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12-1-4.リアルな細密画と単純化した線画 5(つげ義春)

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つげ義春の「李さん一家」。きゅうり畑の線の緻密なこと。戦前の「少年倶楽部」には伊藤彦造、 高畠華宵、樺島勝一などの細密画がありましたが、時代劇の一場面や軍艦などは書いても、きゅうりは書かなかった でしょう。つげ義春は、かっこいいもの、胸躍らせるものをかくのではないのです。

この「李さん一家」の例はまだ明るい感じがしますが、「ねじ式」とか「ゲンセンカン主人」では絵物語風に描かれた 風景は非常に暗い感じがしました。主人公をとりまく現実世界の厳しさをあらわしているように思われました。

手塚治虫が決して描かなかった世界がここに描かれていたように思います。    


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