わたしも街道をゆく 1987年 伊勢へわたしも街道をゆく 1987年 伊勢へ
６時、空が朝日に染まって、昨日とはうって変わってすがすがしい気分で出発。Ｒ１を鈴鹿に向かう。木曽川を渡るところで真っ赤な日が昇った。２日も続けてこんなきれいな朝日を見られるなんて、嬉しいなあ。
でもひとつ心配事が。もうすぐガソリンが無くなっちゃうのに、開いているスタンドが、無い。やっと見つけてもバイトのおにーちゃんなのか、「鍵持ってないんですよ」だって…。でもわざわざＲ２３に出て、やっと給油できた。ああ良かった。
またＲ１へ。みんな飛ばしてるなあ、ここって高速道路だっけ？
コースから聞こえてくるエンジン音に胸がワクワク。鈴鹿サーキットだ。８耐見に来たいなあ、と思いながら、正面ゲート前で写真を撮った。
Ｒ２３で、津、松阪を通り、伊勢へ。伊勢神宮、まずは下宮を参拝。ちょっと走って内宮へ。これが正しい参拝順路なのだ。
真っ赤に染まった紅葉が五十鈴川に映ってる。玉砂利を踏みながら参道を歩く。天照大神が鎮座ましましててもおかしくない、本当に神様がいるみたい。神社仏閣なんて観光地化してるところが多いのに、まったくそういう感じがない（門前は別だけど）。いいねえ、気に入った。
もうひとつ、気に入ったのは、赤福。緋毛氈を敷いた縁台の上で、お茶とあんこがたっぷりのったお餅、おいしい！ すっかりファンになってしまったのだ。
伊勢を後にして英虞湾に望む賢島へ。たくさんの島が湾の中に浮かんでる。船で回ったほうがもっときれいなんだろうなあ。
志摩パールロードを走るため、少し引き返す。反対方向に行く入口から入ろうとしちゃって、ああ焦った。おかげで、私のＣＢＲのメーターが１００００キロを指す瞬間を見ることができなかった。ちぇっ。
太平洋が眼下に広がる、志摩パールロード、もう最高に気持ちがいい。道もすいてて下手なりにコーナーも楽しんじゃう。
うわぁ、これは写真撮らなきゃ、って止まった場所が、偶然、前にいた車と一諸。夫婦連れのそのお二人にシャッター押してもらったり押してあげたりして、また走り出す。
鳥羽では有料駐車場にバイクを止めるぐらい観光するゾって意気込んでたけど、なんだかつまんない。水族館もミキモト真珠島も見ないで、フェリー乗り場で次の日の朝のフェリーをチェック。
ちょこちょこと渋滞しつつあるＲ１６７のすぐ脇にある、初日の出の写真に欠かせないロケーション、夫婦岩の二見。もう夕方だけど、とりあえずお昼ご飯に名物伊勢うどんを食す。たれのなかにどっぷりと麺がひたってる、けっこうおいしい。
海のすぐ横にある二見興玉神社は、かえるが守り神らしい。お守りはもちろん、御手洗（みたらし、手と口をすすぐところ）まで、かえるさん。無事帰る、というわけで、もちろん買う。その参道（というか波打ち際というか）から手を伸ばせば届きそうな（届くもんか）所にあるのが、夫婦岩。想像してたのよりも全然小さいので、なんだぁ、という感じ。
駐車場で、大阪から来た男の子に、「ひとりで走ってて寂しゅうない？」って聞かれちゃった、残念でした楽しいもんねー。
再び伊勢市内に戻ってきた。ホテルはどこだ、と走っていたら、あっ、なんと昼間パールロ―ドで会った人がいた。聞けば、市内で焼き肉屋さんをしているそうで、嬉しいことに、ご飯食べにきなさいと誘ってくれた。地図を書いてもらい、ではまたあとで、と私はホテルに向かう。
そして…
ローカル線に乗ってみるのもいいかな、と思い、ＪＲ東海の伊勢市駅から、参宮線で山田上口へ。さすがに電車はすぐには来ない、東京でこんなに待たされたらみんな怒っちゃうだろうに、ここの人たちは待ってる。東京がせわしないんだよねきっと。
一駅隣りの山田上口は、無人駅。切符を受け取るのは今乗ってた電車の車掌さんだ。駅舎からでたら、真っ暗、あらまあ困った。やっぱりタクシ―で来るべきだった？ 先のほうの大通りまで行くとガソリンスタンドがあった。食事中だったけど乱入して、道を尋ねる。
あったあった、Ｍ苑、ほんとに来ちゃいましたよ。忙しい時間なのに、ビールをついでくれたり、世話を焼いてくれて嬉しくなっちゃう。ついにはご馳走になっちゃって、申し訳なかったです。松阪牛だし、本当においしかったです。帰りはタクシ―にまで乗せてもらっていたれりつくせり。
考えてみたら、これって私の生涯初めての外国の人とのコミュニケーションだったんだよね。日本語がぺらぺらしゃべれて、日本で商売しててでも日本人じゃないのってどういう感じなんだろう。ソウルオリンピックがすごく楽しみみたいだったな（このとき、しきりに翌年に迫っていたソウルオリンピックの話をしていた。「パルパルオリンピック」の「パル」がなんのことか、韓国語を勉強しはじめたわたしは最近やっとわかった…パルとは数字の８のことなのでした）。
今日はとても充実していた、気がする。