし」

ピンク色の乳首を指でくいっとひねってやり。

「ここも、みっともないぐらいに膨らんでる」

そして尖ったクリトリスを人差し指で軽くはじいた。

「ひあぁっ!」

甲高い鳴き声。

もはや身体の震えは全身にひろがっている。

あとはほんの少し心を押すだけ。

今日はそれが難しいんだけど、でも、今なら大丈夫だろう。

それに……それができなければ俺の勝利はおぼつかない。



「はぁ……はぁ……はぁ……」

セイバーの瞳はもううつろだった。

さまざまな思いが交錯し、どの道を行くべきか迷っているよう。

このまま身体の疼きのままに堕ちていくのか、それとも理性を繋ぎとめて俺から勝利をもぎ取るのか。

俺はといえば、彼女が堕ちやすくなるよう、手を変え品を変え、ひっきりなしに彼女の身体をいたぶり続けている。

セイバーの身体は高熱の炎にあぶられているかのように熱く、そして柔らかい。

名剣を鍛え上げるには熱して打つ。

セイバーという名の名剣にもそれが通じるかもしれない、そんなことを考えた。

「ふあっ……ん、ん、シ、ロウ」

火を吹きそうなほどの熱い吐息を漏らし、ぐんにゃりとしなった剣。

泣きそうな瞳で俺になにかを訴えかけてきている。

「イキたいのか?」

彼女の秘所に口づけながら聞いた。

とろけたチーズのようになったそこを冷やしてあげるように、ふうっ、と息を吹きかける。

「ふあぁぁ……」

一瞬だけ冷え、そして再び燃え上がるような感覚にセイバーが泣いた。

えさをなかなかくれない意地悪な飼い主を責めるような、そんなまなざしで俺を見つめてくる。

「イキたいか?」

もう一度聞いた。

迷い、戸惑い、止まろうとしながらも、ついにゆっくりとうなずいた。

「イキたい、です……」



堕ちた、ようやく堕ちた。

というよりも折れた?

いずれにしろ、俺は勝利を確信してにんまりと笑う。

なんか――今日は自分の知られざる一面をいろんな部分で確認しつつあるな。

「じゃあセイバー。ちゃんと俺にお願いして」

「……え?」

「じゃなきゃここでやめるぞ」

ぺろん、と濡れそぼる秘所をひと舐め。

「あぅっ、そ、そんな……」

もう我慢がきかなくなっているのは一目瞭然だ。

だったら最後まできっちりいじめてあげないと。

「ほら。どうする、セイバー」

「う……ぁ……」

ためらいはあるものの、彼女だって自分が我慢できなくなっているのはわかっているはずだ。

くしゃっと俺の髪を握り締め、消え去りそうな声で、

「シ、シロウ……イかせてください……おねがいします……」

そんなおねだりをしてきた。

普段とのギャップがありすぎるもんだから俺まで興奮してしまう。

でも、手と唇だけで彼女をここまで追い込むことに成功したので、なんとなく誇らしい。

ここまできたら俺としてもセイバーのお願いに全力でこたえるだけだ。

秘所の表面をなぶっていただけの舌を、再びその奥にまで突き刺す。

「あぅ……」

中を味わいつくすように舐めまわす。

奥のほうにちょっとだけ膨らんだような箇所があり、そこを徹底的に舐め上げる。

甘い、甘い蜜がたっぷりとあふれてきた。

これを飲まないのは男ではあるまい。

ずずっと盛大な音をたててゴクゴク飲み込んでいく。

「くぁっ! あ……あっ! ん、ん……」

声と共にあとからあとから染みだしてくる愛液。

粉雪のように白かった身体も薄桃色に高潮し、じっとりと汗が浮かんでいる。

身体の震えもおさまりがつかないようになってきた。

そろそろイクみたいだ。

「あっ……んっ、く……シ、ロウ……な、なにか、くる……んぅ」

意識を飛ばしそうになりながらも、必死で瞳を開き、俺の姿を求めるセイバー。

そんな可愛い従順な仔犬にご褒美。

蜜でとろとろに濡れたクリトリスを指ではさみ、

「よし、イッていいぞ、セイバー」

きゅっとひねる。

「――っ! っあふぁぁ――っ!!」

するどい響きと跳ねる身体。そして――

「うわ……」

ぷしゅうっと秘所から噴水のように飛び散る愛液。

断続的に二、三度、ぴゅっぴゅっとそれは吹き出し、俺の顔を汚した。

「これは」

ぺろっとそれを舐める。

普通の愛液とはなにやら違う、無味無臭の透明な液体。

もしかして、これがあのうわさに聞く『潮吹き』?

……初めて見た。

「はぁ……ん……ん、シ……ロウ……」

いっきに全身の力が抜けてしまったセイバー。

彼女の身体を解放してベッドに横たえてあげる。

ぐったりと……よほど疲れたのかその部分を隠すことすら忘れて、セイバーはただ荒い呼吸を繰り返していた。

「ふう……」

いろんな液体で汚れた顔を袖でぬぐう。

俺はセイバーから身体を離し、満足感に浸りながらゆっくりと身体を起こした。




勝った。

ついに勝った。

疑いようもなき勝利。

完璧にセイバーを封じ込めての完全勝利。

おまけに潮吹きのおまけつきだ。

これならさすがのセイバーだって負けを認めるだろう。

まずは最初の関門を突破したわけだ。



それにしても……セイバーの乱れ方はすごかったな。

いじめられればいじめられるほど感じてるみたいだった。

もしかして、セイバーってそっちの気があるのかな。

…………

なんか――俺も新しい自分を発見した夜だったし、セイバーがもしそうなのだとしたら、俺たちってものすごく相性が良いのかも。



でもまあ、それは今後のこと。

今日はまず勝利したことを喜ぼう。

だけど、油断はしない。

まだようやく一勝しただけ。

翌日の勝負を考えればこれでようやく五分の状態。

次の試合に向けてきっちりと体調を整えるのだ。

「でもまあ」

とりあえず勝ったわけだけど、俺の『物』はまだ活躍してない。

そのためズボンの中でかなりのご立腹。

ここは……勝負とは関係なく、ゆっくりとセイバーと……夜もまだ長いことだし、お互いを確認しあうってことも良いんじゃないかな。

うん、そうしよ――をっ!



「セ、セイバー!?」

さっきまでベッドに沈み込んでいたはずのセイバーが俺のすぐそばまでにじり寄っていた。

おまけにその手が俺のズボンのベルトをいつの間にか外している。

「な、なにを?」

セイバーは俺の問いかけに、しっとりとした視線でこたえてきた。

そして微笑む。

「次は……私のばんですね」

「え?」

セイバーのばんって、うわっ。

手がズボンに伸びてきてそれを下ろし……

「セイバー!」

膝立ちの状態だから完全に脱がされることはなかったけど、くっ、油断した。

「もう、俺の勝ちだぞ。あれだけ派手にイッテ、おまけに潮まで吹いて……」

「シロウの……苦しそうです……」

って、人の話を聞けよ。

そんな俺の思いにはまったく頓着せず、セイバーはわが愚息をまもるトランクスに手をかけてきた。

まずい。

このままではセイバーの反撃を食らって――

「あ……!」

いつの間にかベロンって感じでむき出しにされてる俺の物。

俺の意に反して天を突かんばかりにいきり立っている。

「あ……シロウの」

きゅっとその白魚のような指で俺の物をそっと握り締めるセイバー。

「う、あ……」

「いつもより、硬い……」

いつもよりってセイバー、そんな物の硬さなんて覚えているのか。

セイバーの顔がゆっくりと俺の物に近づいてきた。

こ、これは、まさか……あれをやるのか?

いや、でも……セイバーはあれのことを知ってるのか?

だいたい、俺はこれをセイバーにしてもらったことなんて無いぞ、遠坂にはあるけど。



そんなこと考えてる間にも徐々に迫りよってくる危機。

ふっ、と、先端にセイバーの吐息があたった。

「くっ!」

びくんっ、と嬉しげに俺の物が反り返った。

やっぱり――セイバーはあの技をやる気だ。

剣だけではなく、そっちの知識も持ち合わせているなんて……

「だ、駄目だ、セイバー」

そう言って押し返そうとするが、どことなくそれに力が入らない。

なにしろ俺は、それがどれだけ良いものであるか知ってしまっている。

セイバーにそれをしてもらうということを想像したら、それを押しとどめようとすることなんて……

「シロウ……」

ささやきが吐息となって再び俺の物をなでる。

き、もち良い。

くっ、よし――

俺は覚悟を決める。

これだけのことを目の前にして、それに背を向けて逃げだすなんて男ではない。

あえてそれを迎え撃ち、真正面から撃破する。

それでこそ本当の勝利が見えてくるというものだ。

「ふっぅ――」

俺は腰に気合を込め、そのときが来るのをじっと待ち構えた。



「シロウ……」

セイバーが俺の名を呼びながら唇を開いた。

その中にゆっくりと吸い込まれていく俺の物。

「う、ぁ……」

温かい、というよりも熱い。

先ほどまで従順だったセイバーの反撃。

飼い犬に手をかまれたというかアソコを咥えられたというか。

とにかく想像以上の気持ち良さ。

ねっとりとした唾液が俺の物にまとわりつき、火傷しそうなほどの熱い吐息が亀頭を打つ。

「……っ」

股間に吸いつくセイバーの頭を両手でつかんだ。

金色の髪が俺の手にからみつく。

セイバーはさらに奥まで俺の物を咥えこんでいき、のどまで吸い込んでちらっと上目づかいで俺を見つめてきた。

どうですか? 気持ち良いですか?

そんなふうに確認しようとする瞳。

俺は反射的にうなずいてしまった。

「んっ……ふ……ん、んっ」

嬉しそうな顔をしたセイバーはよりいっそう奉仕に力を入れてくる。

くちゅくちゅといやらしい音を立てながら俺の物が出たり入ったり。

歯をあてないようにきちんと気をつけ、そして竿の部分にはしっかりと舌を這わせてくる。

「くっ……!」

セイバーもフェラは初めてだろうに、この技術の高さはなんなんだ、天性のものか?

遠坂にやってもらった時は、あいつ、恥ずかしがってなかなかできなかったというのに。

情熱的ともいえるほど丹念に俺の物をしゃぶり続けるセイバー。

勝つとか負けるとかは別に、無垢な子供のように、ただただ俺を喜ばせようとしたその行為。

その純粋さが……今の俺にとっては脅威。

思い知らせてやろうとか、裏をかいてやろうとか、そういうことにはどうとでも対処できるけど、こうまでまっすぐに向かってこられると、こちらも下手な小細工などできない。

そんなことしたらあっという間に飲み込まれてしまうだろう。

正面からそれを受け止めるしか今は無い。

「ん、んっ、ぅ……ちゅ……く」

う……あ、俺のが、全部セイバーの中に……

よ、良くこんなもの入るな、あの小さなセイバーの口の中に。

根元まで飲み込んでしまったセイバーはそのまま舌を使って、もっとも敏感な亀頭の部分をぞろりと舐め上げる。

「はっ……う……」

す、ご……気持ち良い。

先端がのどの奥に時々あたってるんだけど、そんなことお構い無しにセイバーの愛撫は続いていく。

とにかくもう熱心に。

唾液を使えば効果があるとわかったのか、ちゅくちゅくと口を鳴らしながら溜め込んで、それを全体にまぶすようたっぷりと……

先走りがそれと混じりあうようにたっぷり排出されて、セイバーがその筒の奥から根源となる源泉を吸い出さんばかりにじゅるっと吸い込んできた。

バキュームかなんかで搾り取られそうな感覚。

布団についた膝ががくがくしてきた。

こ、このままじゃまずい。

俺はセイバーの頭をつかんでそれを引き離そうとするが。

「……あれ」

動かない。

というか、前方だけに気を取られていたが、いつの間にかセイバーの両手が俺の後ろにまわされていた。

尻たぶをぎゅっとつかみ、万力のように吸い付き離れない。

し、しまった。

退路を絶たれた。

このままではなすすべなくセイバーの口内へ思いっきり放出してしまう。

本来ならそれでも良い……というよりも望むところなんだけど、今日に限ってはそれはまずい。

ここでこのまま放出することは、すなわち、俺の敗北を意味する。

たとえセイバーがそうは言わなくても、俺が自分を許せそうにない。

俺の中の矜持がいっせいに崩れ落ちてしまう。

剣でも勝てず、その美しさ、気高さには遠く及ばず、さらには閨の中でも彼女のほうが上などとなったら……


駄目だ。

そんなことは許されない。


とはいうものの……盲目なまでに従順な犬というより咥え込んだら離さないスッポンと化してしまったセイバー。

彼女をこの俺のアレから引き離すのは、うっ、気持ち良……く、よ、容易ではない。

なにしろ……あぅ、がっしりと俺の尻を押さえるセイバーの力は、なにをもってしても剥がせないほどの強力なものなのだから。

ぐっ――ど、どうする。力ずくでは無理だ、絶対に。

俺の力などセイバーのそれには遠く及ばない。

考えろ、考えるんだ衛宮士郎。



この窮地をのりこえる手段。

どこまでも従順で、それゆえに手強いセイバーを退ける手段。

それは――






「セイバー! そんなへたくそなやり方じゃ駄目だ」



俺はそんな強い言葉を発した。

腰は抜けそうだけど。

「ぅ……っ、ん、ん」

俺に怒られて一瞬びくっとしたけど、ならばとよりいっそう口内奉仕に力を注いでくるセイバー。

ちゅぷちゅぷと淫らな音をたてるのもいとわず、がっちり咥え込みながら丹念に舌を這わせてきた。

うわっ……く、ちょ、ちょっとまて。

「そ、そうじゃない。手を使って、もっとちゃんとやるんだ」

ほんとは口だけでじゅうぶんだけど、もう、出そうだし。

どういうことですか、という瞳で俺を下から見上げるセイバー。

根元まですっぽりと咥えたままなので、美しい金色の髪と俺の黒々としたアレのコントラストがとんでもなく背徳的。

今、俺の物を咥えてるのってセイバーなんだよな、あのセイバー……

「……は」

あぶない。

今は感傷に浸っている暇などない。

そんなことしてたら俺が限界をこえてしまう。

だから――

「手で……俺の『袋』のほうをさわるんだ」

とりあえずとんでもないことを言ってみた。



最初、なにを言われたかわからないというような表情をしたセイバーだったが、理解するやいなや、すぐにこくりとうなずいた。

従順だ。従順すぎるほど従順だ。

そして俺は……この従順さを利用する。

セイバーの右手が後ろから離れ、だらんと垂れ下がる俺のそこへとのびた。

イメージの転換。

あえて自ら窮地へとおもむき、そこから活路を見出す。

それがこの危機から脱するひとつの手段。

危険は増すかもしれないが、とにかく、わが退路を絶つ、華奢なくせに強靭なこの両の腕をどうにかしないと。



なんだけど。

ああ、これは……思ってたよりも、気持ち良いかも。

ふにふにとセイバーの手によって揉みほぐされる、俺の大事なものがおさめられた袋。

唇から与えられる直接的な刺激とは若干おもむきのことなった感覚。

快感そのものはにぶいけど、こんなことをされているということそのものが。

つまり、あのセイバーがこうして俺の物をしゃぶりながらなおかつ袋に手を差し伸べてふにふにしているという事実そのものが、俺の脳内麻薬を分泌させる。

って、まただ。

だから、こんなことにひたっている場合ではない。

この状況からなんとか抜け出さねばいけないのだ。

戦力の一部を取り除いたとはいえ、いまだ一方の軍勢が俺の退却を妨げている。

この残った左手をふりはらうには……

「セイバー。今度はそのまま……自分のあそこを触って……」

ちょっと優しく。

「ふぁ……ん、ん、ふぁぃ……」

セイバーは素直に従った。

左手を俺から離し、四つん這いのまま自分の濡れたそこへと持っていく。

よし。

これでようやく退路を確保できた。

俺はセイバーの小さな頭をぐっとつかんだ。それを引き離そうとして――

…………

目の前には金色の髪を揺らしながら頬をすぼめ、しわしわの袋を優しく手でつつみながら、なおかつ濡れそぼった自分のあそこに指を差し入れているセイバー。

なんというか……こんな姿のセイバーを見るのって、こう、どきどきするよな。

いつも彼女とこうする時ってもっと普通な感じで、しかも部屋の明かりを消して暗闇の中でだったりするから。

「ふぅ……んぁ、ちゅ、く、ん……んっ……」

かつて聖杯戦争の時、ランサーやバーサーカー、それにギルガメッシュなどと戦った時の面影からは想像もできないような淫らな痴態。

口元と自身の股間からぴちゃぴちゃと淫らな水音を響かせて、

「くちゅ……ん、ん、ちゅぷ……ん」

こうやって俺の物にひたすら奉仕するなど……考えただけで……

「ふぁ……んっく、ん、ん……」

で、今は実際にそんなことをやられてる真っ最中。

おまけに、くっ、こっちも追い詰められてる状態。

「ん、ん、シロウ……シロォ……ゥ……ん」

く、咥えたまま喋るなぁ!

もう――さすがにやばい。

今なら腕にちからを少し入れれば簡単に振り払うことができる。

……でも――



「くちゅ……ん、ん」

一生懸命俺に奉仕しながら、セイバーが瞳だけで俺に問うてきたような気がした。

このまま出してください……と。



これは……あらたな強敵。

退路を確保した俺に、そうはさせじと正面から引きとめようとするセイバーの儚げな瞳。

いっそのこと――このままセイバーの口内にすべてをぶちまけたら、どれだけの心地良さを感じることができるのか。

そんなことを考え……

「くっ……セイバー、もう――出そうだ」

つい口に出てしまう弱気な発言。

「ん、ん……はい、シロゥ……ください……出してください」

そう言いながらせっせと射精を促そうとするセイバー。

唾液で竿をコーティングするかのように舐め、亀頭の先端をなでるように愛撫し、右手で製造元の袋をたぷたぷと揉む。

「うぁ……セイバーっ!」

「んく、ちゅぷ、ちゅぱ……飲ませてください……シロ、ゥ……」

そ、そんなこと言われたら――っ!!

腰の奥底からかけのぼってくる灼熱感。

背筋がふるえ、たまりにたまった『それ』が一気に爆発する――!!



「うあぁ――――!!」



俺は最後のちからを振り絞った。

それこそギルガメッシュと対した時をも上回るほどのちから。

『無限の剣製』でも発動してしまいそうになるぐらいの勢い。

そして――その極限の状態で、俺は股間に張りついたセイバーの頭を最後の理性でもって押し離した。



「ぁ……」

セイバーの残念そうな、切なそうな声が聞こえた。




「はぁ……はぁ……」

とんでもない疲労感。

肉体的なものはあもちろん、脳が焼き切れてしまいそうなほどの精神的な疲労。

あとほんの少し俺が弱かったら、俺はセイバーの可憐な唇に、にごった液体を放出し、そして敗北感にさいなまされるところだった。

そうなれば、セイバーとはもちろん、これからの遠坂との性活にもいろいろと影響してしまう。

俺は、なんとかぎりぎりのところで踏みとどまった。



「ん……シロウ……」

セイバーの声がまた聞こえた。

向こうは俺にどれほどの精神的葛藤を与えたのかまるでわかっていない様子。

従順すぎるというのも時に考え物だ。

これはやはり、一度しっかりと勝負付けを済ましておかなければいけない。

「セイバー……」

俺は静かに彼女の名を呼んだ。

その声音からなにかを悟ったのか、セイバーがこくりとうなずいた。

布団に仰向けに横たわり、なにかを抱きとめるかのように両手を前方へ突き出す。

「……」

なんでわかる?

いや、話が早くて良いけど、むぅ……

とにかく、俺はその手に誘われるようにセイバーに近づいた。

迎え入れるようにセイバーの両足が開く。
 
しとどに濡れた秘所がいやでも視界に入った。
 
今まで何度も味わったことのあるセイバーのそこ。
 
これまで見たことないほどぐしょぐしょになったそこは、早く俺を迎え入れたいかのように誘っていた。

「セイバー……」

「シロウ……」
 
俺は横たわったセイバーに覆いかぶさる。
 
彼女の細い腰をつかみ、すっと引き寄せた。
 
俺の物とセイバーのそれが触れ合う。
 
いきなり入れるようなことはせず、まずは先端で彼女の感触をたしかめる。
 
くちゅり、という音が響き、腰のあたりに鋭い快感が走った。

「……ふぁ……ん、シロ、ウ」
 
うっすらと瞳をあけたセイバーが両腕を伸ばしてきた。
 
俺を捕まえ、首の後ろでしっかりと逃げられないようにして、くすりと微笑んだ。

「セイバー」
 
それは反則だ。
 
そんな顔されたら我慢なんてできない。
 
正直なところ、先ほどまでの攻撃のダメージがいまだに色濃く残っているため、もう少しインターバルが欲しかったし、そのためにすこし焦らしてやろうなんて思っていたけど、もう駄目だ。
 
狙いを定め、ゆっくりと腰を進める。

「んっ……あ、ん……」
 
亀頭がセイバーの中へ消えた。
 
これだけで信じられないぐらいの気持ちよさ。
 
優美な曲線をほこるセイバーの両足が俺の腰を捉えた。
 
腕とおなじように、腰の後ろで組み合わさる。
 
これで……正真正銘、後がない。
 
このまま先へと進んだら、敵を打ち倒す以外に生き延びて帰還することはかなわない。



「ふう……」
 
大きく息を吐く。覚悟を決める。
 
いよいよ、勝敗を決する最終局面。

「いくぞ、セイバー」
 
そう宣戦布告し、俺は突撃を敢行した。




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あとがき

長すぎた。
特に前半部分が冗長ぎみ。
もうちょっと練習しなければ。