松井田
信越本線 明治18年開業:昭和37年電化複線化時、駅施設移転により消滅
我が国最古のスイッチバック型停車場である。
高崎を出発し、碓氷峠を目指す信越本線は、
磯部を過ぎると、すでに横川に向けて25パーミルの登り勾配が現れる。
その途中に位置する当駅は、必然的に折り返し構造の駅になったが、
横軽のアプト区間消滅を待つことなく、昭和37年、電化複線化を機に、
約2kmほど高崎よりの緩勾配区間に駅を移転、スイッチバックを解消した。
但し、貨物列車に関しては、しばらくの間、スイッチバックを使用していたようである。
その後、駅移転による地元民の不便さを補う形で、旧駅近くの勾配上に、
旅客専用駅(西松井田:昭和40年4月1日開業)を設けて現在に至っている。
それにしても、本線分岐点からホームまでの距離の長さといい、
驚くほどゆったりした構造であったことが偲ばれる。
これを、鉄道にとって「幸せな時代」の証左っだたと言ってしまうのは、
少々感傷的過ぎるであろうか?
スイッチバック時代の非常に貴重な写真を掲載させていただく。
*上段2枚は、田部井康修氏が撮影されたもの。まずは、信号扱い所の建物をかすめて、
本線とスイッチバック駅構内との合流付近を走る、D51628牽引の下り旅客列車。
*次は、ホーム端より撮影された、やはりD51牽引による上り旅客列車。
この頃は、まだホームが延長されていないことがわかる。
*もう1枚は、跨線橋から手前にホームが延長された後、末期のスイッチバック風景。
D51牽引の下り旅客列車が、“碓氷の守護神”ED42の待つ横川へ向かって、
最後のひとふんばりである。
*続く2枚は、戸田佳男さんが撮影された写真である。
上は、駅構内から本線を横断してバックで引き上げ線に入るD50牽引の上り旅客列車。
下は、本線上を行くD51牽引、上り準急「白樺」。その遥か後方に見えるのが、
松井田駅構内。よく見ると、駅には下りの「白樺」が待避中である。
*MAP下の左写真は、旧松井田駅の写真の中でも、特にレアな「引き上げ線」を捉えたショット
(田部井氏撮影)。
D51重連牽引の上り旅客列車(優等列車?)が引き上げ線から本線へと出て行くところだ
が、同線の関山や御代田などと比べると、引き上げ線が、発着線同様、本線に対して大きな角度を持って
引き出されていることが分かる。
*同右は、
金子章さんのホームページより転載させていただいた、
旧松井田駅付近の現状。
写真奥の町役場辺りが、旧駅があった場所。
本線分岐から旧駅に続いていた線路跡は、写真手前に見える草むらである。
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