わたしも街道をゆく/1990年/北海道へ
わたしも街道をゆく 1990年 北海道へ

1990年8月13日 釧路から門別へ 
 朝が来た。北海道に丸一日いられるのは今日が最後、明日フェリーに乗る苫小牧のなるべく近くまで行きたい。
 釧路を出、釧路湿原が一望できるという岩保木山へ向かう。R391から左折するとずっとダートである。どこかでもう一度曲がるはずなのだが道が全然わからない。アブがぶんぶん飛んでるし、もーやだやめよう、と諦める。すっかり時間の無駄になってしまった。急がなくっちゃ。

 釧路市内を出たとたん、霧の中。いったいどこを走っているのかまるでからない。内陸に入ったのかと思ってたらまだまだ海岸線だったりする。
 R38沿いのホクレンで給油。北海道といえばレモンイエローのホクレン、一週間もいるのになんと初めて立ち寄る。憧れてたんだホクレンでガソリン入れるの。でもでもオジサン! 本人の了解を得ないで荷物に旗、立てないでください。ポリシーだったんだから、なにがなんでも旗なんか立てないって……嫌いだったのに。でも抜くに抜けず(せっかくやってくれたのに申し訳ないじゃない)そのまま走り続ける。
 きっと旗のせいだわ、しばらくしたらまた雨だ!元気いっぱいに降り続く。

 本当はR336、ナウマン国道を通ったほうが襟裳岬には近いし走ってみたいんだけど、ダートなんだそうだ。かえって時間がかかるに違いないという結論になり、帯広経由で行くことになる。
 そして雨の中、大ボケをかます。ばかなヤツだと自分でも思ってたけどここまでばかだったとは。帯広市内でのこと。左折のウインカーを出して直進してしまった、それもその前にいったん停まって、ここ左だねって確認までしておきながら。ああ情けない。

 広尾線が走っていた幸福駅。雨が上がり、カッパを脱いで見学。廃線になってしまっても、この駅はにぎやか。お土産屋さんでは切符を売っているし、駅舎には使い終わった定期券やら違反キップがべったりと一面に貼ってある。
 走り出したとたん脱いだカッパをまたすぐ着る。ああカッパ着たままで私の北海道での時間がどんどん過ぎていくなんて。

 だけどそんな私をかわいそうに思ったのか、北海道の大自然は、私にすばらしいお土産を見せてくれた。
 R236、336を襟裳岬に向かって走る。広尾を過ぎて、黄金道路に入る。晴れたり降ったりのキツネの嫁入りだ。襟裳岬に急げ急げ、と走りながらふっと海を見た。

 虹だ! 海に虹がかかってる。端から端までまあるくきれいに見える虹。無線で「虹だあ」と後ろを走る彼に叫び、路肩に急停車。興奮して、通りすぎるライダーたちにも虹だ虹だと海を指差す。わざわざUターンして来た人と3人で感動。写真も撮りまくる。しかし残念なことに私のニコンF3さんは、フィルム装填ミスで空写し。(そんなのばっかである)それがわかったときは悔しくて泣きそうだった。でもいいの、私は私の目で、あのきれいな虹を見たんだから。絶対忘れない。もしだれもいなかったらあまりの感激で大泣きしてたかもしれない。

 興奮さめやらぬまま襟裳岬へ到着。北海道ツーリング最後の観光地。とにかく今日の宿を押さえて安心してから(って言ったってここから130キロもある! もう4時なのに)昼食兼夕食の刺身定食を食べ、のんびり観光する。
 ここは日高山脈が海に落ちるところ、岬の先に点々と連なる岩。大昔は陸、山の頂上だったのかもしれない。アザラシの赤ちゃんが見えるらしい。双眼鏡で案内図に従って捜していくといたいた、岩の上にゼニガタアザラシの子供。1匹しか見えないけど、楽しそうな顔して岩の上でゴロゴロしている、かわいいねえ。私のキーホルダーのゴマちゃんもかわいいけど、あの子もいいなあ、荷物につっこんで連れて帰りたい。一回100円の双眼鏡、3回も見てしまった。

 さてともう5時だ、門別町まで130キロ、頑張ろう。
 えりも町の日石のスタンドでまた旗をもらう。開き直って無線のアンテナに結び、出発だ。

 日が落ちると本当に真っ暗になっちゃう北海道。R236、235、昼間だったらきっと、サラブレッドたちが草を食むところが見られるのだろう。私は夜走るのは苦手だ。しっかりしろと言い聞かせても頭の中が真っ白になってゆく。たまにすれ違う対向車のライトに、夏の虫みたいに寄っていきそうで怖い。
 無事に着くとはとうてい思えない。今までの経験からいくと、明日は帰るという日にカッパを来て走っているとなぜか私は、コケるのだ。今度はどんな目に会うのか、コケたくないよー。
 ボロボロに疲れてそれでも8時、無事に門別の宿に着いた。私も疲れたけど、一諸に走ってた彼もさぞ気疲れしたでしょう、おつかれさまでした。

 北海道最後の夜は、あんまり出ないパチンコやって、景品つまみにビールを飲みつつ更けていく。


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