わたしも街道をゆく/1990年/北海道へ
わたしも街道をゆく 1990年 北海道へ

1990年8月9日 網走から釧路へ 
 2日続けての二日酔いで網走を出発する。オホーツク海沿いのR244、海を見ながらのんびり走る。海岸に廃船が横たわっていた。小さな花たちに囲まれた朽ち果てた船はなんだか悲しかった。

 小清水原生花園をちらりと眺めてから南へ。かっこいいオホーツク海と別れて太平洋側へ向かう。今日は北海道縦断だ。

 R391を下る。網走の厚い雲はどんどん後ろに流れてゆく。これから向かう方角には青空が広がっているのが見える。なにしろ空が広い北海道、あっちが晴れ、あっちは雨が降ってるって見えてしまう。晴れてるほうに行くときはわくわくだけど、そうでないときは泣きたくなる。

 目の前に、煙を上げてるおどろおどろしい山が見えてきた。硫黄山だ。こんな遠くにいても硫黄の匂いがしてきそう。
 国道を離れ、摩周湖へと向かう。途中から背後の屈斜路湖が美しく輝いているのが見える。ワインディングが続くけど、思わず止まって見てしまう。
 摩周湖第3展望台の下にバイクを停め、展望台への階段を上がる。心のどこかで、どうか見えませんように、と思ってる。ああ、霧の摩周湖、きれいに見えたらお嫁に行けないなんて誰が言い出したの?…神秘的で、美しくくっきり見える摩周湖をこの目でしっかと見せていただいた。えーえーたしかに嫁には行ったが戻ってきましたわよ。くそ。

 振り向くと向うには屈斜路湖。湖って、高い所から見たほうがきれいだよね絶対。湖畔まで行ったって観光バスとお土産物屋ばかりで人の波に疲れてしまいそうだから、屈斜路湖はここから見るだけにしておこうっと。
 山口から来た男の子と知り合い、しばらく一諸に走る。どうやって北海道まで来たの? って聞いたらなんと下北半島の大間まで、国道をずっと走ってきた、それも京都で一泊しただけ、だって。帰りも同じように走って帰るんだという。すごい根性してるなあ。

 R241を阿寒湖へ。
 阿寒湖は思いっきり観光地。特別天然記念物、とは言ったってまりももお土産屋さんの店頭で売ってるんじゃあ、ありがたみがない。ふてくされた夏毛でキタナイキタキツネは繋がれてるし、なんだか疲れちゃう。湖畔に近付くと泥がぼこぼこと煮立っている。「ボッケ」というんだって。雄阿寒岳を望む湖畔まで行くと、砂利を掘れば熱湯が出てくる。つまり温泉? 地球って生きてるんだなあ、ふしぎなことばかり。

 国道を離れて細い道を奥へ進む。木立に囲まれてひそやかに佇んでいるのは小さな湖、オンネトー。晴れていれば見える雌阿寒岳も阿寒富士も見えなかったけど、それでも充分すてきな所。観光客がこんなにいなければ、もっと神秘的なんだろう。こんなくねくね道の奥にあるのに、観光バスはやっぱりここにもちゃんと来るのだ。
 牧場でミルクを飲んで山口くん(←山口からきたから山口くん)とお別れ、私は釧路へと向かう。

 なんかいいねえ、嬉しいねえって、Kさんと二人で感激してしまった。
 6日に約束した通り釧路で待ち合わせ、市内の有名な炉端焼き屋さん、鱗へ。お店の中はカウンター席しかないんだけどぐるりと満員。せっかく来たのにどうしようかあ、って困ってたら、座っていたお客さんたちが、詰めれば二人ぐらい座れるよって別のお客さんにも声をかけてくれた。みんなが詰めてくれて私たち二人分の席が出来た、ありがとうございます! うれしい〜
 つぶ貝にほっけ、いか焼き。どれもこれもおいしい。ちょっと色っぽく、カウンターの中で斜め座りで魚や貝を焼いてるおかみさんも素敵だ。Kさんと、つのる話にビールも進み、最後に食べた筋子のおにぎりとあつーいしじみ汁、こんなおいしいもの食べちゃってもいいの? 幸せすぎ。


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