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作品論16-4

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少年ケニヤの登場人物3 ケート

ケートは「少年ケニヤ」になくてはならぬ登場人物です。「類人猿ターザン」におけるジェーン、「少年王者」におけるすい子、 「大平原児」におけるお転婆ジェーンにあたるのですから。「ブラック・ジャック」のピノ子ですかね。

すい子がおしとやかなのに対してケートはお転婆で、喜劇的です。「西遊記」の猪八戒の役回りを演じているのです。 まあこういう型破りな人物が出てくると物語は俄然面白くなってきます。「七人の侍」の菊千代です。ジョーカーと かね、トリックスターですね。

ケートが最初でてくるときは、敵意に満ちた攻撃的な女の子として出てくるのですね。山川惣治は非常にうまいです。

ゼガ、ワタル、ケートの三人でワタルの父村上を探す旅を続けるのですが、この旅はゼガ、ワタルの活躍をしめす旅であるとともに、 ケートのお転婆ぶりが次々にあきらかにされる旅でもあるわけです。ケートは一人では密林の中で生きていけません。まったくの おじゃま虫です。足手まといだとゼガはおこるのですが、全くの弱者が加わることによって、話は3倍くらい面白くなります。 怪獣映画に悲鳴をあげて逃げる美女が必須なのと同じです。

怪獣映画と言えばケートはティラノザウルスにつかまったり、おっかけられたりするのですね。古今東西の物語の中で、ティラノ ザウルスの鼻先にのっかったり、つかまえられたりして、無事だった女の子は他に居ないんじゃないでしょうか。 ティラノザウルスとファルスを演ずるなんてのはケートでなければ出来ないでしょうね。

ケートと村上が一緒になることがあるのですが、これもみものでしたね。なにしろ弱い同士が一緒にいるんですから。凸凹コンビ みたいなもので、いっしょうけんめい野獣やアフリカ人と戦うのですが、しょっちゅうつかまっています。がんばれと言わずに おられない。

物語の終わり近く、ケートは双子の黒人の子供たちと旅をするのですが、ケートでも双子よりは強いので、お姉さん風をふかすのが わらわせます。ケートはひとりで旅をすることもあって少しずつ成長していきます。最後には双子の危ういところを助けたりし ます。

ケートは終始豹の毛皮の水着風ワンピースをきているのですが、最後の最後になって、女の子らしい素敵な服を来て登場します。 それをみると、ケートは幸せになったんだなあという気がして、祝福せずにはいられません。


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