わたしも街道をゆく/1988年/九州へ
わたしも街道をゆく 1988年 九州へ

1988年10月16日 鹿児島から阿久根へ 本日の走行距離256Km

 灰が降るから軒下に入れておいたほうがいいと言われてそうしておいたVTZ、朝起きてみればそれでもうっすらと灰をかぶっている。鹿児島の人たちは本当に大変なんだなあと実感。洗濯物なんて外に干せないねえ。ロイヤルホストでコーヒーを飲んでだ数十分間でもう灰が。

 市内観光はパスして、指宿スカイラインへ。たいしたことないよと言った人が一人、お薦めだよと言った人が一人、果たして如何。
 眼下には桜島や石油コンビナート。道幅が狭くって走りにくいなあ。うーん、私の結論はたいしたことない、だな。

 スカイラインを下りるとまんまるの池田湖、大うなぎがいるのかと思うと気持ち悪い(ウナギ嫌いなんです)。でもなんたってかっこいいのは開聞岳。円錐形にきれいなお山が青空をバックに前景にはすすきの穂。荷車曳くいてる馬もいて、いいなあ。
 開聞岳のふもと、枚聞神社というところでお祭りをやっていた。すかさずVTZを置いて見物。「東京ドーナツ」ってのが目に止まった。東京、なんてなつかしい。東京って言うとオシャレなイメージでもあるのかなあ。のぞいてみると揚げてお砂糖まぶした普通のドーナツ。「なんで東京ドーナツって言うの?」なんて話しかけ、しばしそこで遊んでいる。揚げたての熱々のドーナツ、おいしかったあ。
 …あれ、パトカー、そして渋滞。まいったなあ事故かしらと思ったがさにあらず。枚聞神社のお祭りの稚児行列だ。幼稚園くらいの小さい子たちがきれいな着物着てお母さんに手をひかれ、神官の白馬に守られつつ歩いてる。かわいいー。片側相互通行にもかかわらず、停まって写真を撮ってしまう。

 枕崎市のバイク屋さんで昨日曲げちゃったミラーを修理。国道を離れ、いい所だと友人のお墨付きの、坊之津・野間岬へ。
 どうしてこんな色してるの?って不思議に思えるほど、海の色が美しい。白い布をひたしたらきっと真っ青に染まってしまう。遥か昔に中国大陸から仏典をたずさえて日本に上陸した人たちもこの景色を見たんだろう。でも鑑真上人はその時にはすでに見ることが出来なかったのか。
 国道に出ると、なんてことない道。モナカアイス食べたりコインランドリーで洗濯したりと忙しい。R3を走っている頃、ちょうど日没。真っ赤な夕日が沈んでいった。


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