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臨海開発特別委員会でのそねはじめ議員の質問全文
◯曽根委員 それでは、質問します。 知事、あなたが決断した今回の基本方針案について、マスコミの報道初め経過を知っている関係者は、そろって懇談会報告のうちのA意見、つまり現行開発推進案に近い方針だという評価を下しています。
とりわけ、懇談会報告の両意見を起草した委員がどういっているか。各紙に報道された内容ですが、抜本見直しのB意見をまとめた大西委員は、明らかに推進意見に近い内容で、現行計画を踏襲しており、知事の公約違反だと述べています。一方、推進のA意見を執筆した花田委員は、現行計画に沿った推進案に近いもので評価したいといっているんです。
懇談会報告の内容を一番詳細にご存じのこの二人の評価が一致しているわけです。きわめつけは、開発推進に一番執念を持っているだろう鈴木前知事が、青島さんも実態をおわかりになって、前の知事のとおり進めていこうという決断になったのではないか、ありがたいことですと、満足げに語ったというのです。
知事、お聞きしますが、懇談会委員や鈴木前知事など、一番内容を承知している人たちから、共通して今回の基本方針案が推進意見に近いものと評価されたことをあなたはどう受けとめますか。
◯青島知事 今度策定いたしました基本方針案につきまして、さまざまの方々からさまざまなご意見が述べられていることを私も承知をいたしております。しかし、私どもといたしましては、現時点において、都民のご意向を十分に踏まえ、最大多数の最大幸福を確保する上に最大の方策としてこの道を選んだわけでございまして、A案に近い、あるいはB案に近いと、どちらともご意見はおありでしょうが、私どもとしては、これがまさに都民のためになる最大の案だと、最高の案だということで決定を願っているわけでございますので、ご承知をいただきたいと思います。
◯曽根委員 あなたは都民のための最高の案だというふうにいいましたが、本当にそうなっているかどうか、この点について具体的に聞いていきたいと思います。
知事は、基本方針案を発表した十日の記者会見で、私なりに抜本見直しだとして、その根拠に、人口フレームを縮小したことと事業費を削減したことを挙げられました。
そこで、まず人口フレームですが、基本方針案は、業務人口が七万人程度プラスアルファとなっていて、このプラスアルファの部分である都民提案制度にする街区の人口を加えれば、懇談会報告の推進意見の約九万人に近くなるのではないかという疑問が、事前の報道の段階から出されていました。
こうした中で知事は、十日の記者会見で、この街区のプラスアルファは一割程度という希望を述べられ、七万人の一割ですから、業務人口は七万七千人と報道した新聞もありました。この七万七千人でも相当な業務機能の集積になるわけですけれども、しかし、知事の了承した方針案は本当に七万七千人を裏づけているのか。 知事にお伺いしますが、この一割程度という数字は、事前に事務当局と打ち合わせて、詰めた上で述べられたんですか。
◯青島知事 再三この場でお答え申し上げておりますように、七万でおさまるか、七万八千になるか九千になるか、その辺は定かではございませんが、地域も限られておりますし、他との比較も考えまして、七万ということにいたしましても、プラスアルファは恐らく一割以内におさまるのではないか。
しかし、再三申し上げておりますように、都民提案の前提がございますので、それに枠をかけるつもりはございませんが、他との比較の上から考えても、このぐらいでおさまるんではなかろうかと私は推測をいたしますと申し上げたところでございます。
◯曽根委員 あなたは希望的な推測をいったわけですが、聞いた事務当局の方はびっくりしたと思うんです。あなたは地域は小さいといいますけれども、港湾局にお聞きしますが、長期収支試算の上で、この都民提案制度の街区の業務・商業などの地価や容積率は、そのほかの処分予定地のそれぞれの条件と何か違いがあるでしょうか。
◯石川港湾局長 今回の長期収支試算におきましては、都民提案制度の対象区域の地価及び容積率は、他地区と同条件で試算をしております。
◯曽根委員 都民提案制度というのは、事前に用途や容積率の枠がはめられたものだという批判がありましたが、この容積率で計算すると、都民提案街区の就業人口フレームは一万数千人になるのです。そうすると、就業人口は七万人台ではなく、実際には八万数千人になって、懇談会報告のA意見のフレームに数字の上でも近くなるじゃありませんか。
あなたは一万人、一割程度といいましたが、実際にはもっと大きな収支試算上の採算合わせがされているということです。知事が事前に明確に指示されて、一割程度に方針案を縮小されているならともかく、発表された試算はそうなっていないのです。
もう一つ、知事が徹底見直しをしたという根拠として、総事業費を三兆七千億円から二兆五千億円に抑えたということを十日の記者会見で挙げられました。それで、この三兆七千億円というのは、きょう配られた資料の第12号にある平成二年九月の試算の総事業費から国費を除いた約三兆七百億円の間違いじゃありませんか。
◯石川港湾局長 数字ですので、私から説明申し上げます。 私自身も時々数字は間違えることがあります。正確に申し上げますと、平成二年の計画事業費のうち、東京都関連の総事業費は三兆七百億円でございます。
◯曽根委員 つまり三兆七千億円から一兆二千億円減らしたというんじゃなくて、実際には三兆七百億円から二兆五千億に五千数百億円減らしただけということなんです。
知事、これは単なる数字の間違いという問題じゃなくて、総事業費ですからね、抜本見直しかどうかの基本認識にかかわることだと思うんですよ。しかも、その事業費の減額五千数百億円も本当に減っているのかどうか、ここが問題なんです。
今回の基本方針案で試算から外された、今後整備時期を検討する交通基盤と、それから、今後区部の街路事業により整備するとされた環状三号線のそれぞれの事業費は幾らか。そして、これらの路線は整備の中止を決めたわけじゃないと思うんですが、どうですか。
◯石川港湾局長 今回の基本方針案で整備時期を検討することといたしました道路や新交通の豊洲から勝どきなどの事業費は、二千三百八十八億円であります。当面は整備を行わず、将来、周辺の開発動向から整備が必要になった場合は、事業化に向け具体的な検討を行う路線でございます。
また、環状三号線の事業費は二千二百六十五億円でありまして、今回の人口フレームを減少させたことから環状三号線を除いても、臨海副都心及び豊洲・晴海地域の開発に支障がないと考えましたため、今後区部の街路事業により整備をする路線に位置づけをいたしまして、区部全域を含めた道路整備の中で整備時期等を検討することになるだろうと思っております。
◯曽根委員 整備をやめたんじゃなくて、いろいろおっしゃいましたけど、臨海会計の計算から外しただけじゃないですか。しかも、外した事業費の二千三百八十八億円と二千二百六十五億円を、この総事業費といわれている二兆五千百五十九億円に加えると、約二兆九千八百億円、もともとの総事業費三兆七百億円から、何のことはない、九百億円、つまり三%しか下がっていないんですよ。知事が事業費を抑えたといっているのと実態は違うじゃないですか。
大体これらの道路は、整備時期を検討するなんていっていますが、もう既に基本方針案の発表後、すぐに進出企業から幹線道路整備のスケジュールがおくれることに不満が出ていて、交通渋滞がネックになって企業進出に支障になるという指摘が出されています。結局、企業を進出させようということになれば、今回の試算から外しても実際にはつくらざるを得なくなる。そうなれば、環状三号線は今度は全部一般会計で持たされるわけですよ。
また、臨海副都心の整備事業が全体として縮小するんじゃなくて、要するに事業の一部を臨海会計の計算から外して、都民負担に押しつけていくということになるんですよ。徹底見直しをしたといえるような中身でないことは明らかであります。
このほかにも、先ほども出ましたが、今回新たな三つの都民負担が出されました。資料の第22号に出されていますが、有明の丘の買い取りにより必要になる一般財源が二千九百四十億円、道路、公園の維持管理費の一般会計への転嫁で千二百二十億円、そして国際展示場用地の時価貸付への変更による都財政の負担増が千三百二十億円、これらの合計五千四百八十億円は全く新たな都民負担じゃないですか。(発言する者あり)
知事は、開発への都民負担は極力抑制するとしていますけれども、実際は違っていると思うんですね。知事の見解をお聞きしたい。
◯青島知事 右肩上がりで自然増収が二〇%ずつも上がっておりますようなバブルの上昇期には、臨海会計で何もかも賄ってもまだ余裕があるというような状況であったというところから、そのような方策で計画を立てたこともございましたが、しかし、一般財源から当然支出してしかるべき都民の共有の財産につきましては、もとどおりに戻すことも的確な仕様ではなかろうかと、かように考えているのが基本的な考え方でございます。(発言する者あり)
◯曽根委員 本来の姿に戻すというお話ですが、都民に財政で迷惑はかけないというのが最初の約束で、今、知事がおっしゃったのは、それをひっくり返すために港湾局が考え出した理屈なんですよ。懇談会でも委員からさんざん厳しい批判を浴びたものなんですよ。都民の税金を使わざるを得ないならば、開発の方向と中身を都民が望むものに転換してほしい、これが都民の意思なんです。その開発の方向が何ら変わっていないことを都民は批判しているんです。
青島知事の昨年の知事選公約の徹底的な見直しということの中身、これは「都政新報」の政策アンケートに一番よく書かれていると私は思うんですね。きょう、その写しを持ってきましたが、これは知事の了解を得て、選挙後、新聞に掲載されたものです。知事は、臨海開発は計画の根本的見直しが必要だとして、これ以上新たな副都心計画を進めれば際限のない都市の膨張を招き新たな問題を発生させる、したがって商業ベースの企業中心の開発から、都民の憩いの場となり得るような福祉、文教ベースの開発に改めたい、例えば、森林公園、海浜公園のような憩いの場をつくり、災害時の避難場になり得るような場所にすると述べています。
これは紛れもなくB意見と共通する内容ではありませんか。都民はそれを掲げた青島さんを知事に選んだんです。そして、知事が設置した懇談会は、これまでの開発方向を代表するA意見と抜本見直しのB意見との両論併記になった。
まさに知事が公約で唱えた抜本見直しの方向を選択できる、大きな意味で二者択一の舞台ができ上がったわけです。それを受けて、知事が公約を守って決断が下せるかどうかが問われていたんじゃありませんか。それなのに知事は、現行計画踏襲のA意見の方を選んでしまった、そうみんな見ているんです。だからこそ都民は、公約とは違うじゃないかと、だれも納得もできないし、失望も大きいわけです。
知事は記者会見で、徹底的な議論で民主的にやったから、公約違反じゃないと弁明されたようですが、都民は、あなたが選んだ推進の方向が公約違反だとみんな思っているんですよ。知事はそのことをどう受けとめているのか、これは明確にお答えいただきたい。
◯青島知事 改革を抜本的に考え直さなければならないといったことも事実でございますし、そのために多くの方々の意見を聞かなければならないといったことも事実でございます。
しかしながら、多くの方々の意見を集約して、多くの方々の意見にのっとって、一人でも多くの都民のご理解を得るために決定の方向を見誤ってはならないということからして、今回の形になったわけでございまして、それはさまざまのご意見、ご批判もあろうかと思いますが、それらを含めた上で勘案した結果、こうなったわけでございます。
私は、大多数の最高幸福を獲得するためには、これが一番の手段だと考えて決定を下したわけでございますので、ご理解をいただきたいと思います。
◯曽根委員 私は、あなたの公約の「都政新報」に明確に記載されているような、B意見と全く共通する内容、これをわざわざ選ぶための舞台もでき上がっていたのに、それを全く正反対の方向を選んだということに対する都民の怒りをどう受けとめるかとお聞きしましたが、あなたはそのことにちゃんと答えていません。
記者会見であなたは、私の決定についてご不満もおありの方がいるだろう、そのときは次の選挙で私を打ち砕けばいいというふうなこともおっしゃったそうです。
都民のこの批判、この基本方針案に対するいろいろな意見を本当に受けとめようとするならば、こういう発言はできないはずじゃないですか。まだ方針案なんですよ。
あなたはそういう都民の声を本当に聞こうとしているんですか、もう一回お答えください。
◯青島知事 私の今回定めました方針案につきましても、積極開発を進めようと考えておられる方々にとっては大変不満なものだということも承知をいたしております。また、やめるべきだといわれた方々についても、同じようなご批判があったことも承知をいたしております。しかし、どっちが大多数の方々のご希望に沿う道であるかということをまず最大限に勘案しなければならないということから、こういう決定になったわけでございまして、その意味からすれば、私は皆さん方にお約束したことをかなり忠実に守っているというふうに考えております。
◯曽根委員 一年前、知事は世界都市博覧会中止の声明で、私が公約を翻せば、都民の政治不信は覆いがたいものとなり、ひいては民主主義の危機につながると述べられました。しかし、今では知事自身が指名した十三名の懇談会委員から異例の意見書が出され、この基本方針案がこのまま決定されれば、事は臨海副都心問題にとどまらず、青島都政全般に対する都民の不信感は覆いがたいものになるという厳しい批判が、あなたに向けられているんですよ。
今後の都政を左右するこんな重大な問題を、都民の声を聞く余裕もない六月中にという短期間で一方的に決めてしまうのは絶対に許されません。市民団体からは都民投票の実施を求める要望も出されています。ところが、知事は、この案を都民投票に付すことに否定的な見解を表明されました。
そこで、私たちは、都民投票を求める二十二人の議員が会派を超えて共同して、都民投票条例を議員提案することを昨日、表明いたしました。あくまで都民の意向に基づく見直しとさせるために、我が党はこの条例の実現に全力を尽くすものです。 都民の求める抜本見直しの世論と運動を一層広げる決意を述べて、私の質問を終わります。