甘橿丘
細かい雨が降っている。朝食前に散歩に出た。
甘橿丘の頂上に立つと目の前に天香久山、少し離れて耳成山、左の方には畝傍山。そう、それは今から1300年も昔のことだけど、ここがこの国の中心だったんだ。大陸の文化を貪欲に学んでいった彼らに、世界はどんな風に見えていたんだろうか。でもきっとその頃から変わらないのは、人々はここに集まり明日香の風景を楽しんでいた事なんだろうな。今もほら、散歩中の地元の人たちが3人4人と集まって世間話を楽しんでいる。体操してるオジサンもいる。ここが本当にかつての甘橿丘なのかはわからないのだけど、そうならいいな。
天智天皇が造った(造らせた、だな)という水落遺跡や伝飛鳥浄御原宮(どうもここではないらしいが)を見て宿に戻る。しっかりと朝食をいただいて出発。あーあカッパ着なきゃ、やだなあ。
飛鳥めぐり
蘇我稲目が建てた最古の寺の一つだという豊浦寺跡、このあたりには推古天皇が即位した豊浦宮もあったという。さぞ華やかな儀式が繰り広げられたんだろう。今ここはただの雨の降る田舎の村だ。
今日は一日明日香の村を見てまわるので、その前に歴史のお勉強ということで飛鳥資料館へ。人が全然いないから警備員の人ばかりが目につく。ねえ私これでも史学科だったんだから展示物に危害なんて与えませんよ、そんなに監視しないでください。(史学科だからあぶないという説もあるな)
仏頭で有名な(さっき飛鳥資料館でレプリカを見た、想像していたよりもでかかった)山田寺跡、この畑の広がるここに大きなお寺があったなんてどうしたって想像がつかない。小さなお堂の前でオジサンが車の修理をしてた。
止まない雨の中を中臣鎌足生誕地、鎌足の母大伴夫人の墓、飛鳥坐神社と通りすぎ、板蓋宮跡へ。中大兄皇子と鎌足が蘇我入鹿を殺し、大化改新が始まった所。日本のちゃんとした政治が始まったところともいえるのだろうか。
でもさ、思ったんだけど、厩戸皇子にしても蘇我氏の皆さんにしてもとても美しかったという推古天皇にしても、みんな奈良弁だったんだろうか。そういってますのんやわーとか言ってたんだろうか。奈良の方には申し訳ないが、けっこうオカシイのだ。
のんびり民俗資料館
民俗資料館では、受付のオバサマと話が盛り上がっちゃって、2時間ぐらい遊んでしまう。これまたコーヒーをご馳走になりながら、息子がバイクの免許取りたいと言ってる、いいですよーバイクは楽しいですよ、などとおしゃべり。長男が東大から日銀、次男が早稲田、三男が同志社だなんて本当だろうか、すごいなあ、でも自慢げじゃなくって、すごく楽しいオバサマだった。これだからツーリングって楽しいんですよ、オバサマ。
2度目の石舞台、前に来た時も雨が降ってたっけ。あの時もちょうどお昼時分で観光客もたくさんいるしカッパ脱ぐのも面倒でお昼食べなかったんだ。でも今日はちゃんと食べました、笹の葉ずし。しっかり食べて後半戦に備えるのだ。
石舞台から吉野へ続く道、祝戸から稲淵・栢森のあたりは、段々畑が広がって、いいとこだなあ。雨でも景色が明るいし。でもやっぱりお天気がいい日にボーッとしに来たい。
高松塚古墳そして欽明天皇陵へ
やっと雨がやんでくれた。飛鳥歴史公園にバイクを停めて高松塚古墳に行ってみる。前にここに来たのはたった3年前なんだけど、こんなに整備されて壁画館まであったっけ。あんなに騒がれてたのに今はただの古墳かあ、と思いながら泥だらけの竹薮のまわりを歩いたあれは、もしかして高松塚古墳じゃあなかったの?
壁画館には石室の模型。盗掘口から見た室内の様子が分かる。昭和47年にこの壁画を目にした人はどんなに興奮したんだろう。想像しただけでも鳥肌がたっちゃう。いいなあ。古墳の方はしっかりと閉ざされ、中の気温や湿度が一定に保たれるような設備がなされている。素晴らしい遺産を未来に伝えるためだけど、朽ち果てていくのもまた自然なことでもあるような気もする。
でも自然のなりゆきの行き着いたところがこれじゃあちょっと被葬者も浮かばれないのが、鬼の雪隠・鬼の俎。石槨の蓋と本体が道の両側にひっくりかえってる。そのうえトイレ呼ばわりとは…。
吉備姫王墓で猿石を見て、すぐ横の欽明天皇陵へ(違うという説もあるらしい)。周囲が水濠になっている古墳を見たのはきっと初めてだ。宮内庁書陵部の人が見張り(?)をしている。またまたここでもコーヒーを入れていただいて、おしゃべりする。オジサンなのに(失礼)車は飛ばすしパソコン使うし(プログラム書くらしい)、おもしろかったなあ。
思うに、7月なんて観光シーズンじゃないし、きっとみんな暇なんだ。おかげで今日は2回もコーヒータイム、なんて優雅なんでしょう。
奈良の夜は早い。というか早すぎる
今日のお宿は八木のホテル。なんと1階はパチンコ屋なのだ。さすが地方都市。
7時すぎると開いているお店が無いというのもコンビニが無いというのも地方都市の特徴なのか!?暗くなって寂しい町をさんざん歩いてやっと見つけたお好焼屋さん。ホテルに帰ってぱくぱく食べた。おいしくて良かった。あんなに歩いてまずかったら許せない。