わたしも街道をゆく/1988年/九州へ
わたしも街道をゆく 1988年 九州へ

1988年10月21日 長崎から福江島へ 本日の走行距離128Km

 2日間お世話になったIくんとお別れ、フェリーに乗って五島列島、福江島に向かう。

 バイクを積んでいる時に「後で遊ぼうね」と言ってくれたオニーサンが、甲板でボーッとしてたらやって来た。後で操舵室見せてあげる、と言う。面白そう。でもいいのかなあ。
 そうこうしているうちに、迎えに来てくれた。そう簡単には入れない、操舵室に、侵入だ!
 ちょっと太めのTさん、小林稔待に似てる甲板長さんとおしゃべりをする。コーヒーまで入れてもらって、楽しいひととき。一番面白かったのは、左右に付いてる予備用の操縦桿を動かしたこと。右に十度回したら、船が動いた!一瞬のことだけど感動。すごーい、こんなでかい船、動かしちゃった。

 すぐ近くを船が行く。操舵室内に緊張した空気が流れる。真っ黒の船。海図を確認したり双眼鏡で見たりとあわただしい。朝鮮の船、だそうだ。こんな日本の近海にまでやって来るのか、驚いた。
 飛び魚が飛んでるのも見た。あれって、けっこう長い時間(と言っても数秒間)空中にいるんだ。知らなかったなあ。
 楽しい経験たくさんさせてもらって、時間があっという間に過ぎてしまった。もう、福江港だ。バイクを出す時、若い船員さんが「気をつけてね!」と声をかけてくれる。ありがとう、みんな暖ったかいね。

 福江島に到着。ヘルメットかぶらないで降りていったら、おまわりさんがいておっかない顔してた、ごめんなさい。でもノーヘルで上陸するのって気持ちいいんだもん。

 堂崎天主堂へ向かう。細くて舗装はガタガタ、海に落ちそうな悪路。でもそれだけに、天主堂に期待がかかる。観光化されてないといいなあ。
 おお、入江に面した煉瓦造りの天主堂、すてき。資料館になっている内部をひっそりと一人見て回っていると、敬虔な気持ちになってくる。神様私の旅を見守ってください。つい献金してしまった。
 道が分からなくて遠回りしながらも、いくつかの教会を見る。観光ガイドに載ってないような所でもとてもきれいで、ほんのり暖かさが伝わってくる。こんな離島になんで?という気もするが、それだけ宗教と島の人たちの心が一つなんだろうね。
 有名な井持ケ浦天主堂は工事中でがっかり、それも鉄骨組んでるとこなんて見ると興醒めだ。気をとり直して大瀬崎断崖に行こうとするが、途中が工事中。砂浜みたいな砂の道。絶対コケる自信があったから行くの止め。でもUターンも大変だったのだ。

 七ツ岳のふもとにある国民宿舎へチェックイン。釣り客が多く、夕食時に釣ってきた魚のおすそわけがあった。塩焼き、おいしかったなあ。隣の席に座ったオジサンにはビールを一杯ご馳走になりながら、話が弾む。

 …ねえオジサンそこでやめとけばオジサンいい人だったのに、食事終わって部屋にいたら、ニヤニヤしながら「あとで遊びにきませんか」なんて言いに来て、あれじゃあただのスケベオヤジだ。ちょうど寝入った頃に電話かけてきたのもオジサンでしょ、やだやだ。(むろん遊びになんて行ってない)


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