わたしも街道をゆく/1993年/北海道へ
わたしも街道をゆく 1993年 北海道へ


1993年7月11日 枝幸からウトロへ 本日の走行距離334Km

爆走オホーツク

朝  4時、Sに起こされて外を見る。日の出だ。バイクの向こう、オホーツク海に真っ赤な朝日が昇っていく。なんてきれいなんだろう…と感動し、また寝袋にもぐり込む。

 R238を南へ降りてゆく。オホーツク海というとどうしてもどんよりした色と荒れた波しか思い浮かばないのだが、今回のオホーツクは、青い。エゾシカでもいそうな林の木々は生き生きしている。こんなに気持ちのいい道なのだが、単調ゆえに眠くなるので時々、休憩しながら走り続ける。道を歩いている小学生が、どこで覚えたのだろう、ピースサインを送ってくれる。嬉しいねぇ。

サロマ湖

 一気に常呂町まで降りてきた。お昼を食べ、能取湖沿いからまた別行動。私たちの場合、この方がいいようである。Sは能取湖を回ってから知床の岩尾別川で釣り、私は網走で見たいお店があるのでそこに行ってから小清水原生花園と斜里の博物館という予定だ。

 網走でR39に曲がるとすぐに、やまね工房というお店がある。手作りのぬいぐるみなどを売っているのだ。スリッパに履き替えてから入る小さなお店の中はかわいい動物のぬいぐるみだらけだ。ヤマネにエゾリス、ウサギ、モモンガ。絵はがきやバンダナも売っている。ぬいぐるみの中で一番安いヤマネを2つ買う。お土産と、自分のだ。5センチくらいで840円は、高いだろうか。他のも欲しかったのだが、今は買えない。東京に帰ってから買おうと、カタログも買った。

 R244を走る。海の向こうに知床半島が見えてきた。が、ちょっと嫌な雲がかかっているのが気にかかる。天気が悪いのだろうか。

電車  小清水原生花園へ。そうか今日は日曜日だったのか、とあらためて思ってしまうほどの人出だ。今までどこでもこんなにたくさんの観光客を見なかったので、ちょっと変な感じ。とにかく私も観光しよう、とタンクバッグに肩ひもをつけようとすると肩ひもがない。前にも1度、なくしたことがある、またやっちゃった。どこで使ったか思い出す…やまね工房だ。電話すると、ある、という。東京に帰ってから切手を張った封筒を送って、送り返してもらうことにした。まったくドジである。

 肝心の原生花園はほんの少しエゾカンソウとハマナスが咲いていただけだし、あまりにも暑いのでさっさと切り上げる。

 雲を被った斜里岳を見ながら、斜里町に入る。知床博物館に行きたいのだが、詳しい場所がわからない。たぶんこういう時は駅前の案内を見るのがいいだろうと、斜里駅へ行く。が、そんな案内はどこにもない。どうしようかなぁと自分の地図を眺めていると、かわいらしい女の子(といっても20才くらい)が寄ってきた。「今日は斜里でお泊まりですかぁ?」…なんと客引きである。この近くの民宿だという。研修生、というバッジを付けていた、大変だねえ。ついでなので彼女に博物館の場所を聞き、「今度来たら泊まるね」と調子のいいことを言って別れる。
 しかし、わからない。彼女の説明が悪いのか私が方向音痴なのかは知らないが、知床博物館はいったいどこなのだ。もういきあたりばったりで走り回り、それでもなんとか到着した。
 だが、そんなに苦労してまで来る程のことはないようだ。ここ斜里町には、川道美枝子先生というシマリス研究の第一人者が、シマリスの研究をしている森があるので、さぞやそういった関係の資料があるのではないか、という期待をしていたのだが…。(調べ方が悪かったんじゃあ>自分)

ああ知床半島

 斜里からはR334で知床半島に入る。海がきれいで嬉しくてしょうがない。
 ウトロに入り、まずはボンズホームという、民宿やレンタバイクなどをやっているお店へ行き、明日朝の、ネイチャーウオッチングボートに乗るための申込みをする。知床岬まで行くのは一緒だが観光船と違って、復路では動物がいると停まってゆっくり観察できるのだという。なんでもイルカの大群がいるとかクマがいるとかいう噂も聞いた。楽しみである。料金は2人で11、000円、情けないことに持ち合わせがそんなになく、あとで持ってきますといいながら申込用紙を記入していたところにSが私のバイクに気がついて入ってきた。よかったこれでお金が払える。
 Sはこれから岩尾別川に行くという。私もキャンプ場(国設知床野営場)に荷物を置いてから岩尾別へ向かう。

オショロコマ  国道を離れると工事中のダートもあり緊張したが、無事に乗り越え、岩尾別川へ。ちょうどYHの向かい側あたりである。すでにSは、オショロコマを3匹釣り上げていた。オショロコマというのはイワナの一種で、日本では北海道にしかいない。羅臼岳見ながら釣り糸垂れて、気持ちいいでしょ。
 食べる分だけ、ということで2匹だけを持ち帰ることにしてその場でさばく。ちなみにこれはSの仕事だ。情けないことに私は魚がさばけないのである。

夕焼け  キャンプ場へ戻ると、ちょうど夕日が沈む頃。三脚とカメラとビールを持って、キャンプ場の隅にある夕日台へ。そこには絵はがきでお馴染みの光景が広がっていた。ウトロ港をシルエットにして、オホーツクの空が赤く染まっている。水平線に雲があり沈む瞬間は見えなかったが、赤く燃える空、本当にきれいな夕焼けだった。

 夕食を食べてからお風呂に入りに行く。が、気がつけばもう9時過ぎ。キャンプ場隣のYHや5分ほど先の民宿でお風呂を使わせてもらえるのだがこの時間じゃもうだめかもしれない。昨日入っていないのだ、今日は何がなんでも入りたい
 YHで聞くと、宿泊者以外の入浴は3時から6時までだという。民宿もダメかもしれないねと言いながら歩いていると、知床岬ホテルの前を通りかかる。ここ、入れるかなぁ。聞くだけ聞いてみようか。
 フロントで「こちらで入浴だけさせてもらえると、聞いたのですが…」と、嘘も交えて聞くと「どうぞ」とのこと。350円で、気持ちのいい温泉に入ることが出来てしまった。聞いてみるもんである。

塩焼き ホイル焼き
 入浴後、またもや飲み始める。つまみはオショロコマ、塩焼きとホイル蒸しである。どちらもとてもおいしいが、塩焼きの方がおすすめだ。オショロコマという魚にはオレンジ色の斑点がある。焼けばそれは目だたなくなるがホイル蒸しだと斑点がそのままであり、ちょっぴり気持ちが悪いのだ。ちなみにホイル蒸しはアルミホイルに魚とえのきだけ、バターを包んで網の上に乗せておくだけという簡単なものだ。私に出来るものなど、たかがしれている。