わたしも街道をゆく/1992年/近畿へ
わたしも街道をゆく 1992年 近畿へ


1992年7月19日 王寺から奈良市内へ 本日の走行距離111Km

いとしの法隆寺

 お世話になったMちゃん宅を出発、ぜひ今度は家にも遊びにきてね。

 上牧町から斑鳩へ。しかしこれまたどこで間違えたんだろう、気が付くとまた大阪府内に入っている私。私が行きたいのは、法隆寺なのに!なんでだ?
 あわてて戻りやっと法隆寺に着いた。さすがに日曜日の観光名所、人がいっぱい。

五重塔 年の差550才  五重塔も金堂も講堂も人の流れの中にある。でもたとえば金堂で、その流れが途切れ、ただ一人で仏像の前に立つことが出来た一瞬のあの緊張感はなんだろう。私が見ているのではなく、見られている。いや、見透かされているというんだろうか、怖いような気がした。千年以上もの間たくさんの人たちの悩みを聞いたり、人の醜い所を見てるんだもの、私なんて簡単に見抜かれちゃうな。

 大宝蔵殿には、有名な仏像や宝物が納められている。その中の一つに私の大好きな百済観音がある。いつからここにいらっしゃるのか、その由来もわからないが、なぜか惹き付けられてしまうの。たしか中学の修学旅行の時ここで見てから好きなんだ。仏像が好きっていうのも年寄くさいけどまあいいではないか。

 人も多いし、ちょうど観光客が途切れても、監視員のオジサンがいるからあんまりいつまでも見ていられない。それでもしばらくは眺めている。うーん充実の時間だわ。

ジャンジャンバリバリ これも国宝ですか  法隆寺の隣には、聖徳太子の母間人皇后が建てた尼寺、中宮寺がある。本堂は新しいものだけど、靴を脱いで上がり、正面に在します弥勒菩薩の前に座ると不思議と敬虔な気持ちになる。そうか!今まで仏像を正座して見上げたことなんてないんだ。普通は見上げる位置にあっても私も立って見てた。座って見上げると、すがる、とか許しを乞う、とかそんな感じがしてしまう。でも半跏思惟の弥勒様、ちょっと笑ってなにを考えていらっしゃるのでしょうか

ああ死ななくてよかった

奈良街道  いよいよ暗峠を目指す。がR168から暗越奈良街道R308へ入る道が全然解らない。標識がないから、見落としたのかなあと同じ道を何往復もしてしまう。えーいここ曲がっちゃえ、と入っていった道は、さっきも一度曲がったけどこんな細い道のはずないと思って引き返した道だった。細くておまけにすごい急坂。たしかに地図ではR308は途中で切れてて車両通行止めになってるけど、途中まではちゃんとした赤い(国道ということ)道のはず。一速じゃないと上がっていかない! 苦しい。

 集落から少し離れると、わ〜きれい、段々畑が広がってる。降りてきたハイカーのご夫婦(多分)に頑張ってと励まされた。ありがとうございます私はまだこの道の先を知りませんが頑張ります。そういってるそばから道はますます細くなり、遠くから車の唸る音も聞こえてくる。よいしょこらしょと頑張る。あ、昨日の夜走った志貴生駒スカイラインが見えた、そして石畳だあ。写真で見るよりもかなりぼこぼこと凹凸があり走りにくい。休憩しよう、と思っても峠の茶屋があるわけじゃあないので、道の端にVTZを停めて、休憩。

 かつてここは奈良と大阪を結ぶ街道で(まあ今でも結んでるけど)、とても賑わっていたそうな。奈良県と大阪府の標識に並んで江戸時代の道標も建っているけど、かつての面影はどこにも無い。数年前まではそれでも峠の茶屋はあったらしいけどそれももうない。だけどここにも人は住んで生きている、下界に降りるのがこんな大変なのに。

 そこへバイクが2台来て、いやいやすごいとこですねえと話をする。気が付くと私は練馬、彼らは品川と栃木ナンバー、こんなとんでもないところで関東のナンバーが3台を集まったのもなにかのご縁、一緒に降りてお茶しようということになる。下りは今来た道よりもっとすごいって?やだなあ緊張しちゃう。

暗峠とても走りにくい<

 ああ本当に今まで生きてた中で一番怖い道だ。頭から落っこちそうなくらいとんでもない下り坂、もちろんくねくねしてる、車も走ってる。コケたらこの二人に迷惑掛けちゃうなあ悪いなあ。手が怖くて固まってる。ギアを落とすのにクラッチ握ったらこわくて元に戻せなくなった。ずっとブレーキ掛けっぱなし、もしここでブレーキ利かなくなったら死んじゃうかもしれないと思うとますます怖い。

元気でね栃木くん品川くん

 やっと平地に辿り着いた。平たくて真直ぐな道が泣きたいくらいに嬉しい。

 東大阪市内で休憩、しばしあーだこーだとおしゃべりを楽しんだ後、解散。栃木くんは再び暗越えに挑戦するんだって、頑張ってねえ。私はしばらく品川くんと大渋滞のR170をすりぬけ、阪奈道路の入口で別れる。あの暗峠下りも二人のお陰で心強かったです。どうもありがとう。

 阪奈道路は高速道路みたい。みんなビュンビュン飛ばしてる。時々出口があるんだけど私いったいどこで降りたらいいの。結局気が付くと一般道(阪奈道路も一般道だけどね)にいた。もう4時だ、とにかく宿を予約しておいて地図を見る。ここってどこなんだ?
 どうやら奈良のメインストリート、登大路にいるらしい。もうちょっとどこか見ようかな。斑鳩に戻って法起寺。もう門が閉まっていたけど塀の向こうに日本最古の塔が見える。塔って離れて見たほうがいいね。法輪寺に行くともう掃除を始めてた。でも「ゆっくり見てくださいね」とやさしいお言葉が嬉しかい。

奈良町散策

 今日のお宿は猿沢の池の近く、憧れの奈良ホテル、の裏にあるサンルート。庶民的だからサンルートって好きなのに、ここはずいぶん高級っぽい。気取ってるともいう。

身代わり猿さん  買い出しがてら奈良町を散歩。八木の今井町に似ている。やはり町人の自治で発展した町だ。もう遅いから資料館などは閉まってるけど、町並みを見ているだけでも面白い。どの家の門にも身代わり猿が吊されている。このお猿の由来は、庚申堂に書いてあったけど忘れちゃった。たしか悪いことした猿が反省して家を守るようになったんじゃなかったっけ。まんまるいお猿が可愛い。でも人々が普通に生活している町だから、カメラ持ってうろうろしてるのはちょっと人の目が気になる。

 商店街も歩き回ったけど、ないのこれが、持って帰れる食べ物売ってる所が。コンビニはどこ?古い町にそんなものあるのもいやだけど、今の私にとってはガソリンスタンドの次に重要なものだわ。結局ホテルのレストランで食べた。あー高くついた。