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作品論3 カナナの槍

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山川惣治はH.W.フレンチ作・田辺令一訳「カナナの槍」1969年刊の挿し絵を書いています。

このpageを作るために、図書館から借りてはじめて読みました。すばらしいのひとことです。物語も。挿し絵も。

これはアラブのベドウィン族の少年の物語であり、7世紀にローマ帝国の侵略を受けた中東の物語です。読むと、 ベドウィンの砂漠の生活や話し方、こころがわかったような気がします。

「幽霊牧場」でインディアンを主人公にした絵物語を書いた山川惣治にふさわしい仕事です。

1967年から1968年にかけて山川惣治は雑誌「ワイルド」の出版事業に失敗し、邸宅を売り払って、横浜にひき こもってしまいました。「カナナの槍」の仕事はその直後ということになります。

映画「エル・シド」は回教徒の侵略をうけたスペインの物語でしたが、これは、逆にヨーロッパから侵略をうけた 回教徒の国の側からの物語になっています。

わたしは2時間たらずでよめました。大人が読むと中編小説か、ちょっと長めの短編くらいの分量です。(「コーカ サスのとりこ」とか、「狐になった奥さん」とか、「黄金虫」とか、「山師トマ」とか、「ラサリーリョ・デ・トル メスの生涯」とか、「金持の青年」「動物農場」あるいは「愛のかたち」くらいの長さです。どれかをお読みになった 方は見当がつくと思います。)

これは熱血感動少年小説です。いちど是非読んでみられることをお勧めします。けっして後悔しないでしょう。 公立図書館が蔵書を永久保存するようになってからの出版ですので、地方の県立図書館で読めると思います。 インターネットで図書館の蔵書検索をして確かめた上でお出かけください。上にかかげたのは表紙の裏の絵ですが、 この他にすばらしい扉絵もあなたを待っています。ラー・イラーハ・イッラ・アッラーフ!


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