わたしも街道をゆく/1987年/東北へ
わたしも街道をゆく 1987年 東北へ

1987年8月16日 十和田湖から盛岡へ 本日の走行距離283Km

 私の部屋には窓がない。朝、目が覚めても天気が分からない。朝食を食べに部屋から出たら、雨だとわかった。観光シーズンの観光ホテルにひとりで泊まるとこういう目にあうんだろうな。おそらくツアコン用の部屋だったんだわ。それで正価取るんかい、くそう。
 バイキングの朝食を昨日すっかりお友だちになったJちゃんと、雨やだねえ、なんて言いながら、食べる。
 朝一番からカッパを来て走るのは、これが初めてだ、なんだか悲しいもんだねえ。がさごそとカッパを着込み、ホテルの前で、CBRを2台並べて写真を撮る。Jちゃんが前で、出発。

 田舎の風景が続く。天気がもし良ければ、明るい農村っぽくて、それなりに楽しめたんだろうな、きっと。でも、濡れた舗装道路、滑りそうで怖いだけ。
 東北道の松尾八幡平ICの近くでお別れ。Jちゃんは、料金所で友達と待ち合わせだそうだ。

 天気が良ければ、岩手山を見ながら走る八幡平は、どんなに気持ちがいいだろう。900円も出して走った八幡平アスピーテラインは霧で景色が全然見えない。
 田沢湖へ向かう道だって、私は絶対楽しめたはず、晴れてれば。その上、田沢湖が近づけば、渋滞。雨で渋滞だなんて、ちょっとひどすぎるんじゃ。
 ほとんど義務感だけでぐるりと走った田沢湖、日本一深くたってそれがなんだっていうのさ。金ピカの辰子姫の像だって関係ないね。一応写真は撮っといたけど。

 もう走りたくないけど、盛岡まで行かなくっちゃいけない。だってホテル予約してあるんだもん。R46もやっぱり渋滞気味で、ああやだ。市内に近づいてくると、水戸ナンバーの変な車がいた。団体ツーリングの中に強引に割り込んでゆく、みんなちゃんとお行儀よく2列になってたのに。道幅はあるのに、左ぎりぎりをわざと走ってる。あったまきて、バス停で車道が広くなってるところで、抜いた。なんていやなヤツだったんだろう、あいつ。(でも車に乗っているときのバイクほどうっとおしいものはなかったりする)

 濁流逆巻く北上川を渡って、盛岡市内へ入る。なかなかホテルがわからない。地図を見ながらぐるぐる回っているうちに、やっと着いた。
 とてもきれいなホテルなので、でっかいビニール袋にカッパを入れて、手をグローブで黒くした(雨の中グローブカバーしないで走ってると、色が付いちゃうのよ)姿では入りたくない。いやな顔されるだろうなあって思ってたら、全然そんなことはない。ものすごく感じがよくて、ほっとした。サービス業の鏡だね。
 昨日書いた絵はがきをまだ出してなかったので、出しに行く。ポストの場所をお巡りさんにきいたら、訛ってた。嬉しいぞそういうのって。
 そして私は、もったいないことに、夕ご飯にホテルのレストランで、コース(4000円!)を食べてしまったのだ。4000円あったら、ユースなら泊まって朝夕食べて、お昼も食べられるではないか。

 でも、朝からずっと雨のなか走ってたし、いいよね。
 明日は、降りませんように。


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