ひとりになり、R272を北へ。
北海道といえば、このままずっと走っていったら空に飛び出せそうな真っすぐな道。両側に丘陵が広がり、あちこちで牛がのどかに草を食べてる。日本にもこんな所があったのか、ああここって本当に北海道なんだなあ。
すごいなあって、本当に思う。何回停まって、何回シャッターを押したたことか。だけど、北海道さん申し訳ない、私は少々飽きてきた。単調なんだもの。アクセルを開けてる右手が疲れる、いつもツーリングだとクラッチをきる左手が痛くなるのに。まぶたが重くなってきた。ガムを噛んだり歌を歌ったり、なんだかまるで高速道路走ってるみたい。
知床へ向かっている。また大好きなオホーツク海に会える。だけどこの道は時々ちょっとでも道が曲がってると嬉しくなるほど、ずーっと単調なストレート。脳味噌が溶けそう。今日は観光しないでまっすぐ知床に行く予定だったけど、気分転換しなくっちゃ。高校野球では残念だった中標津、なんだかあまりにも「北海道ツーリング」っぽくてなんとなく行きたくなかった開陽台へ、やっぱり足が(タイヤが?)向いてしまった。
国道から開陽台へのあの有名な24号線、アップダウンを繰り返して地平線まで続いている。なんてすごいんだろう。どこまでもまっすぐな道にしばしボーッとしてしまう。
ぐるっと見渡すと、360度ぜーんぶ地平線の開陽台。天気は悪いけど、気持ちがいい。思っていたよりはオートバイが少ないなあ。とても寒くて(ジャケットの下にカッパ着て、やっとしのげるくらいの寒さ。たしか東京は夏だったのに、北海道の夏はどこに行ってしまったの)、ホットミルクが冷えた体に沁みていく。今度来る時は青空いっぱいの時がいいな。
R244に出るために近道をする。こんな農道だってなんだかいい感じ。真っすぐ続く道、車なんてまるでいないし、時折きれいな花の群生があらわれる。観光ガイドに出てるところだけが北海道じゃないね。私だけの北海道を見つけて私とVTZは大満足。
北上するにつれて、青空が広がってきた。さっきまでの寒さがうそみたいに、あったかへい。顔が勝手にニコニコしちゃう。
R244から334へ。オホーツク海さんひさしぶりです。いよいよ知床、今宵はキャンプ、楽しみ楽しみ。
宇登呂キャンプ場で、彼(当時(^^;)と待ちあわせている。買い出しするんだから早く来いよ、と言われてたのだが順調に到着しそう。ヤツは港で釣りでもしてるかな、と走ってたら、あ、ドライブインに見覚えのあるバイク。急停止して駐車場に入り、横にかっこよくVTZを並べようとしたのに、Uターンって苦手なんです、ねばった揚げ句、立ちゴケ。あーあ、かっこわるい。近くにいた女性ライダーさんが助けてくれた。
海に面した2筋の滝、オシンコシンの滝を見てからキャンプ場へ。
ユ―スと墓場の間にあるという、環境抜群のキャンプ場、カラスが沢山いて気持ちが悪いなあ。ユ―スでシャワーを借りて戻ってくると、ちょうど夕日が沈む時間。ちょっと天気が悪くなってきたけど水平線のあたりには雲がなく、きれいな夕日が見えた。ウトロといえばこのアングル。でも頑張って撮った写真、ボケた夕日になってしまた。
キャンプで一番好きなのは一日無事に走り終って、お疲れさま、って飲むこのビール。手でちぎった野菜も味付けジンギスカンも、どんなオシャレなレストランのディナーよりおいしい。ちょっと落としたって大丈夫、死にゃーしない。いつもはこれでもけっこう神経質なのに不思議だよね。パラパラ音立てて細かい木の実がいっぱい降ってきた。一緒に食べちゃっているような気もする。時々雨も降ってくる。でもそんなこと気にならない。
ふとテントの外を見ると暗やみになにやら動物の影。犬じゃない猫じゃない、キタキツネだあっ! エサを探しにきたのだろうか。黒い影はすぐにいなくなってしまったけど、初めての生きてる(初めて見たキタキツネは道路の端で死んでるヤツだった)キタキツネとの遭遇に興奮。さすが知床、大自然だねえ。
でも、一番楽しみにしてたカムイワッカ湯の滝、朝早いとゲートが閉まってるし、工事中で道がかなりひどいらしい。(もとからダートの道がそれよりひどいってどんなの?)新しい水着まで買ったんだけど、残念、今回は行くのは諦めることになった。
夜中に、ものすごい突風で目がさめた。キャンプ場の上空で風が荒れ狂っている。テントがひしゃげるほどの風が吹きつける(本当にテントの骨が曲がっちゃった)。もしかして台風が上陸したの? よそのバイクが倒れてたという。やだVTZは平気かなあ。