わたしも街道をゆく/1991年/東北へ
わたしも街道をゆく 1991年 東北へ


1991年8月8日 八戸から盛岡へ 本日の走行距離269Km

どうせばかみたいでしょーよ

 ちょっぴり寝坊してしまった。そろそろ疲れているのかなあ。
 R104で櫛引八幡へ。広い境内は杉木立に囲まれた静かなところ。甲府からこの地に渡った人々が開いたんだと、これは「街道をゆく」の受け売りである。木立の中を歩くと肺の中まできれいになるような気がする。

 八戸市内を通過して、うみねこの蕪島へ。うわあ、にゃあにゃあとうみねこがすごい。かもめもいる。気持ち悪いほどいっぱいだ。神社への階段も占拠されている。近付いても逃げないのが憎たらしいよね。と、うみねこ見てたら雨が降ってきた。

 激しい雨。種差海岸はきっととてもすばらしいところなんだろう、想像は出来る。うに丼屋なんてどこも開いてない。そりゃそうだこんなひどい雨の中、こんな所にいるのは私ぐらいだ、ばかみたい。
 迷いまくってやっとR45に出たって雨は容赦ない。久慈の友達の実家の前を通った頃にはもうぐったり。寒いしカッパの下のジャケットはぐっしょり。友達んちに上がりこんでお茶飲みたいぐらいだ

 本当にばかみたい、こんなに雨が降ってるのになんで走ってるんだろう。なんにもいいことないのにね。きっとドライブしてる人たちは私を指差して、雨なのにばかみたいって笑ってるんだろうなあ。でもばかなのは自分が一番わかってるだから、ほっといて

 2度あることは3度ある、とはよく言ったもんで、3度目の挑戦の(毎回迷子になっている)、海のアルプス北山崎は、またまた今回も見られなかった。きれいなはずのリアス式海岸も大雨の中。宮古からR106へ、海岸を後にする。

 内陸に入ると小降りになってきてほっとする。雨を含んで茶色い閉伊川がごうごうと流れている。
 だんだん路面が乾いてくるこの時、嬉しくて顔がほころんでしまうのは私だけではないはずだ。やったあ雨が上がった。カッパなんてこんなもの脱いでやる。5分後にまた降ってきたとしても、とにかく脱ぎたい。…ああ気持ちいい、ジャケット濡れてるから風が冷たいけど、そんなの気にしない。
 この道もなかなかすてき。単線で2両編成の山田線がガタゴト走り、藁葺屋根の家もある。のんびりした田舎を楽しみながら走りたいところだけど、けっこう車が多いので、一所懸命走る。

 盛岡に近付いてきた。雲がもくもく光ってるのは岩手山のあたりだろうか。
 ホテルに荷物を置いてから、北上川にかかる開運橋の上から見た夕焼けは、それはもう真っ赤できれいで、雨の中を走ってた苦労なんてすっとなくなる。嬉しくて泣けてきちゃう。明日は晴れだよね