作品論5-2 少年タイガーと怪物
「少年タイガー」には、のっけから怪物がでてきます。進治をおいかけてくる巨大なコモド・ドラゴンです。
これが、「少年王者」のブロントザウルス、「少年ケニヤ」のティラノザウルスにあたります。
このほか、顔に垂れ下がる毛で全く表情がかくされた灰色のオランウータンが出てきます。下の絵は、灰色ウータンが、長い毛を
なびかせて、どっと地上に飛び下りてきた一瞬です。
オランウータンを怪物のように誇張して書いてやれということはだれでも思い付くのですが、顔に毛がかぶさって表情がみえない
ようにしないと、オランウータンの顔は愛嬌があり過ぎて、悪役にはむかないとか、オランウータンの長い毛が、木から飛び下りてきた
ときに、逆立ってものすごいだろうというようなことは、ちょっと思い付かないものです。
最後に崖の割れ目から前世紀の不思議な世界へと迷い込むエピソードがまたぞろ展開されると、新生代のマンモスから
サーベルタイガー、はては中生代の恐竜、翼竜、魚竜のオンパレードになります。今回最後まであばれまくるのは、「少年ケニヤ」
ではダーナに簡単にやられてしまったケラトサウルスです。前作ではB級スターだったが、今度は悪鬼のごとく暴れまわり、A級
スターの仲間いりです。山川惣治は結局恐竜を描かないとおさまらないのでした。下の絵は巨大な飛べない怪鳥です。
このような怪物たちを見たければ「少年タイガー」をお読みなさい。