山川惣治と絵物語の世界page1503  picture

 

15.山川惣治の絵の魅力3

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山川惣治の絵では、しばしば遠近感の強調があり、迫力のもとになっています。

非常にリアルな絵なのですが、ちょとした仕掛けがあって迫力を増しているのです。

左上は「少年ケニヤ」第一巻、部下ともに前酋長ゼガを追撃する悪酋長センゲです。頭部にいくほど大きく 書かれ、前傾姿勢で走っている迫力が出ています。ものすごく上手な絵で、見飽きません。

センゲはこの瞬間左足が地面についているのですが、胴と左足を結ぶ線が左の方へ(絵に向かい合っている私たちから いうと右手のほうへ)傾いています。それと釣り合いをとるために、センゲの右手の長槍は右の方へ傾けられています。 そのため絵全体が左右対称となり、異様な迫力が出ます。続く部下たちの槍の方向も左右対称になっています。

センゲのひるがえる衣服が部下の槍の線を一部隠し、複数の槍の線が放射状に広がるあざとさを隠しています。

地面は傾いており、左右対称の絵の持つ単調さを救っています。斜線の組合わさった絵になっているのです。

センゲの持つ槍が、穂先(画面の手前にある)へ行くほどわずかに広がっており、遠近感を強調しています。

センゲの右後ろ(向かって左後ろ)の部下の体がセンゲとおなじ方向へ傾いて左右対称を崩しているのがすごい。

センゲに頬のあたりに思い切って入れられた陰影もすごい。

もし「山川惣治ファンの会」などができたら、私はパーティーにこの絵を印刷したTシャツを来て出席したいと 思います。

右上の絵は「少年ケニヤ」第四巻、追いかけてくるブロントサウルスは画面手前の尾が大きくかかれ、頭部は 小さく描かれています。頭部から尾部まで大分距離があるので、遠近の差がでるということでしょう。

向こうの崖の線も遠近感を強調しています。手前のそてつのような植物も大きく描かれています。

恐竜は毛がはえていないので、線だけで描くには描きやすい対象です。子供のとき、よく書いたのを思い出します。


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