わたしも街道をゆく/1991年/東北へ
わたしも街道をゆく 1991年 東北へ


1991年8月3日 秋田から大鰐へ 本日の走行距離264Km

菅江真澄さんこんにちは

 梅雨明け宣言なんて本当なんだろうか、今日も朝から雨である。

 旅の人だった菅江真澄(江戸時代の人)、市内にある彼の墓を捜す余裕はなかったが、ホテルの前に「菅江真澄の道」という碑があった。このあたりに住んでいたのだろうか。旅の人を目指す私がその近くに泊まったのも神様のお引き合わせかなあ。
 R13、45を通り角館へ。黒い板塀の中の武家屋敷。バイクを下りてゆっくり見学したいけど、こんな雨ではカッパ脱ぐ気にもなりゃしない。武家屋敷の前に止まって、今度また絶対来るから、と自分に言い聞かせ、角館を後にした。

方向音痴

 今日の泊りは大鰐温泉、彼(当時(^^;)と待ち合わせである。
 それにしても雨がひどい。いやいや走っているうち、交差点でどちらに行けばいいのか迷う。雨の中地図を見て…あ、あれえー北上してる筈なのに、なんで南に向かって走ってるんだ? な、なんと角館から20kmも間違えて走ってしまった私、それもこの雨の中。情けなくて嫌になる。40kmのロス。そしてまたもや角館を通過、ここで曲がったからいけないんだよね、と交差点を確認しつつ、R105、285を北上。

 道の両側には田畑が広がり、遠くに小さな丘がある。畑の中に点々とある家、どの家もまわりを数本の木に守られている。
 いいなあ私はこういう風景の中を草の匂いをかぎながら走ってるのがたまらなく好きなのに。写真撮りたいなあ、今回のツーリングでは大好きな風景をいっぱいカメラにおさめるのが目的だったのに。フィルムいっぱい買ったのに。なのになんでこんなに雨が降ってるんだろう。晴れていればきっと草いきれでむせかえるはずの道。悲しいくらいの雨が憎い

雨の休憩

 ツーリングの雨、一番辛いのは休憩。カッパを脱ぐには屋根がなくてはちと大変。やっと見つけた屋根付き自動販売機群、カッパを脱げばジャケットは雨がしみてびっしょり。どうもさっきからやけに冷たいと思ってたんだ。寒くてホット缶紅茶を震えながら飲む。なんの因果で8月に、こんな思いをしなくちゃいけないんだか…。(結局この寒さとは最後までのお付き合いとなる。)
 そんな中での人との会話はホッカイロ並みの威力がある。夏の間は古い家を借りて布教活動しているという千葉のエホバ系の人。色々聞いてみたいこともあったけど、長くなりそうなのでそれはやめといたが、大変ですねえ、なんて思わず言ってしまう。

 また道を間違えそうになるばかさ加減をもてあましつつ、東北自動車道と寄り添うように走るR282の細い道を走る頃にはやっと雨が上がる。雲間の青空と乾いた路面が泣きたいほど嬉しい。朝からお茶と缶紅茶以外は(あとキャンディ)口にしていなかったのを思い出し、大鰐の町に入ったところでかなり遅い昼食に山菜うどんを食べて、ホテルにチェックイン。ああ疲れた。
 しばらくすると彼も到着。天気は悪いし調子は悪いしでかなりぐったり。けど夜は温泉らしく(?)卓球に精を出した。