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8-3 仮面の怪人の正体

物語の中の仮面の人物の正体は明かされる場合もそうでない場合もあります。

明かされるかどうかで、この際、分類してみましょう。

1.永久に明かされない (黄金バット 怪盗ルパン、トマホークのモーガン、白虎仮面)
2.いちおう明かされているが、名前がわかっているだけで、なんの意味もなく、1のあかされないのと事実上同じ。    (怪人二十面相)
3 物語の最後に明かされる (紅はこべ ボアゴベ作「鉄仮面」の鉄仮面、「少年王者」のある人物、「少年タイガー」のある人物、 怪人シムーン、飛竜夜叉)
4 始めから読者には明かされている。小説の世界の住人には永久に明かされない。 (スーパーマン、スパイダーマン、鞍馬天狗、 月光仮面、仮面ライダー、ウルトラマン)

3の場合、仮面の人物の正体があらかじめ仕掛けられており、正体があかされると、ストーリーは終わりです。犯人さがしの推理小説 と同じです。

明かされた正体が、物語のはじめから登場していて、意外な人物のときもあれば、初めて聞く名のこともあります。たとえば、怪人の 正体はナチの天才科学者誰某であった、といわれると、ほうそうですか、てなもんでしょう。はじめて聞く名前なんですから。「 えっ!すると、お前はあの有名な**ハカセだったのかっ。」とみんなびっくりしたりしますが、読者ははじめて聞く 名前なので、ふうん。

「せけんを騒がせた青銅の魔人は、じつは怪人二十面相であることがわかったのです。」というのもあります。「魔法博士はじつは 怪人二十面相であることがわかりました。」これはくり返し。「バーネット探偵はじつは怪盗ルパンだった。」というのもある。 正体がわかったようでまだわからん。らっきょの皮をむいてもまたらっきょ。

1の場合、正体ははじめっからありません。仮面の怪人は24時間仮面の怪人であり、仮面をぬぐことはありません。物語は永遠に続き ます。

2と4は1と同様で、あらたなエピソードが加われば物語は永遠に続きます。

山川惣治の書いたのは、3のタイプの仮面の怪人ばかりです。同じ紙芝居の物語でも「黄金バット」とはこの点が違っています。 山川惣治の絵物語に出てくる正義の味方は、全くの超人なので、黄金バット同様、その正体は明かされないように思いますが、実は 明かされます。これを何度かやられると先が読めてしまうようになるので、たまには別の作戦を使ってくれればいいのですが。


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