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12-4-1.桑田次郎の遍歴

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桑田次郎は、「少年画報」で十代のとき、まんがでデビューし、一時期、絵物語を書いていて 、ストーリーマンガの時代がくるとまたマンガにもどった画家です。ほかにも絵物語からマンガに転向したひと はあるかもしれませんが、私のいちばんよく知っているのは桑田次郎です。

「おもしろブック」に時代劇の絵物語を連載していたころは、岡友彦に似たタッチでした。しかし岡友彦ほど 「花」がなかった。あまり面白くありませんでした。

右上は黒沼健原作の絵物語「ラドン」。「おもしろブック」の別冊付録は、表紙だけ小松崎茂が書いていた。桑田次郎にも表紙は 書けたのに。そのころ、表紙は自分でかくのが普通だったので、これは珍しかった。絵物語の別冊を一冊書き上げる のは大変な労力がいるので、分業にしたのかもしれません。今はマンガの文庫本の表紙を他の挿し絵画家が書くことは めずらしくありません。

「ラドン」には吹き出しは全く使われていません。純粋な絵物語です。

「ラドン」の主人公の少年は魅力ある容姿で、読者を感情移入させる力があります。

「ラドン」にオールバックで白いダブルの背広を着た人物が登場します。(メガヌロンの幼虫の横に立っている) このスタイルの人物は桑田次郎のマンガにもよく登場しますので、おぼえておいてください。

桑田次郎は、「ラドン」の前に「宇宙怪人」というマンガをかきました。(両方書けた時代がある!) その中にオールバックの髪型をした湯山博士と言う人物がでてきます。メガヌロンの横の博士のまんが版です。

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その後「ロケット太郎」というアメコミ風のマンガを書いていました。

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今みると、この「ロケット太郎」の絵がいちばん魅力的なように思います。オールバックの博士(左)も、主人公 (まん中)も、悪役(右)もダブルの背広ないしダブルの制服を来ています。ダブルだらけ。

「ロケット太郎」はアメコミ風の絵ですが、コマ運びは手塚治虫のストーリーマンガそのものでした。ですから、 アメコミのように、訥弁にならず、すらすら読めます。

「ロケット太郎」の絵は桑田次郎以外だれにも書けません。岡友彦にも書けません。またマンガ時代のように 追随者もなかったので、これに似た絵を書くひとはないでしょう。いちばん桑田次郎らしい絵と思います。 「8マン」の絵はこの時代の絵がもとになっていると思います。  


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