わたしも街道をゆく 1987年 東北へわたしも街道をゆく 1987年 東北へ私がいったい何をしたというのだ。今日も朝から大雨だ。
小岩井農場へ行く。小岩井有料道路はどしゃぶり、料金所のおばさんが、荷物に着いてるウルトラマンキッズも濡れちゃってかわいそう、だって。私だってかわいそうだい。
楽しみにしてた「まきばモーニング」（しぼりたてのミルクとかいろいろ飲み食いできるやつ）に、ぎりぎりで間に合わなかった。そこにまだ残ってるじゃない、くやしい。他に食べるものもないみたいだし、なあんにも見る気なんてしない。雨だし。ミルク飲んで、終わり。
雨の駐車場で出発の準備してたら、東京から来た男の子が話しかけてきた。目黒に住んでる大学３年生Ｋだ。盛岡市内で一緒にラーメンを食べ、お昼頃までうだうだしゃべる。
私はこれから郡山まで行かなくちゃいけないんだけど、お茶しようよと言うので、喫茶店に場所をかえ、またしゃべる。東京帰ったらツーリングでもしようか、なんて話もする。
よっぽどヒマだったらしくてなかなか開放してくれない、困った。
そのうちやっと出発できる。東北道、盛岡インターの入口でバイバイ。（こいつがさあ、東京でまた会ったんだけど、なんか勘違いヤロウでとってもムカついた）
東北道は大雨注意報が出てたらしいけど、本当にすごい勢いで雨が降っている。そのうえ寒い。８月、夏のさなかにパーキングで止まるたんびに、寒いよう、って震えながら暑いコーヒー飲んでるのって、涙が出るくらい悲惨。ああどうして私はバイクなんかに乗っているんだろう？
渋滞しているし、どんどん薄暗くなってゆくのが不安。あっという間に真っ暗、とりあえず今日の宿には連絡しなくちゃ、でも公衆電話も渋滞中。やっと私の番、スイマセン遅くなります、と電話。
田舎だから、高速のまわりは山、雨で濡れた路面が怪しく光る。泣きたい。ここでコケたら、轢かれて死ぬのかなあ。
郡山ＩＣを出たのがすでに８時。あと６０キロもある。会津若松に続くＲ４９は、当然真っ暗。ときどき前にも後ろにも車のライトが見えなくなる。怖くてミラーも見れない。もういや。
午後１０時半、やっとホテルに着いた。
濡れてしまった財布の中身をベッドのうえに並べて乾かしながら、どんべえを食べる。地獄のような日だったのに、東北最後の夜なのに、悲しい１日の終わりだなあ。