山川惣治と絵物語の世界page1509  

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15.山川惣治の絵の魅力9 美男美女・立派な顔だち

山川惣治が絵物語を書いていた時代は、映画のヒーロー、ヒロインなどは美男美女と相場がきまって いました。

「少年王者」「少年ケニヤ」「少年タイガー」などでは、主人公は美少年ですし、主人公の父親は、立派な顔の持ち主 です。

山川惣治はびっくりするほど立派な顔だちの日本人を書きましたが、同じ顔をどのコマでもかくということはできませ んでした。ふしぎです。小松崎茂の主人公の顔はいつも同じで、どの絵にも同じ顔を書けました。山川惣治は、コマごと に少し違う顔になってしまいます。したがって、かれの作品には美少年はたった独りしか出てきません。それによって 多少顔つきがちがっても誰とわかるようになっていました。おなじ顔をくり返し書いて、いつも同じ顔を書く練習は しなかったのでしょうか。

上の絵は「少年ケニヤ」の一場面。ナチのフォン・ゲルヒンの非道を詰問する村上。このような立派な顔だちの 日本人は最近のマンガにでてくるのでしょうか。(池上遼一のマンガがアジア人の顔を立派に描くというので、香港、 台湾、東南アジアの国々で人気があるようです。)

下の絵は「少年王者」にでてくる吉川夫人です。すい子さんのおかあさんですね。真吾の母親、牧村愛子はアフリカの 奥地で夫を助けて働く、情深い風貌でしたが、こちらはしっかりした、理知的な顔だちです。

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