わたしも街道をゆく/1992年/近畿へ
わたしも街道をゆく 1992年 近畿へ


1992年7月13日 宇治山田から川湯へ 本日の走行距離264Km

内宮で神様とこんにちは

屋根ビュー?  こんなシケたとこ早く出ようと目を覚ましたのは5時、なのにぐずぐずコーヒーを飲んだりしていたら7時になっちゃった。

 朝の伊勢神宮内宮、観光客もさすがにまだあまりいない。砂利道をさくさくと歩く。木々の間から差し込む朝の太陽の光が神々しくてなんだか自然と神聖な気持ちになってしまう。なのに開店(?)準備をしているお守り売場(と言うのだろうか)の人たちがザワザワうるさいぞ。島路川という細い川を渡ると風日祈宮、まだ真新しい橋は鼻を近付けると桧の香りがした。
内宮1 内宮2 宇治橋

伊勢で赤福食べないとバチが当たります

赤福とお抹茶  やっぱり伊勢といったらこれでしょう、そう、赤福。おはらい町という参道にある赤福の本店、入口では大きなお釜でお湯を沸かしている。番茶と抹茶、どちらにしますかと聞かれ、たまには抹茶ってのもいいかもしれないと「抹茶がいいです」というと、ずずいずいと奥まで案内される。まるでお茶室のような部屋、誰もいないし涼しいし、もちろん赤福もおいしいし、ん〜いいねえ、しあわせ〜。でも私には、道行く人のざわめきを見ながら緋毛氈の上でばくばく食べるほうがあっているようだ。ちょっと落ち着かないのよね

赤福製作中  ここでは赤福を作ってるところも見ることが出来る。あんこの入ったでっかい容れ物を4人のオネエサンが囲み、手際よくあんこを餅につけてゆく。五十鈴川の流れを表す三本の線は指で付けていたのか。手際の良さはプロフェッショナル!って感じ。

 この参道は古い建物も多いけど、新築でもちゃんと木造なの。木の家というと古びたものしか見たことがないから、出来たばかりの木の家はちょっと変な感じがしてしまう、アルミサッシだしね。でも時と共にいい味を出してゆくのだろうな。銀行だって木造なのだ。キャッシュディスペンサーから寛永通宝が出てきそう。

私は白骨化したくない

 以前は有料道路だったという(そうは思えなかったけど)伊勢道路を走って伊勢を後にする。合歓の花が咲く、気持ちのいい道だ。
養殖中

こわいトンネル  くねくねした道が続いて疲れちゃった、海でも見ながら休憩しようかな。阿曽浦、という標識になぜかのんびりした浜を連想した私はふと国道を離れた。へえ立派な赤い橋がかかってる。…あれ、どんどん道が細くなっていくみたい。路面の舗装も荒れてきて、ダートみたい。ねえこの道ってそのうち行き止まりになっちゃうんじゃないの。気づいた時には引き返すことも出来なくて崖から落ちて死んじゃうかもしれない。白骨化した頃やっと発見されるんだ、ああ。

 自動車も通れないような暗くて細いトンネル、黄泉の国への入口だ。通りたくない、でも引き返したくもない、全速力で通り抜ける。怖かったあ。そのうち車がたくさん通ってる広い道が見えてきた。やった国道だ。助かった(おおげさだなあ)。
 くねくね疲れるR260、途中で事故渋滞に遭遇した。バンと乗用車がグチャ、バイクも何台か停まってて、バイクのオニイチャン達がなぜか交通整理をしてた。

熊野の石仏さんこんにちは…今日は神仏混淆だなあ

 海山町、というわかりやすいというかずいぶんと簡単な名前の町で、雨だ。雨宿りできる所を捜しているうちに、尾鷲でジャスコを見つけ、雨宿り兼お昼ご飯兼休憩。持ってくるのを忘れた折畳み傘を買うのも忘れない。
 雨も上がって出発。でもこの道(R42)って極端にトロイか早いかどっちかの車しか走っていない。眠くなったりあせったり、ずっと山の中だし、やんなってきた。でも、もうすぐ熊野の町というあたりで段々畑を見つけて喜んで写真を撮っていた時、ふっと気が付いたら道のすぐ脇にかわいい石仏さんたち。泊観音の参道と書いてあった。午後のお日さまを浴びてのんびり気持ち良さそうなお顔をしてた。なんだか疲れが飛んでゆく。

明るい農村 のんびり石仏さん

 本当は新宮からまた山の中に向かうんだけど、もうちょっと海を見ていたい。那智勝浦の、廃業してバケモノでも出そうなホテルの前で(目の前が海で、いいロケーションなのにねえ)ぼーっとする。磯では真っ黒な小学生たちが遊んでる。いいなあこれが正しい日本の海の小学生の夏休みだよね。塾なんて行ってちゃイカンよ少年たち。

ホテルはシーサイド 夏の小学生

熊野神社のやたがらすがサッカー全日本のマークなんだよ、知ってた?

熊野神社  新宮から熊野川沿いにR168をさかのぼり、本宮へ。熊野本宮神社、熊野大権現をお参りする。熊野古道を、かつてたくさんの人が何日もかけて歩き、ここを目指したのか。太いしめ縄のある門をくぐってお参りする。ここから先は写真撮影禁止。それらしくていいなあ。拝殿は最近建てなおしたばかり、やっぱり手摺りのにおいをかいでみた。桧の香りだ。時やたくさんの人の想いを重ねられて、変わっていくんだろう。

でっかいめはりずし

 今宵の宿は温泉なのだ(ユースだが)。川沿いに宿が並ぶ川湯温泉。同室の大学生の子と一緒にめはりずしを食べに出た。高菜の漬物でご飯を巻いてあるという単純素朴な郷土料理。でっかいからがぶりと噛み付く時に目まで見開いちゃうというところからめはりずしと言うそうな。味は漬物の味(あたりまえだ)。取り立てておいしいって訳でもなかったな。紫蘇ジュースっていうのにも挑戦してみたけど、これは意外にイケタ。
 ビールを飲んでおやすみなさい。