12-4-2.桑田次郎の遍歴2
桑田次郎「宇宙怪人」と「月光仮面」。
マンガに転向するとき、桑田次郎は二つのことを心がけたように思います。ひとつは、なるべく丸い線を使うこと、
もう一つは手足を短く、顔を大きく書くこと。手足を長く書くと絵物語の癖がでてしまうので、わざとそうしたの
でしょう。
一時期はほんとうに腕が太く短くちんちくりんになっていました。それでも読者に変な感じを与えないのはさすが
だった。弟弟子の一峰大二の絵のほうが、もっと徹底してちんちくりんでした。
右上の時期の「月光仮面」の絵は大分腕がながくなり、線もあまり丸まっこくありません。マンガに慣れるにしたがって、
だんだんスマートになってきたのかもしれません。
上の絵では、探偵・祝十郎が白いダブルの背広をきています。これで、絵物語、アメコミ風漫画、マンガのどれにも
ダブルの服を着た人物が出てくるのをご紹介しました。そもそも小松崎茂「第二の地球」(昭和27-29)で怪人
モンテクリストが白いダブルの背広をきています。岡友彦の「暗黒街征服」でも正義の味方が同じ服装をしています。
「立派な身なり」をかくときの定番だったのでしょうか。中でも桑田次郎がいちばんダブルが好きなようです。