| 9
 | 地震との付き合い方
 
 -人の繋がりを活用
 した減災対策-
 | 地震発生の
 メカニズム
 | 1)阪神淡路大震災(兵庫県南部地震:1995.1.17)
 ・高速道路やライフライン(電気・ガス・水道)の被害、建築物が倒壊
 ・大火災による地域の消失
 ・死者(行方不明者)が6400人以上
 
 都市直下型地震の恐ろしさと地震動の破壊力のすごさを痛感
 
 2)その他の地震
 ・新潟県中越沖地震(2007.7.16)
 ・中国・四川大地震(2008.5.12)
 ・岩手宮城内陸地震(2008.6.14)
 
 大きな余震が続発することの恐ろしさ、土砂ダム湖による二次災害の恐怖
 
 3)津波による災害
 ・スマトラ沖地震(2004.12.26)
 ・西サモア地震(2009.9.29)
 
 津波の恐ろしさ、破壊力の凄さを痛感
 
 4)東日本大震災(東北地方太平洋沖地震:2011.3.11)
 ・『想定外』の津波の恐ろしさ
 ・津波の破壊力の物凄さ
 ・二次被害(原発事故)の恐ろしさ
 ・地盤液状化の恐ろしさ
 ・続発する大きな余震の怖さ
 
 5)世界の地震の震央分布
 ①大陸・島の近くで発生:プレートが斜めに沈み込み、地震が発生する
 ②海洋の中央部で発生:地球内部から熱い岩(マグマ)が湧き出し、岩盤の一部
 を破壊し地震が発生
 
 6)プレート・テクトニクスの考え方
 ・地球表面を覆う10数個のプレートが、硬い板のように変形すること無く、
 年間1~10cmの速さで水平方向に運動している
 ・そこで、互いに「押し合う」か又は「ずれる」
 ・様々な破壊のパターンで断層が破壊(此れが地震)
 
 7)大陸移動史
 ・約3億年前に大陸が八方に移動して行った
 ・約5000万年前にほぼ現在の位置に移動した
 ・約150万年前に最終的な位置に落ち着いた
 
 8)日本列島(以下の4つのプレートにより圧力を受けている)
 ・ユーラシアプレ-トの東端
 ・北米プレート
 ・太平洋プレート
 ・フィリピン海プレート
 
 9)日本が地震多発国と言われる理由
 ・日本の国土は地球の表面積の約0.2%
 ・これに対して、日本の発生地震数は全世界で発生する地震の約10%と多い
 
 10)地震の種類
 ①プレート間(又は、プレート境界)地震:太平洋沿岸沖の巨大地震の大部分
 ・プレート境界:境界の両側のプレートの運動の方向や速度が異なり
 ・その応力(ストレス)が蓄積
 ・境界が応力に耐えられなくなり
 ・断層破壊が発生する
 
 ②プレート内地震:直下型地震の大半
 ・プレート内の相対運動により蓄積された応力は大半はプレート境界で解消する
 ・実際には、プレート内部でも変形が発生し、断層の破壊が発生する
 
 ③直下型地震
 ・都市の直下で起こる地震の多くはプレート内地震
 ・しかし、例外として関東地方の様にプレートが複雑に入り組んでいる地域は
 直下型のプレート間地震として発生する
 ・プレート内の浅い直下型地震:プレート間地震に比べて規模はあまり大きくない
 が都市に近いため被害が大きくなる可能性大
 
 | 
          
            | 地震災害の 軽減対策
 
 減災:災害を完全に防ぐのではなく発生を想定した上で被害を最小限に抑える考え方
 | 地震災害の軽減対策 1)地震予知
 ・地震の起きる前に色々な前兆現象から地震の発生を予測(いつ)
 ・微小地震観測、地面のひずみ、地磁気・地電流の測定から前兆現象をキャッチ
 し、どこで、どのくらいの大きさを地面の変形やひずみの程度より予測する
 ・東海地震のみが「予知が可能」となる可能性が高い
 ・直下型地震やその他の地震については、予知可能な体制はない
 
 2)構造物の耐震度・免震度・制振設計
 ・大地震時に破壊しない、又は機能を失わない構造物
 ・不燃耐度、又は免振又は制振構造物の設計と建設。
 ・但し、建設費は大幅にアップする
 
 3)復旧戦略の策定
 ・構造物の崩壊、ライフライン機能のマヒはある程度は許容
 ・避難場所や復旧用道路等は地震後も機能をを確保するようにし、復旧の為の
 方策を予め策定
 ・市民防災組織の確立
 
 4)地震早期検知システムなどの整備
 ①地震をいち早く検知し、地震波が到達するまでの短時間を有効に活用
 ②地震発生後、短時間に被害状況を把握し、2次災害の拡がりを防止
 
 5)防災教育の充実による「防災の知恵」の蓄積
 ①ハザードマップや被害想定等の活用
 ②防災教育の実施
 
 | 
          
            | 地震に対する 付き合い方
 | ハード面での対策 ① 地震被害
 ☆地盤の被害
 ☆構造物の揺れと地震被害
 ・一般構造物(地表面上に建設)
 鉛直方向の荷重に耐えられる様にする事が主で、強風時や地震時に水平
 方向の力に抵抗する必要がある
 ・此の場合、外力が抵抗力を上回ると被害が発生し、特に地震の場合は力の
 方向が時々刻々変化しながら地面が変動
 ・地面の振動と構造物の振動の関係を解明する必要があり、構造物の固有
 周期と地震動の卓越周期が近い場合に共振が発生し、構造物が破壊する
 ☆過去の大地震記録より求めた卓越周期と最大加速度の関係
 ・卓越周期:通常は0.3秒~2.8秒 だが、卓越周期が長くなると最大加速度は
 小さくなる。
 卓越周期:、地震動の数ある波形の中で、建物に大きな影響を与える周期で、
 建築学や工学で使われる
 
 ・共振の発生防止:構造物の固有周期と地震動の卓越周期を一致させない
 一般的には長周期化。但し、長周期地震への留意も必要
 ☆長周期地震動
 ・一般に、P波・S波の後に到達する表面波
 ・周期:数秒~10数秒程度
 ・長周期地震動が発生する地域
 地表面から岩盤まで数キロも柔らかい地盤が続く深い盆地構造を持った地域。盆地構造
 により地震動が増幅・伸張され、大振幅で継続時間の長い地震動が発生
 ・長周期振動による被害
 石油タンク、超高層ビル、免震構造物、長大橋など周期数秒以上の固有周期を持つ
 構造物にに大きな震動を引き起こし、、大被害ををもたらす可能性あり。例えば、
 2003年十勝沖地震(高精度強震計により世界で初めて強震動を観測)北海道内の
 各地の大型石油タンクで、主にスロッシングに起因する被害が発生
 スロッシング:石油タンク痘が特定の周期の地震波に共振し液面が激しく揺れ動く現象
 ☆ 地震に対する構造物の安全性の確保のしかた
 ① 耐震構造:構造物自体(壁・柱・梁など)で地震に耐えられる構造
 ② 免震構造:構造物に地盤の震動を伝えない様な装置を設置した構造
 ③ 制振構造:構造物に震動を抑制する装置を設置して、地震による振動を抑えよう
 とする構造
 
 ☆ 構造物の耐震・免震・制振
 ・阪神淡路大震災以前は、構造物をより強く設計(従来の耐震設計)していたが、此れでは
 剛の構造で、重量も大で、橋や建物などの被害が甚大であった。
 ・そこで、耐震設計法として、免震や制振構造を積極的に採用するようになった。
 ・免震構造は、水平方向を柔軟に、垂直方向は構造物を支持する構造としている。
 ・免震構造の一例として、構造物と地盤を絶縁する部材(アイソレータ:ゴムや樹脂で支承)
 ・しかし、構造物と地盤のズレ(層間変形)が大きくなり過ぎて、アイソレーターの許容変形
 を超えたりすることを抑える為の減衰力の役割をする部材(ダンパ-)
 ・甲府市立病院の免震装置(ゴム主体):屋上での加速度
 ①非免震:2151ガル
 ②免 震:285ガル        1ガル=cm/sec2   980ガル=1G(重力加速度)
 ③免震率=13%
 
 
 | 
          
            | ソフト面 
 ☆復旧戦略の策定(地震発生後のの対応を考慮した対策)
 1)都市機能のリダンダンシー(冗長度:伝達される情報に含まれる余分な部分
 の割合)の確保
 ①代替がきく様にして置く(キャパシティーに余裕を持たせる)
 例、2本の重要交通路を近接させない。路側帯・中央分離帯の非常時の利用
 ②学校・公園の仕切りをや塀をなくす
 ・避難所へのトラックの出入りや貨物の搬入が容易(緊急避難の邪魔になる)
 
 これらに対する予算は付き難いが、官民合意の上で実行して行く必要がある
 
 2)自主防災組織の確立
 ・大規模な地震発生時の行政対応能力には限界がある
 ・阪神淡路大震災の経験を東日本大震災に生かす事が出来た
 ・そして、限界を超えた部分は、市民の防災意識でカバーする
 自分の身(町)は自分(達)で守る(自助・共助)
 
 参考
 ・自助:自分の責任で、自分自身が行うこと
 ・共助:自分だけでは解決や行うことが困難なことに付いて、周囲や地域が協力
 して行うこと
 ・公助:個人や周囲、地域あるいは民間の力では解決出来ないことについて、公共
 (公的機関)が行うこと
 
 災害に関する自助・共助・公助
 ・自助:家庭で日頃から災害に備えたり、災害時には事前に避難したりするなど
 自分で守ること
 ・共助:地域の災害時要救援者の避難に協力したり、地域の人達の消火活動を
 行うなど、周りのの人々と助け合うこと
 ・公助:市役所や消防・警察による救助活動や支援物資の提供など、公的支援
 のこと
 
 災害時には、自助・共助・公助が互いに連携し一体となることで、被害を最小限
 に食い止めるとともに、早期の復旧・復興につなげることが重要
 
 3)地震早期検知システム等の整備
 ①地震をいち早く検知し、地震波が到達するまでの短時間を有効に活用
 ②地震発生後、短時間に被害状況を把握し、2次被害の拡がりを防止する
 
 4)防災教育の充実による「防災の知恵」の蓄積
 ①ハザードマップや被害想定等の活用(東南海トラフ地震時の山梨県内の最大
 被害の想定)
 ・死者:約400人)
 ・全壊建物数:約7600棟(揺れは5900棟、火災は900棟、液状化は700棟)
 ・液状化:甲府市市街地南部、中央市北部、笛吹市笛吹川流域
 ・前提条件
 ①東海陸側が震源となるマグニチュード9.0の地震が起きた場合
 ②死者数は、冬場の深夜に発生
 ③全壊建物数は、冬場の午後6時に発生しその時の風速は8m/sec
 
 重要「正しく知って、正しく恐れる」
 ・被害想定の中に自身や家族がふくまれるのか
 ・そして、どの条件の時にそうなるのか
 ・これ等の分析
 
 重要「ハザードマップを信じ切らないこと」
 ・ハザードマップはある想定に基づいて作成されている
 ・しかし、相手は自然で、想定出来ないことが起こり得る
 ・そこで、「自分の命は自分で守る」のが原則で、自分自身で判断し行動する
 ・行政に依存する事は危険
 ・「防災とは、敵を知り、己を知り、己を律すること」
 
 「津波てんでんこ」:家族もばらばら(てんで)に逃げる
 心配する相手は必ず逃げると確信が持てる信頼関係を常日頃から構築する事が
 基本
 
 
 
 | 
          
            | 地震に対する 付き合い方の
 まとめ
 | ☆地震発生時の心得 ①強震時には必ず停電する
 ・避難訓練は停電の状態を想定すること
 ・予備発電機はあくまでも非常用(なぜなら、発電量は小さい)
 ②大地震後、電話(携帯電話を含む)は殆ど掛らない
 ③情報錯綜による混乱の回避
 ・異常事態下での正確な情報伝達の難しさを認識すること
 ・デマの流布によるパニックの発生の回避に心掛ける
 ・広報車や防災スピーカーの音声は聞き取り難い
 
 ☆噂やデマのチェック(3つの情報に留意)
 
 ①「全」の付く情報。例えば、「全滅」、「全員絶望」、「全面ダウン」など、事実である
 事も有るが、実際には部分的な被害情報が、人々の間を通る過程で、単純、
 誇大になることが多い為「全」の付いた情報は、人々の不安と恐怖を掻き立てる
 ②「未来の時刻入りの情報」。例えば、「明日の○時○分に余震が起きる」と言った
 様な類いのもの。現代の科学は地震をこの様に時刻入りで予知出来るところ迄
 には至っていない
 ③「数字入りの情報」。数字にどの様な「単位」が付くかでその持つ意味は千変万化
 する。同じ「6」でも、「マグニチュード6」ではそこそこの地震の規模だが「震度6」
 ならば極めて大きな被害をもたらす「烈震」にあたる
 
 ☆此の場合は、「確認作業」に努め、公的機関やメディアは確認して貰う為の手立て
 を尽くす事が肝要で、地震に関する知識の習得も重要
 
 ☆市民の防災意識
 ・阪神淡路大震災から数年後は行政側・住民共に「喉元過ぎれば熱さ忘れる」の
 状況
 
 ☆小中学校の教科書における震災関連の記述
 ・2001年度まで:震災発生は1995年(平成7年)1月17日
 5社の6年生社会科の教科書に2~8ページ「阪神・淡路大震災」に関する記述あり
 ・2002年度~:1社を除き記述なし:防災意識の風化がみられる
 ・文科省や教科書作成会社に「日本は地震国・火山国である」との認識が欠落
 
 そこで、防災教育の体系化が必要不可欠で、公立学校耐震化の2010年度政府
 予算案は概算要求の4割に満たない1032億円で、危機管理意識が欠如
 
 ☆地震に対する防災意識と防災対策実施の割合(2008年度防災白書)
 ・静岡県が実施した県民の意識調査(2007年)
 東海地震に関心有り:95.3%
 ・内閣府による世論調査(200年
 家具などを固定して地震防災対策をしている人:24.3%)
 ・2004年の新潟県中越地震では、怪我をした人の4割以上が家具の転倒が原因
 ・国民の防災意識の高さを防災行動に結び付ける必要がある
 
 ☆市民の防災意識が高まらない理由
 1)情報公開の機能が不十分
 ・どの地域の建物等がどの様に(どの程度)揺れるのかなどで、住民に過度な
 不安を与えるとの考えから積極的に公開していない時期が続いた
 ・しかし、2000年代前半から公開する方針に転換し、山梨県でも2005年に
 東海地震発生時のハザードマップを公表している
 2)防災訓練は、メニューがいつも、どこでも同じ
 ・何処に避難するか
 ・誰とどの様な手段で連絡をとるか
 ・当座の食糧・衣類・防寒をどの様に確保するか
 ・を周知徹底させる訓練メニューの工夫が必要
 3)余裕空間やリダンダンシー(冗長度:伝達される情報に含まれる余分な部分)の
 確保の重要性の認識が不十分
 4)耐震・免震・制振構造・耐火構造の設置に対する補助をいつするのが得策か
 (建築時、震災後)の議論が不十分
 
 ここで重要なのは「平常時に何をして置くか」で、大規模な地震発生時に行政
 対応能力には限界が有り、限界を超えた部分は市民の防災意識でカバーする事
 が重要
 
 自助 > 共助 > 公助
 
 防災訓練対応の追加
 ①地震時に臨機応変な対応が出来ること
 ・故意に状況を変えた時(例えば、1人わざと隠れて人数を足りなくするなど)
 にどの様に対応するか(?)
 ②正解がない問題の議論の重要性:例えば、避難所にペット(大型犬等)連れて
 行くかどうか
 ③主婦の力の活用
 ・訓練計画作成等は男性が中心だが、しかし地域を良く知っているのは主婦で、
 何処に何が有るか、何処に誰が住んでいるか、ガス管は何処を通っているか
 など(例えば、阪神淡路大震災の時に、ガス管が有る近くでタバコを吸っている
 のを主婦が「危ない」と注意をした)
 
 参考:避難勧告や避難指示に従って避難する人の数
 1)2000年(平成12年)東海豪雨水害で愛知県は約60万人に避難勧告を発令
 したが、実際に避難した人は6.5万人であり、「命の尊さ」や「生きていること」
 に対する感謝の気持ちが年々薄れている。しかし、その原因は、防災教育に
 問題が有り、交通安全教育の形骸化と共通している。つまり、「避難すること」
 「事故に遭わないこと」を全面に出し過ぎて、「何故」の論理が消滅している。
 
 2)2009年(平成21年)台風18号来襲時に人的被害は死者が5人で負傷者が        137人となったが、その原因は「不注意」で慎重に行動すれば回避出来た
 例えば、暴風雨警報が出ている最中に、神社のの境内に銀杏を取りに行った
 シニアの男性が、落下して来た太枝が頭を直撃し死亡した。当時17人がその
 目的で境内にいたと言う。
 
 2000年以降の風水害による被害者の中で、死者は「死者の2/3法則」と言い、
 
 死者の2/3は、男性、高齢者、屋外
 
 
 | 
          
            | 8
 | 薬を創る・育てる
 | 「治験」とは
 
 | ・新しい薬を生み出すその為には、基礎実験や動物実験だけでは駄目で、患者
 の協力を得て、効き目と安全性を確認する「臨床試験」が必要
 
 ・臨床試験:人間の病気を研究する様々な「臨床研究」が必要で、患者の安全を
 第一に考えた科学的な計画が必要。更に、どこからも信頼される方法
 で行うことが重要
 
 ・新薬を創るためには、長い時間とかなりの資金が必要で、国からの承認が必要
 その為の試験が「治験」と呼ばれる「臨床試験」
 
 ・「治験」は厳しいルール(GCP:Good Clinical Practice)の下で行われる
 
 
 | 
          
            | 「臨床研究」と 「臨床試験」の
 歴史
 | ・古代エジプト時代に「イムホテプ(エジプトの神官)」がそれらしい書物を残している が臨床と言うより、「医術」や「まじない師」と呼ぶ方が当たっている
 
 ・古代ギリシャの「ヒポクラテス」は医学の父と呼ばれ、医学を科学的にまとめた
 
 ・ルネッサンス時代にレオナルド・ダ・ビンチが、人間の解剖図をまとめている
 
 ・1747年にギェームス・リント(英国海軍の外科医)が初めて比較臨床試験を実施
 
 
              ・柑橘類の壊血病への治療効果
                
                  
                    | Treatment arm | Cured(治癒の数) | ρ Valuea |  
                    | 希硫酸 | 0/2(2人中治癒は0) | >0.05 
 (意味不明)
 |  
                    | 酢 |  
                    | 海水 |  
                    | 炭酸水 |  
                    | 医者の秘薬 |  
                    | 果物ジュース | 2/2 (2人中治癒は2) |  ・患者(複数)の夫々に上記を服用させて、治癒状況を確認した
 
 ・1798年にエドワード・ジェンナーが種痘(天然痘)を発見した
 
 | 
          
            | 近代医学 の始まり
 | 1.近代細菌学の祖 
 ・ルイ・パストゥ-ル:フランス人でワクチンを研究
 
 ・ロベルト・コッホ:ドイツ人で、炭疽菌・結核菌・コレラ菌の発見者
 
 2.血清療法の開始
 
 ・ベーリング(ロベルト・コッホの弟子)がジフテリアの治療法を発見し、
 ノーベル賞を受賞
 
 ・北里柴三郎が破傷風や脚気もバイ菌である事を発見した
 
 3.臨床研究や臨床研究の始まり
 ・世界標準のルール(GCP)は、1997年に施行
 
 ①試験に参加する患者の保護を第一に考えて試験を計画する
 ②試験に対する十分な説明と、患者から文書による同意をとる
 ③試験からいつでも辞める事が出来る
 ④万が一健康被害が起きた時は十分に救済する
 ⑤臨床試験は信頼できる方法により行う
 ⑥すべての臨床試験は登録され、その結果も報告される
 
 4.新しい薬を生み出すプロセス
 
 
              
                
                  
                    | 研究の行程 | 詳細説明 | 概略期間(年) |  
                    | 基礎研究 | 薬の候補品の同定 | 2~3年 |  
                    | 非(前)臨床試験 | 基礎実験・動物実験 | 3~5年 |  
                    | 臨床試験(治験) (ボランティアによる)
 | ・第1相試験(臨床薬理試験) ・第2相試験(探索的試験)
 (当りを付ける)
 ・第3相試験(検証的試験)
 (フラセボによる比較で
 統計学を取り込む)
 | 3~7年 (量を少しづつ増やす)
 |  
                    | 承認検査 (承認)
 | 厚生労働省・PMDAによる 日本は保険が適用(海外は適用外が多い)
 | 1~2年 |  
                    | 製造承認後調査 | 医療現場での実際の使用経験 |  |  5..多くの臨床試験により薬としての価値を確認する
 
 ①基礎的な研究で新しい薬となる可能性が有ると判断されると、臨床開発(人に
 よる試験)の段階へ進む
 ②健康な成人(殆ど男性)の協力で、薬剤の生体内の動きと、どれ程の量が投与
 出来るかを調べる(第1相試験)
 ③患者の協力で薬剤が予測された効果を示すかを確認する(Poof of Concept
 試験)(第2相試験/前期) この段階で、本格的な開発の段階に入る
 ④幾つかの投与量の中から、最も適切な投与量を決定する(第2相試験/後期)
 ⑤その投与量を使用して薬剤の価値を調べる(第3相試験)
 ・有効性・安全性のバランス
 ・新規な薬剤の場合では、プラセボとの比較
 ・既に同じ種類の場合には、その薬剤との比較
 ⑥その後、申請して承認を受け、医療の現場で使える様になる(承認・保健収載)
 ⑦その後も、実際の医療現場でより多くの患者に使える実態を調べる
 ・数千人の患者のデ-タ-を集め 有効性と安全性を再確認する(製造販売後調査)
 ・安全性に問題が有った場合は警報を出す。重大な場合は使用を中止する
 
 6.プラセボ:ニセ薬でもある程度利く場合が有るので、それをチェックすること
 
 ・乳糖など、薬としての活性が無い物質で作られるニセ薬(偽薬)
 ・「くすり」としての効果を示すことがある・・・プラセボ効果
 ・心の病気の薬剤の試験では、その効果は大きい場合が少なくない
 ・他の一般的な病気でも、無視できないことがある
 ・本当に新しい「くすり」は、プラセボと比較する試験が行われる
 
 7.対応数
 新規化合物数は年間14万~15万→承認数は年間4~5件(1万分の1~3万
 分の1)
 
 
 | 
          
            | 治験の実態 | 1.日本における「治験」のの現状 ・1996年(新GCP公布)当時の「治験」は年間95件で有ったが、2002年に向け
 て空洞化(治験の件数の減少)が進んだ
 ・新GCP完全施行と、外国の臨床データーの受け入れ拡大が空洞化の原因
 ・その後、全国治験が活性化し(3ケ年計画、その後1年延長)により治験数がUP
 ・新たな治験活性化で、現在(2011年)は132件に伸びている
 (臨床研究・治験活性化5ヶ年計画:2012)
 
 2.世界の医薬品開発の考え方
 
 
              エンドポイント:治療の目的に合っており、客観的に評価出来る項目が望ましいとされる
                
                  
                    | ・患者にとって意味の有る効き目を証明すること (真のエンドポイントを用いた試験の必要性)
 ・広い範囲、長い期間での安全性はどうか(?)
 (心臓・血管・肝臓・腎臓・発癌性など)
 |  
                    | ↓ |  
                    | ・試験の規模は大きくなって来た (殆どが国際的な共同試験(グローバル試験)
 ・多くの国々からの患者の組み入れが必要
 (上手な運営が必要、国や地域の違う反応(民族差)に注意)
 ・コストに対する意識
 |  臨床試験における治療行為
 
 3.価値を確かめる方法としての「二重マスキング試験」を行う
 
 ・試す「くすり」と比べる「くすり」を、見た目に同じにする
 (どちらが本当か、判らない様に準備する:識別不能性)
 ・試す「くすり」と比べる「くすり」のどちらを飲むかは不明
 (偏りが起こらない様に工夫する:無作為化)
 ・投薬する医者にも、どちらか判らない
 ・「くすり」を飲む患者にも判らない(二重にマスクをする:二重盲検)
 ・試験がすべて終わってから、両方の効き目を比較する
 (統計学的な処理が行われて、結果が示される)
 ・医者や患者の思い込みを防いで、公平な比較が出来る
 ・数百人から、数万人の患者の協力が必要
 
 4.最近の大きな試験は国際的な共同試験で行う
 
 ・アメリカ、ヨーロッパ、アジアなどの多くの国が参加
 ・「ドラッグ・ラグ」を無くす方法
 (ドラッグ・ラグ」:例えば、欧米では使えるのに、日本では使えない)
 ・しかし、人類は皆同じ、か(?)・・・欧米人と日本人の体格や遺伝子の違いなど
 (顔つき、肌の色、体格、言葉、食習慣が一緒ではない。遺伝的に状況も様々)
 ・様々な地域や民族の間での比較の必要性がある
 (副作用の有無、その地域に合った医薬品の適正な使用方法、至適用法・用量、
 投与回数・スケジュール、欧米の用量や地域で定めた用量が適切かなど)
 
 5.しかし、一方では
 
 
              
                
                  
                    | ・病気の成立ちが、少しずつ判って来た (責任遺伝子・分子標的の同定、リセプターの解明)
 ・薬の効き方の個人的な差の研究も進んで来た
 (遺伝子変異の研究、PGx、Genetic profiling)
 
 |  
                    | ↓ |  
                    | ・ひとつの病気の中にも、様々なタイプや型がある ・病気の仕組みをターゲットとした治療薬が出来て来た(分子標的薬)
 ・そのターゲットの状態を知る目安(バイオマーカーが必要
 ・その特長を持つ患者による効果的な臨床試験
 ・オーダーメイド医療、個別化医療への道が開かれて来た
 
 |  6.薬の承認(クルマの仮免に似ている)
 ・国による「承認」は「治験」によって基本的な効果と安全性が確認された事による
 (「治験」は限られた数と種類の患者の協力のもとで実施される)
 ・本当の「仮免」は、実際の医療現場でより多くの患者に使われて実力が判定
 されてから(薬の効果と副作用の再確認、他との薬の併用は問題ないか、
 治療中には判らなかった副作用が出ないかなど)
 ・「治験」での臨床試験でも、承認後「製造販売承認後調査」や、臨床試験におい
 ても患者の協力が欠かせない(全ての薬は、効果と安全性の良いバランスが
 必要で、薬を育てて行くためには、患者の協力が何よりも重要)
 
 7.日本が果たすべき役割
 
              
                
                  
                    | ・世界に冠たる日本の高い医療水準は、欧米の努力を主とした成果 を上手に使いこなして出来たもの
 ・新規の医薬品や医療機器の日本からの創出を目指す
 ☆ 此れからの医療への具体的な貢献
 ☆ グローバル開発における日本の価値の認識
 ☆ ライフサイエンスの臨床的応用の推進とレベル・アップ
 
 |  
                    | ↓ |  
                    | ・日本が有する高い基礎医学や創薬能力を生かして、世界の医療に 貢献する役割を果たす
 |  
 | 
          
            | 7
 | クローン技術
 の最前線
 
 ~絶滅動物のの復活
 は可能か?~
 | クローンとは
 | ・ 一昔前までは、SF(サイエンス・フィクション)の中でしか語られなかった技術
 ・現在では多くの動物種、様々な細胞、凍結死体などからクローン動物を作り出せ
 る様になって来た
 ・しかし、実際にクローンに応用するためには まだまだ解決しなければならない
 問題が数多く残されている
 
 
 | 
          
            | 核移植と 初期化
 
 クローンES
 細胞の現状
 | ・ iPS細胞でノーベル賞を受賞した山中教授と共同受賞したジョン・ガードン博士は、 オタマジャクシの体細胞を取って来て、別のカエルの卵から核を抜きそこに体細胞
 を入れクローンカエルを作ったが、此れを「核移植」と呼んだ。
 
 ・オタマジャクシだった細胞はまた卵に戻り、それがカエルに育ちクローンになる。
 
 ・もともと腸や皮膚などの体の細胞を「核移植」することで受精卵の状態に戻ること
 を「初期化」と呼び、ガードン先生は世界で初めて此の「初期化」に成功しクローン
 マウスを誕生させた。
 
 ・此れまでは下等な生き物はクローンが可能で有ったが、魚類以上では今迄存在
 しなかった事を、1962年にガードンによりクローンカエルに成功し、高等動物でも
 クローンが作れることを実証した。
 
 ・一方、例えば植物の「ラン」は全てがクローンであり、種イモから植えるジャガイモ
 もクローンで、植物の世界ではクローンは当たり前。
 
 ・しかし、「核移植」の問題点は、どの様な方法で核移植してもクローンの成功率は
 数%で、またどの細胞でやっても、誰がやってもどの動物でもクローンは数%で、
 しかもクローン動物は胎盤が巨大化したり、太り過ぎたりと異常が多発した。
 
 ・結局、現在ではクローン動物は「オリジナルの完全なコピーでは無い」と言われて
 おり、恐らく核移植の技術が完全では無く、初期化が完璧ではない為に異常が
 生じると考えられる。
 
 ・クローン技術の応用として、クローンES細胞があり、ES細胞とは受精卵から作ら
 れた万能細胞の事で、ES細胞は自分自身の細胞から作られた訳ではないので
 免疫の拒絶反応が起きやすい弱点があり、その点クローンES細胞は自分の
 体細胞を核移植して作るので、免疫拒絶が起き難く。また、クローンES細胞は、
 クローン動物よりも10倍以上の成績で作る事が可能とのこと。
 
 
 | 
          
            | クローン技術にはどの様な価値が 有るのだろう
 | 1.基礎生物学の新たな研究手段:クローン技術によって生物現象を明らかに出来る 2.家畜の大量増殖:和牛のステーキや牛乳が安くなるだけでなく、もっと美味しくなる
 3.ペットのクローン:ペットロス症候群の解消など現実に必要とする人々が大勢いる
 4.再生医学への応用:自分自身の臓器を作り出すことが出来る可能性がある
 5.絶滅危惧種や絶滅動物を復活させる事が出来るかもしれない
 
 6.クローンの作り方
 
              
                
                  
                    | 卵子へ核移植するには、髪の毛の10分の1の太さの ガラス管を使う核移植:体細胞の核を卵子へ入れること
 |  
                    | ↓ |  
                    | 核移植した卵子から発生した2細胞期のクローン胚 |  
                    | ↓ |  
                    | レシビエント(卵子や子宮を提供する)メス の子宮へ移植するとクローン動物が生まれる
 |  7.実用化の事例
 
 
              
                
                  
                    | 16年間冷凍庫に保存され、干からびたマウスの死体 |  
                    | ↓ |  
                    | 核移植すると、健康なクローンマウスとして復活出来た |  8.冷凍マンモス(愛知万博)のその後の情報は下記(但し、未確認)
 
 
 | 
          
            | 冷凍マンモスの クローンについて
 
 Yahooよりの情報但し、この情報は未確認
 | シベリアの永久凍土の中から見つかった冷凍マンモスの細胞を利用して、マンモスのクローンを誕生させようと試みていた日本とロシアの研究者が、クローンマンモスの妊娠に成功したと1日発表した。(2012.04.01:共同通信社の記事) 
 
  愛知万博ではロシア北東部の永久凍土から発見された冷凍マンモスの頭部が今も展示されているが、その胴体部分に冷凍された状態の受精卵があることが判明したという。
 人谷明・近機大学生物理工学部長によると、ロシア科学アカデミーの協力を得ながら受精卵の取り出し作業を行い、慎重に解凍作業を行った。その上で今年1月に日本国内において、冷凍マンモスの受精卵のDNAを取り出し、種として一番近いインド象の未受精卵に注入し、代理母となるインド象の体内に移したところ、先月末に妊娠したことが確認された。
 
 残念ながら万博の開催期間中に誕生とはいかないものの、今後無事成長が続けば来年10月頃に、1万8千年の時を超えて赤ちゃんマンモスが誕生する予定だ。  長年マンモスの研究を行ってきた人谷学部長は「今後、無事マンモスが誕生するまでの間、乗り越えなければならない壁は大きいものの、現代にマンモスが誕生するという人類の夢に近づいたことは非常に喜ばしい。
 また誕生するマンモスを詳細に調べることにより、現在の象の進化の過程で何が起きたのかを詳細に調べることができ、生物進化学の大きな転機となるだろう」と語る。
 
 
  万博の目玉である冷凍マンモスがお母さんとなるというニュースに、冷凍マンモスを展示しているグローバルハウスに人気が殺到することが想定される為、万博事務局では明日より一時的に公開を見合わせること決定した。公開再開日時、公開方法については2、3日中に発表するという。 ☆象の妊娠期間は約22ヶ月なので、昨年の春(H24年)に妊娠したとすれば、
 来年(H26年)の春に上手く行けばクローンマンモスが誕生するかも知れません
 
 
 | 
          
            | 6
 | 少子化と子育て
 の近未来
 
 -日本と西欧の歴史的
 経験から考える-
 | 日本の合計
 出生率の推移
 | 1)日本の合計出生率(TFR:Total Fertility Rate)2012年調査
 
 
              ★1975年に人口置換水準2.08を割り込んで「1.91」。1989年に「1.57」
                
                  
                    | 西暦 | 1970 | 1980 | 1990 | 2000 | 2005 | 2010 |  
                    | 全国 | 2.09 | 1.75 | 1.52 | 1.37 | 1.26 | 1.39 |  
                    | 山梨県 | 2.20 | 1.76 | 1.62 | 151 | 1.38 | 1.46 |  
                    | 東京都 | 1.96 | 1.44 | 1.23 | 1.07 | 1.00 | 1.12 |  となる
 
 
 2)日本の平均初婚年齢
 
 
              
                
                  
                    | 西 暦 | 男 性 | 女 性 |  
                    | 1975 | 27.65 | 24.48 |  
                    | 2000 | 30.81 | 28.58 |  
                    | 2005 | 31.14 | 29.42 |  
                    | 山梨県   男:31.08 女:28.95 |  
                    | 2010 | 31.18 | 29.69 |  
                    | 山梨県   男:31.35 女:28.46 |  3)日本の未婚率の推移
 
 
              
                
                  
                    | 年 代 | 年 齢 | 男 性 | 女 性 | 備  考 |  
                    | 1930 | 25~29 | 30 | 8.5 | 年代による特長 ① 晩婚化
 ② 避婚化
 
 時代による特長
 ③ 核家族化     ④ 少子化
 ⑤ 高齢化
 |  
                    | 30~34 | 8 | 3.7 |  
                    | 50~ | 1.5 | 1.5 |  
                    | 1960 | 25~29 | 45 | 21.7 |  
                    | 30~34 | 10 | 8.4 |  
                    | 50~ | 1.5 | 1.9 |  
                    | 1970 | 25~29 | 45.5 | 18.1 |  
                    | 30~34 | 11.7 | 7.2 |  
                    | 50~ | 1.7 | 3.3 |  
                    | 1980 | 25~29 | 55.5 | 24.0 |  
                    | 30~34 | 11.7 | 9.7 |  
                    | 50~ | 2.6 | 4.4 |  
                    | 1990 | 25~29 | 65 | 40.5 |  
                    | 30~34 | 21.5 | 13.9 |  
                    | 50~ | 5.6 | 4.3 |  
                    | 2000 | 25~29 | 69.4 | 54.0 |  
                    | 30~34 | 42.9 | 26.6 |  
                    | 50~ | 12.6 | 5.8 |  
                    | 2010 | 25~29 | 71.9 | 60.3 |  
                    | 30~34 | 47.3 | 34.5 |  
                    | 50~ | 20.1 | 10.6 |  4)此れからの日本
 ・総人口の減少と高齢者人口の増加
 昔:胴上げ
 現在:騎馬戦:高齢化率は23.1%(2010年)
 将来:肩 車 :高齢化率は40%(2055年)
 
 5)子育て協同社会への転換期
 
 
              
                
                  
                    | 年 代 | 時 代 | 人 口 (万人) | 記  事 |  
                    | 1000 | 鎌 倉 | 800 |  |  
                    | 1945 | 第二次世界大戦 | 7000 |  |  
                    | 2000 | 現 在 | 1億3000 | 平成12年国勢調査 |  
                    | 2100 | 日本の将来 | 4440 |  |  
                    | 2500 | 15 |  |  | 
          
            | 人口減少社会の 教育システム
 
 -教育は百年の計-
 | マイルドな少子化(ゆっくり少子化が進む)策を組み込んだ転形期子育て協同社会の形成が進む中で、ヨーロッパの場合は特に南欧(イタリア、スペイン、ギリシャなど)では伝統的な「家族責任主義」文化の社会が守られている中で女性は子育てや老人の世話をするもので男が働き女性は家を守るとの考えで
            女性が家の外で働く事を良しとしない考え方で封建主義を捉える思想。しかし、北欧(北海沿岸地域)では親子伝統が強く、家族形成パターンとして両親と共に生活する世帯は少なく殆どが単婚家族(両親と別居)世帯が中心で、その結果「マイルドな少子化」社会を生み、やがて超少子化社会へと推移したがノールウェー
            デンマーク スェ-デンなどの北西ヨーロッパ地域(北海沿岸)では特にこの傾向が強い。尚、1975年のイギリスのTFR(出生率)は1.81人で2001年が1.63、2002年が1.64と減少し、平均初婚年齢も女性で28.4才(2002年)と晩婚化が進んでいる。但し、婚姻外出生数(婚姻届を出していない)は1971年が8.4%→2003年は41.4%と増加。しかし
            南欧のTFRは1.0に近い超少子化となっていて、北欧より南欧の方がTFRが少ない。 
 しかし、「核家族の危うさ」の自覚や「親族ネットワークに頼らない救貧システム」
 が今後の課題                               ★救貧:貧困者を救うこと
 
 古代・中世初期においては「子どもは価値あるもので、捨て子は多大の配慮と愛情を持って養子として育てられた。
 
 又、ケルト的伝統として血の繋がりの有無に関係なく「子ども」を養育する「見知らぬ人々の親切」のネットワークがあった。一方、日本には子どもを増やせない事情があるその一つは「学校教育費」の対GDP比がOECDの中で日本は最低(公的支出比)
 
 ★ケルト:中央アジアの草原から馬と車輪付きの乗り物(戦車、馬車)を持ってヨーロッパに      渡来した民族で、独自の文化を持つ。
 
 
 | 
          
            | 新ライフスタイル (新時代の人生)に
 ふさわしい子育て協同社会へ
 | ・労働生活観 男・女・「老」協働やワ-クライフ・バランスおよび働き方の「女性基準」
 ・学校観:複合機能(学校)やスモールスク-ル及び教育福祉防災地域拠点
 ・子ども観:「社会の子ども」や超家族責任主義及び多様な「家族」や社会的寛容
 ・人生観:新ライフコースや新ライフスタイル及び自律的生
 古代東アジアの「學」と「校」:痒序學校(孟子:BC5世紀)
 ・この中で、校→痒=養:貯蓄場(ムラの生命線)→貯蔵所、養老、養生所(病院)
 託児所
 ・學:書記養成(天文学・簿記・記録)、ト占
 ・つまり、生を養う(學)と場(校)としての學校
 
 佐藤信淵(江戸時代)が設立した「小學校」
 ・複合機能型として以下の5部門で構成されている
 
 ① 「療病館」・・・病人
 ② 「慈育館」・・・乳児
 ③ 「遊児館」・・・8才以下の子ども
 ④ 「教育所」・・・8才以上の子ども
 ⑤ 「広済館」・・・救済・土木事業
 
 
 | 
          
            | まとめ | ・日本の昔は、村の子どもを村人が育てる「 産育」の習俗があった 柳田国男が描いた「社会と子ども」
 ・つまり、少子化や初婚年齢の高年齢化・未婚率の増加など、人生の見え方が
 変わって来ている中での「子育て」のあり方を考える必要がある
 ・それには、ヨーロッパの「子育て」を参考にすると良い
 南欧(イタリア、スペイン、ギリシャなど)では伝統的な「家族責任主義」文化の社会 が守られている中で、女性は子育てや老人の世話をするもので、男が働き女性は 家を守るとの考えで、女性が家の外で働くことを良しとしない考え方で封建主義を  捉える思想。それに対して、北欧(北海沿岸地域)では親子伝統が強く、家族形成
 パターンとして、両親と共に生活する世帯は少なく殆どが単婚家族(両親と別居)
 世帯が中心で、その結果、「マイルドな少子化」社会を生み、やがては超少子化
 社会へと推移したが、ノールウェー、デンマーク、スェ-デン、などの北西ヨーロッパ 地域(北海沿岸)では特にこの傾向が強い。
 ・しかし、日本にも年齢が来ると親元を離れ集団生活の中で成長する制度がある
 ・社会(地域)の力で子どもを育てることが大切で、核家族社会の中で周囲が子ども  を守り育てる北欧文化を手本に、子育てを行うことが重要。
 
 
 | 
          
            | 5
 | くらしと微生物
 | 微生物とは何か
 | 微生物(Microoganisms)
 ○肉眼で見えない生物(カビ、酵母、細菌、放線菌など)
 数十ミクロン以下
 
 ○名前(ラテン語)
 ・属名と種名
 大腸菌:Escherichia Coli[エセリシア コリー:Esherich氏+Colon(大腸菌)]
 ミコバクテリウム ツベルクロス:MycobacteriumTubercullosis(・・菌+小癌、結節)
 ペニシリウム クリソゲヌム:Penicillium Chrysogennum。青カビ:Penicillum(絵筆の形)
 
 *生物分類については、今年度第一回目の「生命の繋がりを守る」の「 生物多様性
 と生物資源」の中の「種の多様性」の項を参照下さい
 
 
 ○特長
 ・分類学的多様性(全部でおおよそ17万種)
 内訳
 ★きのこ・カビ・酵母・・・8万種
 ★藻類(クロレラなど)・・5千種
 ★原生動物(アメーバー)4万種
 
 ・増殖速度が速い:一個の大腸菌が2分割する速度は20分間(平均世代時間)
 タミフル(インフルエンザの薬は)大腸菌から作る
 ・多様な機能を持つ
 
 微生物機能 その1:暮らし絵の利用
 ★細菌:納豆菌や乳酸菌、枯草菌(酵素)
 ★放線菌:抗生物質(ストレプトマイシンなど):免疫抑制剤
 ★酵母:ワイン酵母・清酒酵母・味噌酵母・醤油酵母
 ★カビ:青カビ・麹菌・貴腐菌(貴腐ワイン)
 
 微生物の機能の利用例:日本酒(米麹+発酵)
 
 デンプン(C6H12O5)n→麹カビ→糖化(アミラーゼ)→ぶどう糖(グルコース)
 C6H12O6
 →清酒酵母→アルコールと炭酸ガス
 2C2H5OH  CO2
 
 微生物機能 その2:各種有機物の分解→森の中の食物連鎖
 
 
              
                
                  
                    | 動 物 (消費者) |  |  |  
                    | 肉食動物 | ← | 草食動物 | ← | 植 物 (生産者) |  
                    | ↓ |  |  |  | ↑ |  
                    | 死体・糞・落ち葉 | → | 微生物・ダンゴ虫・ミミズ (養分) 土の中の生き物 (分解者)
 |  
 | 
          
            | 地球と微生物 | ○生態系 ある地域に生息する全ての生物群集と周辺の環境。すなわち生命の循環システム
 
 ・生命の誕生以来、約40億年に掛けて創られた共生を基本とした絶妙なバランス
 
 ・消費者: 動物
 生産者: 植物
 分解者: 微生物・カビ・細菌・放線菌
 
 ○共生(広義):異なる生物種が相互に影響し合いながら生活をすること
 
 例1 クローバーの根の微生物分解(ロシアの科学者の研究)
 (微生物と微生物のの連携プレー)
 ・糖分は細菌(無胞子)として根の40日(一生)の内5日まで成長し、それが
 12日から有胞子として30日までセルローズ分解徐として減速し、その後は
 40日迄腐食として減速し40日で成長を終える
 ・カビは5日まで成長し、その後は20日まで減速し成長を終える
 ・放線菌は10日以後に成長を開始して、徐々に成長して40日まで成長する
 
 
 例2 松花粉の微生物分解
 ・4日まで化学走性し、その後増殖力の弱い放線菌が増殖して、14日で放線菌
 と細菌になる
 
 
 | 
          
            | 暮らしと微生物 | ○放線菌の概要 ・土壌中に生息して有機物の分解(物質循環)に関与
 ・堆肥熱成における主要微生物
 ・抗生物質の生産(ストレプトマイシン等)
 ・放線菌は約2000種が知られている
 ・主要属は、Streptomyces、分泌密度の低い菌群を希少放線菌と言う
 
 ○放線菌の探索
 ①土壌資料を採取
 ②水で希釈後、寒天培地上に塗抹し培養
 ③放線菌を試験管の中の培地に純粋に分離し保存
 ④分離した放線菌を形態・化学組成・DNA解析により分類同定
 ⑤培養液の抗菌力を大腸菌等の被試験菌を使って調査
 
 *培地:微生物の増殖に必要な栄養素(ぶどう糖など)を水に溶かし、殺菌したもの
 必要に応じて寒天を添加して平板として用いる
 *採取は利尻島(2008年)、西表島(2008年と2012年)、南極でも採集した。
 
 ○化学走性を利用した新規分離法(希少放線菌をの分離)
 ・化学走性(Chemotaxis):化学物質の濃度差が刺激となる走性
 ・細菌が栄養物に集まる(正の化学走性)と、逃避する(負の化学走性)がある
 
 ・殆どの一般細菌の分離法は、Nutriient agar+貴釈法
 ・それに対して、多種多様な希少放線菌の分離法は、Humic acid-vitamin(HV)agar
 +毛細管捕集法で、20前から採用されている
 
 ・研究例として、西表島の土壌(黄色土系)からは、平均ph6.6で有機物が10%で供
 資料は合計206点。それに対し、利尻島の土壌(火山灰土系)からは平均ph5.4
 有機物が18%で、供資料 は合計203点。
 ・まとめ(表)放線菌分離株の同定結果
 
 
 
              * 毛細管捕集法をはじめ6種類の分離法を使用
                
                  
                    | 地域 | 分離*株数 | 科 | 属 | 種 (新種数)
 |  
                    | 西表島 | 881 | 24 | 63 | 329 (89)
 |  
                    | 利尻島 | 889 | 20 | 50 | 241 (75)
 |  ** 2地域のデーターには重複はない
 *** 地球上陸地面積は西表島の50万倍のので、計算上は
 (89×50万=4500万の未知放線菌が生息(?)
 
 ○植物と放線菌の共生
 ・最近、根圏における放線菌と植物の共生関係が明らかになりつつある
 ・我々は此れまでに:①各種植物の根から約1000株の放線菌を分離
 ②植物病原菌(フザリウム菌等)に抗菌活性を有しオーキシン
 (食物成長ホルモン)やシデロフォア(鉄分の取り込み増進)
 を生産する高機能株を数株選別した
 
 ○放線菌の新しい利用例(植物由来放線菌の有効性の実証)
 ・無処理対照区:茎枯やうどん粉病の発生が見られた
 ・それに対して 放線菌固定資材投与区:良好な生育を示し病害は発生しな
 かった(ハーブ根からの分離株を根元に置いた)
 *バラ苗を植木鉢(直径30cm)に植え付け、1ヶ月間栽培した
 
 ○植物根由来放線菌の有効性の実証(水耕性栽培)
 ・無処理対照:葉がしおれて来る
 ・根を放線菌処理:葉がしおれない
 
 *植物根由来の放線菌を幼苗期の小松菜の根に付着させ、水耕栽培で2週間栽培
 
 | 
          
            | まとめ | ・今回の講義で、微生物の定義と特長が理解出来ました。また、地球上の微生物の 生態系と共生についても理解しました
 
 ・暮らしと微生物では、放線菌とその多様性(探索)、新しい利用法等を理解しました
 ・放線菌については以前、武田神社のお堀の底から新しい放線菌が見つかった事や、
 抗生物質は放線菌から作ること。そして、抗生物質は新しい菌が生れて利かなく
 なるので、新しい抗生物質を常に作りださないと免疫性を担保できないこと
 
 ・今回の講座で、新しい放線菌はまだその発見の可能性は有ることを学習しました。
 ・新しい放線菌分離法として、「毛細管捕集法」も勉強しました。この方法を使う事で
 新種の放線菌を見つけ出す技術が進んでいるそうです。
 
 | 
          
            | 4
 | 生命をつなぐ水
 
 ~地球の未来を考える~
 | 世界と日本の
 水利用の状況
 | ☆人と水との関わり(色々なことで人と水はつながっている)
 ・治水:水害を防ぎ水害の被害を最小にすること
 ・利水:人間活動に水を利用すること
 ・親水:環境として親しむこと
 
 ☆ 地球上の水の量
 
 
              
                
                  
                    | 水の種類 | 量 (1,000km3)
 | 全水量に対 する割合(%)
 | 全淡水に対する割合(%) |  
                    | 海水 | 塩水 | 1,338,000 | 96.5 |  |  
                    | 地下水 | 合計 | 23,400 | 1.7 |  |  
                    | 塩水 | 12,870 | 0.94 |  |  
                    | 淡水 | 10,530 | 0.7 | 30.1 |  
                    | 氷河等 | 24,064 | 1.74 | 68.7 |  
                    | 湖水 | 合計 | 176.4 | 0.013 |  |  
                    | 塩水 | 85.4 | 0.006 |  |  
                    | 淡水 | 91.0 | 0.007 | 0.26 |  
                    | その他(沼地、河川等) | 淡水 | 343.02 | 0.000025 | 0.001 |  
                    | 合計 | 総合計 | 13,859,84.5 | 100.0 |  |  
                    | 塩水 | 1,350,955.4 | 97.47 |  |  
                    | 淡水 | 35,029.1 | 2.53 | 100.0 |  ☆ 世界の水資源量
 ・地球上の年平均の降雨量は、ほぼ800mm 程度で、其れに対して日本の平均
 年間降雨量は1,800 mm
 ・しかし、日本は国土が狭く人口が多い関係で一人当りの水の供給量は世界平均
 の1/3程度で、しかも降雨量が多い割には雨がすべて使われてはいない
 
 ☆水の将来は不足することはないのか
 
 ☆ 地球に有る地下水
 ・半分は塩水(化石海水など)
 ・循環している水とそうでない水がある。循環している水は日本人の地下水の
 イメージで、毎年雨水が供給されて、水量があまり変わらない地下水。其れ
 に対して、循環していない水(化石地下水)は大昔の水が地下に溜まったもの
 で限りの有る資源。しかし、世界中にはこの資源が圧倒的(米国の農作物は
 この水を汲み上げて利用している)
 
 
 | 
          
            | 水文学 (すいもんがく)
 
 | ☆ 水文学:水の動きに関わることに就いての学問の分野 
 ・循環する水と地下水:雨が降り其れが地中に涵養(地中にしみ込むこと)し地下水
 となる。その場合、地下水は複数の地層に存在する
 ・雨により涵養された水だけを使っているのであれば、持続的な水利用と言える。
 
 ・世界の水利用の利用形態別比率(2001年)
 
 
              
                
                  
                    | 農業用水(食料生産) | 70% | 農業用水、つまり食料生産のための水利用が多いが、この点が世界的に水の問題=食料問題を生む |  
                    | 工業用水 | 20% |  
                    | 生活用水 | 10% |  ・人間の水の使用形態
 
 
              
                
                  
                    | 都市用水 (農業以外)
 | 生活用水 | 家庭用水 | 飲料水 調理 洗濯 掃除 水洗トイレ 散水、等
 |  
                    | 都市活動用水 | 営業用水:飲食店、デパート、 ホテルなど
 事務所用水:事務所など
 公共用水:噴水、公衆トイレ
 消化用水
 |  
                    | 工業用水 | ボイラー用水、原料用水、製品処理用水 洗浄用水、冷却用水
 |  
                    | 農業用水 | 水田灌漑用水、畑地灌漑用水、畜産用水 |  ・日本人が一人一日に使う水の量:近年漸減しているが、約300リットル
 (家庭+都市活動)
 ・これに対して、人間が生きて行く最小量は100リットル(国連発表)
 
 ・世界の水問題
 ① 世界の人口の半分に当たる人々が、帯水層の枯渇に伴い地下水位が低下
 している国々に住んでいる。世界の水利用の70%が灌漑用なので、水不足
 はすぐに食料不足につながる。
 ② 人口増に伴う食料生産増加の必要性は限りある化石水の利用で成立している
 ③ 乾燥地の農業は灌漑が必要→乾燥地でも利用出来る水として、地下の化石水
 がある
 
 ・世界の三大穀物生産国の状況
 ① 北米:オガララ帯水層(化石水)等の枯渇につれ、灌漑面積の減少や都市用水
 への転用の影響が心配される
 ② インド:人口増加による穀物生産増に伴う過剰な地下水のくみ上げが問題に
 なっている
 ③ 中国:降雨の少ない北部で、化石水の枯渇と都市用水への転用が進んでいる
 
 ☆ 問題点
 
 ①灌漑面積はピークに達している(いくら土地が有っても、此れ以上の人口増加に
 対応出来ない)
 ② 特に北米のグレートプレーンズ(穀倉地帯)地下のオガララ帯水層(約500万年
 以上の地下水で、水が通り難い地層で涵養はわずか)では、水位の低下が
 進んでいる
 
 ・近未来の水問題
 人口が増加し、経済が発展して都市化すると、食料生産のための水が逼迫し、
 水の需要・供給構造の変化に伴う水をめぐる国際的な争いが近未来に起きる
 
 
 | 
          
            | 水と森林 | ☆ 森林と水の関係 ・平準化作用:雨水を一時的に保水し、それを川や地下水にゆっくりと流して行く
 作用。此の場合は、洪水緩和作用と水資源涵養機能がある
 (涵養とは土に雨水が浸みこむこと)
 ・蒸発作用:雨水を一時的に保水し、水蒸気として大気に戻す作用
 此の場合は、洪水緩和機能は有るが水資源涵養機能はない
 
 ☆ 色々な研究の結果として
 ・広葉樹を針葉樹に代えると、川の水は減る:針葉樹の方が土の保水が多いため
 ・森林は川の水の量を減らしている(洪水対策として良好)
 ・健康な森は保水能力が高く川の水の流量のピークを遅らせる事が出来る。
 反面ハゲ山は保水能力が低く大量の水を短時間に流してしまう
 ・つまり、森林の保水機能が重要だが、保水機能は樹木だけの機能ではなく土と
 木により保水能力が生まれる
 ・砂漠にいきなり木を植えても土壌に保水力がなければ木は育たない
 ・土壌を一端失うと復元に長時間が掛る(水と土は一体として管理することが必要)
 ・「より多くの水を得る」→「より効率的に水を使う」→「水を公平に分配する」
 しかし、日本の雨を効率的に使うには限界がある
 
 
 | 
          
            | 水と食料 | ・仮想水:世界貿易の対象となる産物を栽培したり生産に使われる水で、産物の 生産コストに含まれると考えられる水を言う
 ・例えば、小麦1トンの輸入には1,000トンの仮想水を輸入していることになる
 
 ・日本の食生活は世界の水に支えられているが、世界と日本の水の状況から
 考えると日本の将来は厳しい(北米の穀倉地帯の「化石地下水」の水位低下等)
 
 
 | 
          
            | 水の移動と健康 | ☆ 放射性汚染物質の移動と水の役割 ・乾性沈着(粒子状物質の降下)・・・水の介在はない
 ・湿性沈着(降水に伴う降下)・・・水が介在する
 
 ☆ 飲み水、トイレと病気
 ・健康に悪い物質(生物を含む)は水の動きにより人体に達する
 ・アフリカなどで貧困による幼児の死亡率が極めて高いのは、安全な水の摂取が
 出来ないのが主因
 ・開発途上国では都市への人口集中により、トイレと飲み水への影響が大きい
 ・安全な水が無いと、健康は保てない
 
 
 | 
          
            | 3
 | スポーツ観戦論
 
 「見させる」時代を考える
 | スポーツの始まり
 (イギリスの場合)
 | ☆産業革命以前のスポーツ観戦 :パブリックスクールで、ラグビーやサッカーを柵の
 外側から観る。此の場合の「観戦」には
 ・スポーツをやる選手を評価したり判断することが目的であった
 ・見る人がいる事がスポーツの始まりで有った
 ・選手と観客が同じ 地面(グランド)で向かい合った
 
 ☆観るテクノロジー
 ・小規模のスタジアムが出来てそこで観戦するようになった
 (但し、多くの人はグランドで観戦)
 ・次第にスタジアムが大型になり観戦者がスタジアムで観る数が増えて行った
 ・鳥瞰出来ることにより、サッカーの見所が近距離から観る肉弾戦(ドリブル)から
 チームプレー(パス)へと変化して行った
 
 ☆見える風景がもたらしたもの
 ・産業革命により大規模な工場を建設することが出来るようになり、スタジアムが
 大型化して行った(建築のテクノロジー)
 ・穴を掘り底をグランドにして斜面を観客席にした(土木のテクノロジー)
 ・数万人(8万人程度)を収容できるスタジアムが各地に誕生して行った
 
 
 | 
          
            | イギリスにおける サッカーの考え方
 
 | ☆イギリスではサッカーは労働者のスポーツと言う考えが強い。しかも、観る人達が 考える様になった
 ☆サッカーは国民にとって重要な文化とする考えが強い
 
 
 | 
          
            | テレビによる観戦 の進化
 
 映像のテクノロジー
 | ・ズームアップ:スター選手の登場 ・スローモーション:スーパープレイの登場
 ・ゴールキーパーの背後からクレーンに付けたカメラで写す
 ・スパイダーカメラ:ロープを張って上空からカメラを移動させて撮影する
 
 
 | 
          
            | 我々は神の目を 持つことが出来たのでしょうか
 
 スポーツ観戦論
 | ☆ 神の目とは:競技場の中で見たい場面をテレビなどで適切に観る事が出来る ☆現代の人とのつながり
 ・見せること=見せられること(片側のつながり:映っていることは判っても全てを
 観ている訳ではない)
 ・観る事の不在=生身のからだの不在(人とつながらない共生)
 個々の人が観たいものを写し出してはいない
 
 ☆人がつながる共生
 ・観合うこと
 ・観られ合っていること
 ・生身のからだのやりとりがそこにあること
 
 ☆結論
 
 観る人達がスポーツを作り、人との共生がそこから生まれて来る
 共生:共に楽しむこと
 
 
 | 
          
            | 2
 
 | 放射線と
 私達の暮らし
 
 -正しく怖がり、
 上手に利用する-
 | 何となく怖い
 理由
 | ① 放射線に関する2つの見えない
 ・放出される放射性物質が見えない
 放出された放射性物質が気体(ラドンやキセノン等)や微粒子の為 目に見えない
 しかし、この点は他の化学物質も同じ
 
 ・放射線が見えない
 放射線は電磁波や高エネルギーの粒子なので、放射線は見えない。しかし、
 計測器を用いれば非常に低レベルでも測定できる。
 
 ・そこで、モニタリングしていれば、安心
 
 ② 直ちに影響はなくても、後で可能性があるのでは
 放射線の人体への影響
 
              
                
                  
                    | 放射線影響 | 身体的影響 | 急性影響 | ・皮膚の紅斑 ・脱    毛
 ・白血球減少
 ・不 妊 など
 | 確定的影響 |  
                    | 晩発影響 | ・白 内 障 ・胎児の影響等
 |  
                    | ・白血病 ・がん
 | 確率的影響 |  
                    | 遺 伝 的 影 響 | 代謝異常 軟骨異常
 など
 |  ③ 学校で放射線教育を受けていない
 ・テレビや新聞のニュース報道を聞いていても、聞き慣れない話が多く、
 単位も表示法がわからない
 ・H24年4月に指導要領が漸く出来た
 
 | 
          
            | 放射線が 何となく怖い
 
 -放射線の正しい知識を持ち正しく怖がる-
 | ①放射線の基礎 ・.原子の構造:1個の原子核(陽子+中性子)を中心にその周りを数個の電子から
 なる
 ・原子の大きさ:それを東京ドームに例えると原子核はパチンコ玉に相当する
 ・原子量=中性子の数+陽子の数
 
 ②放射線:電磁波または粒子でで高エネルギ-のもの
 
 ③主な放射線
 
              ④粒子線の種類
                
                  
                    | 放射線 | 電磁放射線 | X線(制動X線、特性X線) ・原子核外の減少に伴って出る
 |  
                    | γ線 ・原子核内のエネルギーの
 状態の変化に伴って出る
 |  
                    | 粒子線 | 電気を持った粒子線 |  
                    | 電気を持たない粒子線 |  
 
 
              
                
                  
                    | 電気を持った粒子線 | β-線:原子核から放出された電子 |  
                    | β+線:原子核から放出された陽電子 |  
                    | 電子線:加速器で作られる |  
                    | α線:原子核から放出されるヘリウム原子核 (陽子2個、中性子2個)
 |  
                    | 陽子線:加速器で作られる(宇宙に飛んでいる) |  
                    | 重陽子線:加速器で作られる(癌の治療で 体内に入りそこだけを焼く)
 |  
                    | 重イオンや中間子線:加速器で作られる |  
                    | 電気を持たない粒子線 | 中性子線:原子炉、加速器、ラジオアイソトープ 等を利用して作る
 |  
              ⑤電磁波について 
               ・X線、γ線は電波で、赤外線や可視光線、紫外線と同様に電磁波であるが 
                波長は短い 
               ・電磁波は場合によって粒子としての性質を示し、此れを光子と呼ぶ 
               ・波長が短いと光子のエネルギーは高くなる
             | 
          
            | 放射線の性質 | ①透過能力が有る 
 
              ②放射線が通過する物質を電離する
                
                  
                    | 放射線 | 紙 | 薄いアルミ板 | 鉛板 | 水 |  
                    | α線 | × | × | × | × |  
                    | β線 | ○ |  
                    | γ線 | ○ |  
                    | 中性子線 | ○ |  
               ○・・・透過する    ×・・・透過しない
              
             ・放射線の測定に利用する
 ・人体に影響を与える原因
 
 ③放射線には半減期がある
 ・半減期とは:壊変により親核種の数が半分になるまでの時間
 ・最初の値が半分になる迄のの割合を1半減期
 ・更に1/4になるまでの割合を2半減期
 ・同様に1/8になるまでの割合を3半減期と言う
 
 ④主なアイソトープの壊変形式と半減期
 ・電子捕獲(EC:Electron capture)・・・半減期:20.29分
 β+壊変において、陽子が中性子に代時陽子軌道電子を捕獲して中性子に
 変わる壊変
 
 ・核異性体転移(IT:Isomeric transition)・・・半減期:6.01時間
 β線放出後、励起状態ががかなり長時間続く原子核が有る。この様な励起状態を
 核異性体と言い、質量数の後にmを付けて表す
 (例として、市立甲府病院の過剰投与事件)
 
 ・自発核分裂(SF:Spontaneous fission)・・・半減期:2.645年
 カリホルニウム-252(252Cf)などは、α壊変を行うほかに、ある確率でひとりでに
 核分裂し中性子を放出する。この様な核分裂を自発核分裂と言う。
 
 
 | 
          
            | 放射線の単位 | ①放射線の単位と他の単位との比較 
              
                
                  
                    | 懐中電灯 | 光を出す能力(強さ):カンデラ(cd) | 明るさを表す度合:ルックス(lx) |  
                    | 放射性物質 | 放射能の強さ:ベクレル(Bq) | 生体が受ける度合:シーベルト( sv) |  ②放射線に対する単位
 
              Sv=(Gy)×(放射線荷重係数)
                
                  
                    |  | 放射線の場合 | 地震の場合 |  
                    | 放射能の強さ | ベクレル(Bq) | 地震のエネルギー(マグニチュード) |  
                    | 生体が受ける強さ | グレイ(Gy):J/Kg | 地震の揺れ(震度) |  
                    | シーベルト(Sv) |  放射線荷重係数:α線     →20
 β線、γ線 → 1
 中性子線  →5~20
 
 
 | 
          
            | 放射線が人体 に及ぼす影響
 | ①暮らしの中で接する放射線 ・関西や中国地方は放射性同位元素を多く含む花崗岩地帯が多く、台地からの
 ガンマ線の量が多く、逆に関東平野は火山灰地の為ガンマ線量が少ない
 (概ね、北陸や四国地方は年間で1.1ミリシーベルト以上。東北地方から北海道は
 0.99(同)その他の地方は1.00以上~1.09以下(同)
 
 ・海外では、インドのケララ地方やブラジルの一部でガンマ線量が高く
 年間数十ミリシーベルト程度で、日本の数十倍が報告されている。しかし、現在は癌
 の発生は高くはない
 
 ②自然放射線
 ・コンクリートの建物は宇宙線や大地から放射線を遮る力が大きいがコンクリート
 や骨材自身に放射性同位元素を多く含むので、木造家屋より放射線量が多い
 ・花崗岩の敷石やビルが立ち並ぶ銀座通りは海上に比べてガンマ線量が4倍も
 多いが、海水自体は放射性同位元素含んでいないのがその理由
 ・飛行機に乗り高度1万mを30時間飛ぶと、地上より50マイクロシーベルト
 (0.05ミリシーベルト)程度多く被曝する
 ・日常生活の中の一人当りの放射線被曝量は年間3.75ミリシーベルト(平均)で、
 その内医療被曝は60%で自然被曝は39%
 ・人間が年間に受ける自然放射線量は、国連科学委員会の報告によると 世界
 平均で2.4msvで、日本では1.4msv
 
 ③医療放射線量は胸部レントゲン撮影で一回当たり0.06msv程度で、CT撮影
 では同じく胸部で6.8msv
 
 ④放射線が人体に及ぼす影響の概観
 1原子レベル:人体が放射線被曝すると、人体を構成する原子が電離・励起される
 
 2.分子レベル
 ・放射線の生物作用の標的はDNAであるが、DNA損傷には直接作用と間接
 作用がある
 
 直接作用:DNAを構成する原子に起きた電離・励起が直接DNA損傷をひき起こす
 関節作用:水分子が電離・励起された結果、活性に富んだフリーラディカル
 (不対電子対)が形成されて、此のフリーラディカルがDNAの損傷をひき起こす
 
 3.細胞レベル:DNA損傷の内大部分は短時間に修復されるが、修復されずに
 そのまま固定されたり修復の際エラーが起こることがある。
 損傷が致命的な場合は細胞死、致命的ではない場合は、情報が
 変化したまま細胞分裂が行われる。
 
 4.臓器・組織レベル:臓器・組織は数多くの細胞で構成されているが、その中の
 相当数が細胞死すれば、臓器・組織の機能障害が起こり、
 此れが放射線影響として観察される(確定的影響)また、
 DNA情報が変化したまま細胞分裂が繰り返されると、突然
 変異を起こし、癌や遺伝的影響が発生する可能性が有る。
 突然変異が体細胞に起きた場合は、癌が発生し生殖細胞
 に起きた場合には遺伝的影響になる(確率的影響)此の時
 最初に変異した細胞は1個
 
 5.被曝線量と影響の現れ方
 ・確定的影響:あるしきい値を超えて被曝すると発生する症状が有り、これを
 「確定的影響」と言う。急性効果と晩発効果の内「白内障」などが
 その例で、しきい値を超えると被曝線量が大きくなるに連れて症状
 は重くなり、発病の確立が高くなる。(脱毛や白内障)
 
 ・確率的影響:被曝すれば誰でも癌になる訳では無く癌が発病する確率が高くなる
 此れを「確立的影響」被曝線量が増加するにつれて、発病率が単純
 に高くなり、発病した場合の重篤度は被曝線量の大小に関係しない
 | 
          
            | 法令及び基準値 | ①関連法規(放射性同位元素等による放射線障害の防止にかんする法律) ・人の被曝
 a)放射線業務従事者者の実行線量限度:年一回の健康診断の義務付け、被曝
 線量の測定と記録、教育訓練
 b)一般人:5年間に100mSv → 20mSv/年、1年に50mSv、
 女子については5mSv/3ヶ月 → 20mSv/年
 妊娠中の女子は妊娠事実を知った時から出産まで、内部被曝は
 1mSv
 
 ②場所に関する線量限度
 ・常時人が立ち入る場所の(管理区域内)の実効線量
 1mSv/1週間 → 50mSv/年
 ・管理区域の境界の実効線量:1.3mSv/3ヶ月 → 5.2mSv/年
 事業者境界(事業者と民家)の実効線量:250μSv →1mSv/年
 
 | 
          
            | 1
 
 | 生命の繋がりを守る
 
 -地域と国際社会
 を結ぶ生物多様性-
 
 | 生物多様性
 と生物資源
 
 | ① 生物多様性とは何か
 
 ・地球上のすべての生命
 ・生命の多種多様な形態
 ・全ての動物・植物・微生物の生態系
 
 ② 生命のつながり
 
 ・生物多様性とはすべて生物の変異性を言うものとし、種内の多様性、種間の
 多様性及び生態系の多様性を含む
 ・ただ生きものの個体数が多いということではなく、異なる種が多く存在し、
 種の中でも多様な個体が存在し、それらが生息している場所も様々であること
 ・そして、それらが相互作用していること
 
 ③ 多様性の3つのレベル
 
 ・遺伝子の多様性:ヒトは1つの種であるが、遺伝子の多様性により青い目を持つ
 ひとや黒い目を持つ人まで多様である
 ・種の多様性:蝶は18,000種以上あると言われている
 
 
              
                
                  
                    | 種 の 多 様 性 | 代 表 例 | 数 |  
                    | Kingdom | 界(かい) | 動物界 | 1,000,000 |  
                    | Phylum | 門(もん) | 脊椎動物門 | 約40,000 |  
                    | Class | 綱(こう) | 鳥綱 | 8,600 |  
                    | Order | 目(もく) | スズメ目 | 5,160 |  
                    | Family | 科(か) | アメリカムシクイ科 | 125 |  
                    | Genus | 族(ぞく) | アメリカムシクイ族 | 28 |  
                    | Species | 種(しゅ) | キマユアメリカ虫食い | 1 |  ・生態系の多様性:南極から熱帯雨林まで多様な生態系が存在する
 
 
              
                
                  
                    | 農  業 | Agricultural Biodiversity |  
                    | 乾燥地及び半湿潤地域 | Dry and Sub-humidLand Biodiversity |  
                    | 森 林 | Forest Biodiversity |  
                    | 内水(陸水) | Inland Waters  Biodiversity |  
                    | 島嶼 (島しょ:島と小島) | Island Biodiversity |  
                    | 海洋・沿岸 | Marine and Coastal Biodiversity |  
                    | 山 岳 | Mountain Biodiversity |  
 | 
          
            | 多様性全体 の整理
 | ・生物多様性
 
 
              
                
                  
                    | 森 林 | 多様な種 | 多様な遺伝子 |  
                    | 山 岳 |  
                    | 海洋・沿岸 |  ・種の数と種の推計
 
 
              
                
                  
                    | 固定済み(見つかっている)種 | 種の推計 |  
                    | 1,750,000 | 300万~10億 |  
 | 
          
            | 生物多様性が 話題になる理由
 | ・生物が急速に失われている 
 ① 年間 40,000種が絶滅している
  ② 自然状態より50~100倍のスピード③ 史上6回目の大絶滅期
 
 ・生物多様性損失の原因
 
 ① 生息地の破壊
 ② 生息地の分断化
 ③ 生息地の撹乱
 ・劣化
 ・汚染
 ・気候変動:温暖化
 ・侵略的外来種
 ・病気
 ④ 乱獲
 
 ・最も深刻な原因
 
 ① 生息地の破壊
 ② 土地利用の変化:21世紀中の陸上生態系における生物多様性減少の最大
 原因
 ③ ②についで、気候変動と外来種の導入:熱帯雨林の破壊は、生物種の破壊と
 同義
 
 ・保全生物学の最優先課題は、現在の熱帯雨林消失の悪循環を断ち切り大部分
 の熱帯雨林の存続を可能にすること
 
 | 
          
            | 生物資源と 生物遺伝子
 資源とは何か
 
 | ① 食料だから資源 ② 燃料や材料になるから資源
 ③ 我々に恩恵を与える資源:水を蓄えることは、生態系サービスと呼ばれる
 ④ 医薬品:高度な技術によって生物多様性が我々の命を救う
 (生物遺伝資源となりえる)
 ・頻繁に引用される事例として、ニチニチソウがあるが、この薬草から抗癌作用を
 持つピンクリスチンとピンプラスチンと言う2つの物質が発見された
 (これを「発見」「開発」した製薬会社のイーライ・リリー社は1963年に抗癌剤を
 発売)尚、ピンクリスチンは小児白血病にに効果があり、1957年以前には死亡率
 が95%であったこの疾病の生存率を84%迄引き上げた。又、ピンプラスチンは
 ホリキン病(リンパ腺腫瘍の一種)に効果がある
 ・ストレプトマイセス・ツクバエンシス:アステラス製薬(当時は藤沢薬品工業)は
 1984年に「タクロリムス」と言う物質を発見し、1993年に免疫抑制剤を開発し、
 2009年の売り上が2000億円に達した。
 ⑤ 技術と投資により、何でもなさそうな生物の「生き物の(血や肉や場合によって
 排泄物)が「遺伝子(遺伝情報)」が人の命を救い、お金になる「資源」となりえる
 ⑥ このように、生物多様性は、資源であることの認識が重要
 ⑦ 生物資源と伝統的知識
 ・緑茶とネギ(緑茶には脂肪を減らし太らないカテキンが、ネギには炎症減らす
 アリシンがふくまれる。
 ⑧ 地域固有の資源として、地域住や社会が伝統的に持っていた(持っている)知識
 (保全の知識が含まれる場合がある)その一つとして、アフリカのサン族
 (ブッシュマン)が砂漠に入る際に食欲抑制剤としてフーディアカクタスを服用する
 この成分を応用してファイザー(英国)がサン族から開発権を得てダイエット薬を
 開発した。
 ⑨ なぜ生物多様性(生命のつながり)を守るのか(?)それは、掛け替えのない自然
 が無いと(生物多様性と生物資源がないと)生きて行けないから。
 
 
 | 
          
            | 生物多様性の 経済的価値
 | 何故守るのか ・生物多様性が保全された状態
 ① 保全が継続・・・ある日技術が適用され資源として利用される(生物多様性が
 破壊されると、我々の命を救うかも知れない貴重な将来の
 「資源」を利用する機会が失われる。それらは、価値と経済的な
 価値を有する
 ② 生物多様性の損失・・資源として利用される機会が失われる
 ③ 水源涵養機能などによる水供給サービス・・水源涵養機能等による水供給
 サービスの継続
 
 生物多様性に関する条約/生物多様性条約
 ・1992年採択し1993年発効
 ・全ての生物が対象(ただし、人間は対象外とすることに合意がなされている)
 ・2つの議定書
 ① カルタヘナ議定書:2000年採択、2003年発効
 ② 名古屋議定書:2010年採択
 
 ・カルタヘナ議定書(生物多様性条約)→京都議定書(1992年採択、1993年発効)
 →国連砂漠化防止条約(1994年採択、1996年発効)
 
 バランスのとれた3つの目的
 ① 生物多様性の保全
 ② その構成要素の持続可能な利用:摂り過ぎない
 ③ 遺伝資源利用から生じる利益の公正かつ衛平な配分
 
 生物多様性条約犯行前後(1993年12月29日)
 
 発効以前:生物遺伝資源は「みんなのもの」・・ルール上は持ち出しが可能
 発効以後:生物多様性条約が出来たので、生物資源はその資源を持っている
 国のものを勝手に持ち出し不可
 
 生物多様性条約の構成
 ・第6~14条:生物多様性の保全に関する条項
 ・第15~19条:生物資源利用と利益配分に関する条項
 ・第21,2139条:資金に関する条項
 ・その他、組織や手続きに関する条項
 
 名古屋議定書(2010年10月29日深夜採択)・・愛知ターゲット(CPO10)
 
 ①.締約国間で、ABS(遺伝資源の利用から生じた利益の公平な配分)が促進
 されていないと言う共通認識がある
 ②. 2010年目標においては、ABSの進展の進展の評価基準さえ確立されていない
 ③ 途上国による「生物海賊(バイオバイラシー)」正確には「不適正な利用」の懸念
 がある
 ・大航海時代の恨み
 ・生物資源は増えると言う概念
 ④ 交渉するようにとの決議が、第7回締結国会議(COP7)でなされた(2004年)
 
 私達に出来る事
 
 ① 関心を持つ事:地球温暖化は知られていても、生物多様性は知られていない
 ② 研究者は名古屋議定書(ABS)のルールを正しく理解すること
 ③ マスメディアはCOP10を「終わり」にせず「始まり」とすること。COP11も報道
 して欲しい
 
 ☆ABS(Access and Benefit Sharing):遺伝資源の利用から生じた利益の公平な配分
 
 
 |