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各会計決算特別委員会94年5月16日
在宅介護支援センター・特養ホーム問題を質問

◯曽根委員 私から最初に、在宅介護支援センターの問題に関連して何点か質問します。
 最初に、在宅介護支援センターの基本的な役割、特にほかの福祉の窓口に比べて利用者にとってどういうメリットがあるのか、その点をご説明いただきたいと思います。

◯安達高齢福祉部長 地域トータルケアサービスの仕組みの中心的役割を担う在宅介護支援センターの事業は、センターにソーシャルワーカー等を配置し、在宅介護に関する相談に応じるとともに、個々のニーズを的確に把握し、各種の福祉、保健、医療サービスを総合的に受けられるよう調整することにより、地域の要介護高齢者及びその家族の福祉の向上を図ることを目的としております。
 したがって、利用者にとりましては、自分のニーズはどこへ行けばよいのかという問題も解消されますし、また、福祉関係は福祉事務所、医療関係は保健所、あるいは住宅関係は区市町村の担当部署に行かなければならないという煩雑さもなくなるメリットはあるというふうに思っております。

◯曽根委員 それで、平成四年と昨年の五年のこの在宅介護支援センターの設置目標、それから実際の設置数の実績、これはどうなっているか。それから、今後最終的にはどのくらいの地域単位でこの支援センターをつくるべきと考えているのか、それをお答え願います。

◯安達高齢福祉部長 第三次長期計画におきまして、保健、医療、福祉サービスを総合的に提供する本事業を計画事業として位置づけまして、平成十二年度までにおおむね中学校区――人口二万人程度でございますが――ごとに整備を進めていく。トータルで六百地区というふうに計画をしてございます。実績につきましては、実施主体である区市町村等と協力いたしまして事業の拡充に努めておりますけれども、九三総合実計における平成五年度の目標値五十五カ所に対しまして二十八カ所、約五一%の実施率ということでございます。

◯曽根委員 私は、この制度が平成二年にスタートしたときに非常に大きな期待を持ったわけです。それは、いろんな理由で在宅福祉を必要とする、例えば退院してきたり、痴呆、寝たきり、そういう状態になったときに何らかの公的な福祉サービスを受けたいという場合、それまではどうしても区市町村の窓口に行って申し込まなければならない。
 しかし、大抵の場合本人は行けないわけですから、かわってだれかが行かなければならない。そうすると、かわってだれか行ったときに本人の状態を話すんだが、本人の状態がわからないためにどのサービスが必要か窓口で決まらないというケースがたくさんあった。しかも、本人にとって家族がいなければどうするか。家族にも頼みにくい場合もあるということで、代理でだれが行くかという点でもいろいろな問題がありました。
 それから、大抵の場合最初の窓口では処理ができなくて、総合窓口に行けば、ああ、それは保健所に行ってください。保健所に行ったら、これはどうも福祉事務所のようだと福祉事務所に回されるというようなことがたびたびあったわけなんです。それが今度の在宅介護支援センターでは、まず本人が窓口に行けないときには支援センターの職員が本人のところに訪ねてきてくれる。
 そして本人の状態を見て何が必要かというのを判断して、家族が手続に行けない場合にはその代行も場合によってはやってくれるという点で、在宅サービスの入り口の段階で大きな難問であるたらい回しと、本人が窓口に行けないために起きるいろんな判断のずれというものがなくなるという点で、非常に画期的ではないかというふうに期待をしたんです。期待をしたんですが、まだ設置目標からいえば半分程度にとどまっているわけなんです。さらに私、実態を最近いろいろ調べてみましたら、なかなかこれが大変な状況になっているわけなんですね。
 それでまず最初に、介護支援センターについて都や国がどういう支援内容をとっているのか。それから、そのセンターの職員の人数や資格要件、それからセンターの職員の権限についてどういう基準を持っていらっしゃるのか、そこをお聞きしたいと思います。

◯安達高齢福祉部長 在宅介護支援センターのコーディネート機能の強化のために、国の職員配置基準の二名に加えまして、ソーシャルワーカーあるいは保健婦の一名の増配置を都としては行っているところでございます。
 平成六年度の運営費の補助内容でございますが、国基準が一カ所当たり千六十三万三千円に対しまして都の基準は千九百六十六万八千円で、その四分の三を補助するというものでございます。また、施設整備費につきましては、国基準の平米当たり二十二万五千百円に対しまして都の基準は三十万二千六百円で、その四分の三の助成をするということでございます。
 資格でございますが、保健婦それから社会福祉士あるいは社会福祉主事などの資格を持つソーシャルワーカー、それから介護福祉士または看護婦、こういった職種を予定しているわけでございます。  権限でございますけれども、在宅サービスの提供のための法上の決定権はございません。

◯曽根委員 東京都は国に上乗せして三人の保健婦もしくは社会福祉士、ソーシャルワーカーなどの資格を持った人を配置するという基準を持っているわけですが、実態は各区市町村が設置しているところの――今全部、民間に委託をしてこれはやられていると思うんです。
 しかも現場の職員の方の話を聞きますと、三人の配置基準のはずが実態は二人しかいないというケースとか、それから、本来正規職員で置くべきがパートで対応している。それから、当時社会福祉士なんていうのは全国にほんのわずかしか資格を持っている人がいなかったために、資格が事実上ない人がやっているというようないろんな実態のでこぼこを私聞いているわけなんですが、こういうものは東京都として把握をしておられますか。

◯安達高齢福祉部長 実態は把握しているつもりでございます。しかし、設置に際しまして、区市町村の事情から三名の配置を即設置することは困難だというような事情もございます。
 そういったケースもございますけれども、我々としては設置促進をしていきたい、あるいはいかなければならないという大きな課題もあるわけでございまして、したがいまして、当面、国基準といいましょうか、国が二名で認めているわけでございますから、国基準で設置を認めることとしまして、制度の趣旨等を十分説明を申し上げて、できるだけ早い時期に三名にするようにということでご指導を申し上げている次第でございます。

◯曽根委員 これは三名でも、私は本来であれば国の方向としては二十四時間対応ということがいわれているわけですよね。
 そういうことから、夜間でも対応できる特別養護老人ホームに委託をするという形で民間委託になっているケースが大変多いんですけれども、その民間委託になっているということから、その職員が民間の社会福祉法人の職員であるということで、例えば区が福祉事務所などで使っているコンピューターが入って福祉情報のネットワークができているにもかかわらず、それが民間に委託部分だからセンターでは使えない。
 ある相談が入った場合、その人が既に区のサービスを受けているのかどうかということについては、例えば保健所の保健婦さん、担当の人を探して聞かなければならないとか、福祉事務所に出かけていってケースワーカーの人に聞くか、もしくはそこで端末を見せてもらってそれで情報を得るということで一々やらなければならないということを、一つの問題点として私聞いております。
 それから権限も極めてあいまいなんですよね。つまり、その人をどういうふうに処遇をするかということについて最終的な決定権を持っていない。また、決定する会議にも実際上参加できない場合がほとんどなんです。そうすると、こうしてくださいというふうに保健所とか福祉事務所にいろいろお願いをするんだけれども、とにかく民間ということで、周りはみんな公務員ですから、実際上まま子扱いされているというようなのが、私は多くのところで実態になっているというふうに思うんです。
 これを解決するには、基本的には私、こういう部門については行政が直接責任を持つ、公務員を配置して。これはまさに住民の方から在宅福祉について直接相談が来る、そこにネットワークの中心を置くというのが当然なことだと思いますので、こういうネットワークの中心に置かれるべき存在として、自治体が行政として直接責任を持つ部門として位置づけてこれから拡充をしていくべきじゃないかと思うんですが、この点ではいかがでしょうか、東京都の考え方は。

◯安達高齢福祉部長 ご指摘のとおり、個人情報の保護という問題は非常に大きな問題としてございます。しかし、自治体が直接運営をしなければ福祉のネットワークの中心になりにくいというふうには考えておりません。
 大事なことは、介護支援センター事務を受託している法人を、区市町村がいかにそれをバックアップしていくかということが大事なことだろうというふうに思っているわけです。現に幾つかの区市では、行政と介護センターが一体となって、極めてすぐれた事業展開を行っているところもあるわけでございます。

◯曽根委員 民間の福祉法人、社会福祉法人などはいわば高齢者の福祉について日本では古くから実績を積み上げてきている、それぞれのいろんな考え方に基づいて頑張ってきている歴史がありますから、その力を尊重するというのは私は当然だし、そういう点から今特別養護老人ホームなどに委託をして、とにかく支援センターをふやしていくということについては反対はしないんですけれども、本来ならば行政が、住民から直接相談が来る、その部分できちんと受けとめていこうというのが姿勢としてあって当然じゃないかと思うんです。その上にさまざまな支援が当然考えられるのは、サービスの内容を充実させていくということは当然出てくるわけですが、まず入り口のところで行政がちゃんと対応するということがどうしても必要だと思うんです。
 例えば在宅支援センターの職員の人たちは、本来ならば公的にやるべきことを、例えば都内に今ある二十八カ所ですか、九カ所になったんですね、こういうところの職員が交流の場をつくって福祉法人のそれぞれのところが交流をして情報交換をしたり、どういうふうに仕事の内容を充実させるかということを相談し合っているというふうなことがやられているわけですね。
 これは民間の段階でやられているわけですよ。こういうことに対して東京都は本来なら責任を持ってちゃんと都としてやらせる。もしくは、各区市町村にきちんとそういう責任を持たせるというのが本来だと思うんですが、現在こういうことに対する援助というのはどうやってやられているんですか。

◯安達高齢福祉部長 お話にありましたように、介護支援センター事業の実施主体は区市町村でございます。したがいまして、区市町村みずからがやるということについて、それが原則であるということについてはご指摘のとおりだと思うんですけれども、同時にまた、社会福祉法人等あるいは医療機関等に対しても事業の委託ができるという規定がありまして、これは区市町村がやれないからこういう規定があるということではなくて、民間法人の社会福祉法人とか医療法人とか、そういうよさをいかにして活用していくか、あるいはこの事業を協働的にやっていくかという意味での受託先あるいは委託先といいましょうか、でございますので、したがって、先ほどのように行政が中心といいましょうか、行政でなければもうネットワークを組めないということではなくて、区市町村と都のいわゆる介護支援センターとの連携の問題が大事な部分じゃないかというふうに思っているわけです。
 そういった意味から、これがどんどん設置促進するためにも私どもとしましては区市町村に対して、財政援助だけではなくて情報提供も含めまして、あるいはいろんなあらゆる会合等を通じまして設置促進についてご指導といいましょうか――を願っているところでございます。

◯曽根委員 やっぱりお話の結論は抽象的なんですよね。例えば、これがスタートしたころは、各区市町村の支援センターで相談がありますよね。その内容によって分類をして統計をとる、そういう報告がそれぞれのセンターでばらばらにつくられていたために、東京都なりそういう広い範囲でどういう相談が多いのか、そういうことを集約することができなかったということで、一時、報告制度を統一しようという話があったらしいんですが、それが今立ち消えになっていて、今は団体の方で一生懸命何かそういうマニュアルみたいなものをつくろうという話が出ているというふうにもお聞きしているんです。
 こういう例えば統一した報告の基準ぐらいは東京都が音頭をとって決めて、これから都民の福祉ニーズはどういうふうな動向で動いているのかということを把握する上でも大いに活用できる資料にすべきじゃないかと思うんですが、こういう点はいかがですか。

◯安達高齢福祉部長 介護支援センターに対する支援という意味では、区市町村を通じて行う場合と、それから直接私どもがいろいろな会合等で情報等の提供をするなどによる支援と、それから、介護支援センターの責任者あるいは職員で構成する連絡会のようなものが設置されておりますので、そういう場に私どもが出向いたりしていろいろな情報交換は積極的にやっているつもりでございます。
 同時にまた、介護支援センターのいろんな事例等の情報の提供もやっておりますけれども、我としましては、できれば本年度内には今お話がありました報告書の統一化だとか、あるいは設置マニュアルの作成だとか、こういったものを関係の皆様方と十分お話し合いをしながら、よりいいものをつくっていきたい、こういうつもり、思いではいる次第でございます。

◯曽根委員 先ほど、自治体がネットワークの中心に座らなければできないものとはいえないというふうなお話がありましたよね。確かに、現在民間の職員ですけれども、頑張って区の各職場の人たちと人脈をつくって、個人的にも親しくなって、こういうときにはだれだれさんにお願いすれば何とか話が通るとか、いろんな苦労をしながら切り開いているんですよ。しかし、私は行政の側の姿勢としてどうなのかという問題があると思うんです。
 こういう直接住民から相談が来るという出先のところにこそ、どういうサービスの充実がどれぐらい必要なのかということを、そこに公務員が体ごとどっぷりつかってそれでつかんでいく、それを施策に反映していくという、行政を担う公務員が、机の上の仕事だけじゃなくて、何十カ所もこれからつくっていく、そういう現場のところにどんどん出ていって仕事をしないと、これからの超高齢化社会といっても、住民福祉に本当に徹して働けるという人材は、私育ってこないと思うんですよ。人材が育ってこないところで血の通った行政サービス、福祉サービスはできないと思うんです。
 そういう点でも私は、今、中野などで検討されているように、福祉事務所の一つの出先機関というような形で行政が直接責任を持って窓口を開いていく。本当にどんなニーズにも対応できる。それを進めるためにもまず出先に出ていくという姿勢が必要だということを最後に指摘をしておきたいと思うんです。
 それから続いて特別養護老人ホームについて私も質問したいんですが、いろいろたくさん質問がありましたので、二点ほどに限定して行いたいと思います。  一つは、今年度の国の予算で特別養護老人ホームの費用徴収制度の改定について計画されているというふうにお聞きしましたが、その制度の内容について、改定の内容について説明してください。

◯安達高齢福祉部長 費用徴収制度の改定につきましては、国からの正式な通知はまだいただいておりませんが、平成六年三月二十八日付で事前に非公式の通知という形で通知を受けております。 この通知によりますれば、今回の改定は、平成六年四月一日以降の特別養護老人ホームの入所者本人分につきまして改定が行われるものでございます。
 その主なる内容は、一つは、特別養護老人ホームにおける嗜好品等の個人的な日常経費を十二万円というふうに抑えまして、それ以上の収入については費用徴収の対象とします。二番目が、基準の適用時期は平成六年七月である。三番目が、平成六年三月三十一日以前の入所者については現行の費用徴収基準を適用するというようなものであります。

◯曽根委員 今まで特別養護老人ホームと養護老人ホームについては、いわゆるお小遣いですよね、個人が自由に使えるお金月二万円というのが現在のレベルだったとも聞いていますが、これを、養護老人ホームはそのまま据え置きだが、特別養護老人ホームについては月一万円にする。それ以上超える収入を取っている人はそれはもう個人の負担の中に入れていくので、要するに召し上げるわけですよ。
 月一万円、一日に三百円程度というのはどういうものかということなんですけれども、これはちょっと古い話になりますけれども、一九五七年、四十年近く前になりますが、当時結核で入院していた朝日茂さんという方が、生活保護を受けている入院患者の一日の生活費、自由に使えるお金が一日十円しかない、十円程度しかないということで裁判を起こしましたよね。
 人間裁判といわれて、人間としてこれが憲法第二十五条の規定したレベルに達しているのかという問題が裁判にかかったわけですが、今日における一日三百円というのは、当時との物価の比較や賃金水準の比較からいって、私、同程度だと思うんです。もしくはそれ以下ですよ。この三百円というのを私は養護老人ホームと区別して、特別養護老人ホームは大半が寝たきりや痴呆だから人間らしい生活はまあ必要ないんだというような扱いにしていくという、それが今回の金額にもろにあらわれているという点で、私、国のこの制度改悪というのは絶対に許すわけにいかない問題だと思うんですが、この費用徴収の事務というものについては扱いはどういう性格になりますか。

◯安達高齢福祉部長 特別養護老人ホームの費用徴収事務の性格でございますが、固有事務というふうに理解しております。

◯曽根委員 そうしますと、この費用徴収の基準というのは国のいわゆる補助関係の国庫負担金ですね、これとの精算基準であるわけですから、事務というのが固有事務、つまりその特別養護老人ホームを設置している、今は区市町村が設置しますので、区市町村が固有に決めることになるというふうに考えてよろしいんでしょうか。

◯安達高齢福祉部長 結論からいえばそういうことになろうかと思いますけれども、費用徴収基準が精算基準であるということにつきましては、これは我々としては、老人保護措置費の国庫負担についての厚生事務次官通知の第二というのがあるんですけれども、そこの文言からして国庫負担を精算する際の算定基準としての性格であるというふうに理解しているわけでございます。したがって、このことと費用徴収事務の性格とを直ちに関連づけることができるかという面については、いろいろ議論があるところではないかというふうに考えております。

◯曽根委員 どうも歯切れの悪い答弁なんでもう一回聞きますが、今保育料というのは、これは国の基準はありますけれども、現在は区市町村段階での機関委任事務になっており、区市町村レベルで保育料が決定されるわけですけれども、それは国の基準とは別額で徴収をしているわけですよね。それと同じ内容の扱いになるということで、区市町村が個人からの徴収金については決定をする事務取扱ができるというふうに考えていいんですね。そこを確認しておきたい。

◯安達高齢福祉部長 費用徴収事務の中には、階層の認定事務と、具体的に費用を徴収する事務があるわけでございます。問題になるのは、階層を認定するための階層基準、いわゆる費用徴収基準が問題でございまして、費用徴収基準をそれぞれの自治体でつくれるのかというお話になりますと、これは精算基準ですから、その負担分を区市町村、自治体が出すつもりがあるのであれば、それはできると、こういう意味でございます。

◯曽根委員 わかりました。区市町村が決められるということがわかればいいんです。
 それで、それぞれのところでこうしたことを許すのかどうかというところで、各基礎的な自治体のところで決められていく問題だと思うんです。東京都ももちろんその中に入るわけですから……。
 それから、特別養護老人ホームの建設を進めていくという立場でいろんな方からご質問がありました。私もこの三年間、平成三年度から緊急五カ年計画の中で建設がふえてきているということは、先ほど資料もいただきました。ただ、その中でまだまだ問題が残されているというふうに感じているのは、一つは、例えば民間でいいますと、補助基準が先ほど四分の三というお話があった。公立については幾つかということをお聞きしたいのと、実際にそれが建てられている建設の総工費からいうとそういうふうにはなっていないんじゃないかと思うんですが、その基準と実際に建てられている特別養護老人ホーム、これは単独施設の場合がわかりやすいと思いますが、そこでの民間と公立の実際にかかっている費用との差はどの程度になっているのか、負担率は実際は何%になっているのか、そこのところを教えてください。

◯安達高齢福祉部長 まず、特別養護老人ホームの建設費の補助制度でございますけれども、国が四分の二、都道府県が四分の一、設置者が四分の一という負担になっております。東京都は国の平米当たりの単価にさらに上乗せをした形での三十万二千六百円というものを一平米当たりの単価にしているわけですけれども、民間についてはその四分の三を助成をしている、こういうことでございます。
 それから、公立、民間の実際の総費用額というお話であったかと思いますけれども、昨年、平成五年度に完成をした特別養護老人ホームの例でまいりますと、平成五年度の完成は十四カ所ありまして、そのうち公立が四カ所、民間が十カ所であります。
 ただ、特別養護老人ホームの場合には、高齢者在宅サービスセンターなどの併設されたものが多いわけでして、特別養護老人ホームの冷暖房工事込みの本体工事費を取り出した費用を、民間三施設、公立三施設をそれぞれ平均を見てみますと、総額に対する個室化加算を含む都補助基準の割合は、民間で七一%、公立で二〇%という実績でございます。
 その費用が国あるいは都の補助基準額よりも費用の方が多いじゃないか、上回っている原因は何かというお話でございます。
 一つは、グレードの差といいましょうか、建築物の質の差が一つあろうかと思います。もう一つは、建設規模の差があろうかというふうに思います。質の差を分析するのは大変困難でございますけれども、規模の差につきましては、一人当たり公立三施設については二十六・一一平米、民間三施設については四・三七平米の差が補助基準よりも上回っている、差があるという結果でございます。

◯曽根委員 まだ質問していないところまでお答えがあったんですけれども、実際に公立の場合は補助率が二〇%、民間は七一%で、四分の三にかなり近いんですが、公立の場合はかなりグレードを上げてつくっているものがありますよね、確かに。
 しかし、民間で七一%というふうになっているのは、一人当たりの面積、床面積を、東京都が三十・八三平方メートルですか、この基準を超えて三十四ないし三十五平米ぐらいを床面積にしてつくっている民間法人が多いということから、やっぱり一人当たりの面積の差が減って、どうしても補助率が基準よりは下がっている原因の一つになっているかと思うんです。
 私は、民間法人というのは、資金的には極めて厳しい状況の中で建設を進めているというふうに、実態はそうだろうと思うんですよ。それでもなおかつお年寄りの入所施設として考えた場合、最小限東京都の基準よりも四ないし五平方メートルぐらいは上乗せをしないと施設がつくれないというふうに考えるのには、私は道理があると思うんです。
 厳しい資金で自己負担もかなり出る中でもそれだけの広さは確保したいというこの基準というのは、グレードの問題で解消できない必要最小限の広さというのがそこにおのずとあらわれているんじゃないかと思うんですが、この程度の基準面積の拡張、拡充は、私は東京都でも考えていいんじゃないか。確かに国には上乗せしていますけれども、これぐらいの拡充はできるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

◯安達高齢福祉部長 特別養護老人ホームの建設費補助基準面積でございますが、入所者の処遇の向上を図るため適宜拡大されてきているわけです。昭和五十六年度以降一人当たり面積二十六・三平米であったものが、平成四年度に、食堂だとかあるいはデイルームの規模改善を図る上から、今お話のありました三十・八三平米に拡大されて今日に至っているわけでございます。
 これは共通スペースも含めた施設全体の一人当たりの三十・八三平米でございまして、居室部分はどうなのかというと、四人部屋以下の場合には八・二五平米が基準になるわけでございます。どれくらいの規模が最もふさわしい居室基準であるかということについては、いろいろ難しい議論もありますし、きちんとした、これがそうだという決定版もあるわけではないんですけれども、いずれにしましても、国に対して今までもいろんな角度からの、面積を広げるというだけじゃなくて、居住条件の改善ということでいろんな要望をしてまいっておりますけれども、国に対して今後ともその要望を続けてまいりたい、こんなふうに考えております。

◯曽根委員 国の基準も引き上げていかなければならないということは当然だと思うんですが、東京都の独自の上乗せがもし実態を本当に反映させようとするならば、私はこの程度の拡張は当然だというふうに思うんです。
 それからもう一つ、最近のケースの特徴として、民間の福祉法人が建てる特別養護老人ホームと公立の建てるホームが地域的にはかなり偏ってきているんじゃないかというふうに思えるんですが、平成五年度に新規着工した特別養護老人ホームで、公立と法人立に分けて、それぞれ区部でどれぐらいつくっていて、市町村の方ではどれぐらいつくっているのか、それを振り分けてみてどういう数になるでしょうか。

◯安達高齢福祉部長 平成五年度着工の特別養護老人ホームについては全体で十八カ所、千三百三人でございます。そのうち、区部は九カ所、六百三十三人であり、市町村部は九カ所の六百七十人でございます。区部の内訳でございますが、公立が七カ所、五百三十三人、法人立が二カ所、百人、市町村部は公立はございませんで、法人立が九カ所、六百七十人でございます。

◯曽根委員 そうすると、公立は七カ所、全部区部で建てられている。法人立は十一カ所のうち区部は二カ所で、大半の九カ所が市町村部で建てられているというのが特徴になっているんですね。
 私はここには、例えば一つは、民間社会福祉法人の財政状況というのが、区部で、土地の負担金が四分の一ありますから、なかなか高いところで用地を取得できない。そのためにどうしても市町村の方に建てざるを得ない。一方で、市町村の方の財政状況から公立がなかなか建たないということで、公立は主に区部で建つという特徴があるというふうに思いますが、私、そういう中で社会福祉法人、やはり特別養護老人ホームはまだまだ不足しているわけですから、昨年度の実績を見ても半分は社会福祉法人が頑張って建てているわけで、もっともっと頑張ってもらわなければならないと思うんです。そういう点から、自己資金をどうやって調達していくのかという大きなネックを抱えているんじゃないかと思うんです。
 こういうところで建てている場合、なかなか社会福祉法人自前の資金というのは難しいと思うんですが、どういう形でその残り四分の一の自己負担分――まあ実際にはそれ以上かかっているわけですが、それは調達をしているのか、そういう傾向はどういうところにあるのか、教えていただきたいと思います。

◯安達高齢福祉部長 法人の自己負担分につきましては、法人の関係者からの寄附による自己資金、それから社会福祉医療事業団からの借り入れ、あるいは地元自治体からの助成、それから施設建設費以外の区市からの建設費等の助成により資金調達を図っているのが一般的でございます。

◯曽根委員 私が聞くところでは、最近特に多いのは、二十三区でなかなか建設が間に合わないので、多摩の方に建てる民間のホームにベッドを確保する。
 先ほどちょっとお話がありましたが、確かに隣の市ぐらいのところに自分のところの方を入所させるベッドを確保するのは、割と近いからいいんでしょうけれども、二十三区の方から多摩の西部の方の民間の法人に、建設費を補助するという形でベッドを確保して、そこに区民を送り込むという形が、今非常にふえているというふうに聞いているんです。
 そうしますと、私たちは身近なところに特別養護老人ホームができて、その地域の方が近くのところに入所することによって、家族も安心していつでも訪問ができるというのが、特別養護老人ホームのこれからの方向として目指すべきだと思うんですが、やむを得ず遠いところにつくってしまう。
 区部で入ろうと思ったら、先ほどありましたが、二十世紀は難しいというようなお話になりますと、三多摩の方ならあいていますといわれればやむなくそっちにお願いしますということで、入られる方もいるんじゃないかという点でいうと、身近なところに特養という点でいうと、非常にこれは残念な傾向だというふうに思えてならないんですよ。
 そういう点から私は、やはり区部でも市町村でも安心して民間の福祉法人が建てられるようにしていくために、残り四分の一の社会福祉法人の負担分について公的に負担する道を切り開かなければ、なかなかこれから民間の特養建設というのは難しいんじゃないか。地元の自治体が出せれば一番いいんでしょうが、東京都が半分出すからそれぞれの市町村で出すというような制度を東京都としても提起して、そういう制度を切り開いていくということを考えなければならないところに来ていると思うんですけれども、そういう点ではいかがでしょうか。

◯安達高齢福祉部長 いろいろな助成の方法はあろうかというふうに思っておりますけれども、東京都としては、現時点でも土地の取得に対する助成措置だとか、あるいは建設費の単価を大幅に上乗せしているとか、いろんな施策で一生懸命設置促進について努力しているわけでございます。
 そういった中でどういったようなことができるかというのは検討しなければならないと思うんですけれども、一番大事なことは、やはり必要とする地元の区市町村がみずから財政援助をして施設をみずからの行政区域につくっていく、このことが一番大事でありまして、私どももそういった方向にいくように区市町村と十分連携をとっていきたい、こんなふうに考えております。

◯曽根委員 こういう点で民間の法人も含めて、公立も当然必要なんですが、緊急五カ年計画、さらにこれからふえていくわけで、年度ごとの建設目標が。そういう点での財政的な支援を惜しまずやるという点で、局長の決意を聞きたいと思います。

◯中嶋福祉局長 これまで再々お答えしてまいりましたが、これまでも私ども国基準を上回る建設費助成を行うということと同時に、平成三年度から緊急整備五カ年計画による特別助成の補助率や補助基本額の引き上げなど、独自の設置促進策の充実に努めてまいったわけでございます。
 このただいま行っている私どもの補助水準というものは、全国でトップレベルのかなりのものだというふうに思っておりますが、なお、ご指摘ありましたように、民間法人、さまざまな課題があると思います。法人のお話なども十分聞きながら、都として何をなすべきか、その対応策を検討してまいりたいと思います。

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