わたしも街道をゆく/1988年/九州へ
わたしも街道をゆく 1988年 九州へ

1988年10月17日 阿久根から雲仙へ 本日の走行距離206Km

 会社にいた頃の、やけに具体的な夢を見て起きた。なんか疲れた。

 それにはっきりしないお天気。走りだしてもなあんか面白くない道。しばらくのうち、気分がいまひとつ乗らない。

 黒之瀬戸大橋を渡り、長島は蔵之元から30分だけフェリーに乗る。たった30分のフェリーでも出航する時にはしみじみしちゃう。天草、牛深、ここからはキリシタンの里、教会めぐりが始まるのだ。
 R389は海岸線、というかもう道の下は海。時々ひどく舗装が荒れていて走りにくくて海に落ちるかもしれないと思うほど、海に迫った道だ。
 突然、写真を撮っている人がたくさんいる。それもみんな同じ方にカメラを向けている。そちらを見ると…教会だ!崎津天主堂、漁村の中の教会は、ミスマッチなはずなんだけどやけにしっくりとしてかっこいい。生活に根ざした信仰の中心だからかしら。

 海から離れて内陸部を走ると、山あいの風景に似合わない白亜の教会、大江天主堂。資料館あり駐車場あり土産物屋ありと、なんだか有り難みがない。教会の中をのぞくとそこは畳敷きになっている。隠れきりしたんという言葉を思い出す。庭の片隅では崩れてなんだかもうよくわからない石像(石碑?)を見つける。マリア観音に違いないと、ひとり興奮。

 いつ降ってきてもいいような曇り空の下、本渡市を越え、天草五橋へ。JRのポスターのそれは本当にきれいで、私はとっても楽しみにしてたのに……1つ2つと数えても、5つのうち2つしか分からなかったし、橋自体かっこいいとも思えない。損した気持ちを抱きつつフェリーに乗るため三角へ。
 フェリー乗り場では東京から来てる団体旅行のオジサン達にとり囲まれて珍しがられ、なんだか恥ずかしい。こんな時期外れに、なぜかバイクが多い。その一人、幕張市から来てる50ccバイクの大学生、Hくんとおしゃべりしてるうちに、島原半島へ到着。ターミナルの外で写真を撮っているところを、さっきのオジサン団体がバスで通る。頑張れよーと声を掛けられ嬉しくなる。ガンバリマス(なにをだ?)。

 雲仙温泉の国民宿舎、フロントマンは感じ悪いけど、温泉が気持ちよい。


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