トップページへ  はじめ通信目次へ   

はじめ通信9−1127
さがら区議が明らかにした北区福祉行政のヤミの部分

●昨日11月26日、北区議会の定例会が開会し、各党代表質問のトップを切って、さがらとし子区議が、深刻な不況に加え、来年度の税収不足が迫っている中で、北区政があまりにルーズで冷たい行政に甘んじている実態を、下記の様な内容で北区長に質しました。

●とりわけ11月5日の緊急申入れでも取り上げた、「無料低額宿泊所」というチェックなしで造れる福祉施設を舞台に、生活保護やホームレス状態の弱者を食い物にしている”貧困ビジネス”の北区での実態をえぐる質問で、なぜ北区がこれらの悪徳事業者の温床になってきたかが、浮き彫りになりました。

●さがらとし子区議が、施設に入っている本人が『区から生活保護費を受け取った覚えが無い』と証言していることを紹介し、再質問で「区は保護費を本人に渡していなかったのが事実なら、いつから、どの施設に対して行ってきたのか。誤りをただし、直接本人に渡すべきではないか」と質したのに対し、福祉部長は「2000年頃、制度発足当初から今北区にある4箇所、170人あまりの全てについて施設側に一括払いして来た。今後は本人に直接渡したい」と答弁しました。

●東十条にある「やすらぎの郷」という施設に入っていて、生活保護費の9割近くをピンはねされていた20代の青年が、赤旗新聞記者に告発したことがきっかけで、施設が不当に奪ってきた食費分を取り返してそこを脱け出し、今新たなアパート生活を送っています。
 収入も住宅も失い最も厳しい貧困に苦しむ人たちを狙って、まともな食事を与えず気力も体力も奪って何年も収容し、保護費のピンはねを続けるという悪質な貧困ビジネスを、うすうす知っていながら、そこに新しい生活保護者を紹介し続け、憲法25条の「最低限の健康で文化的な生活を送る権利」を保障するために支給されるべき貴重な税金を、彼らのもうけの種にするのを放置してきた北区の福祉行政は、きわめて重大な責任があるといわねばなりません。

●ところで、傍聴席から見ていると、こうした事実を明らかにしている質問の最中も、与党席には”舟をこいでいる”議員もいましたが、いちばんひどいのは、民主党のベテラン議員が、机に資料も全く出さず、最初からずっとうつむきっぱなしで身じろぎさえしなかった姿です。以前は私も同僚の区議だったので、若い頃はあれほどではなかったのにと、本当に情けなく感じました。 

●以下に、さがら区議の本質問の大要を紹介します。

2009年第4定例会日本共産党代表質問  さがらとしこ

 みなさん、おはようございます。日本共産党のさがらとしこです。
 私は、日本共産党北区議団を代表して、東京北社会保険病院の課題、区庁舎改築の問題点、新インフルエンザ対策、無料低額宿泊所の問題や保育環境の整備など、大きく7つの質問を行います。
 国民の大きな期待の中、新政権による初めての臨時国会が開会中ですが、数にまかせた国会運営、重要法案の取扱いをめぐり、十分な審議がすすめられないまま、会期延長の手続きに入ろうとしています。総選挙公約だった、米軍普天間基地問題の公約破りは誰の目にも明らかであり、後期高齢医療制度の廃止が先送りされれば、新年度からの保険料大幅値上げによる影響は重大です。
 新年度予算編成の時期を迎え、国と東京都の動きが北区の財政に及ぼす影響などを見据えながら、区内各界の方々との懇談や独自の調査をもとに、11月24日、日本共産党の新年度予算要望書を区長に提出しました。切実なくらしの願いを実現させるため、全力で取り組む決意です。

●新たな展開をむかえた、東京北社会保険病院の公的存続と拡充について

 最初の質問は、地域医療を守ろうという粘り強い遅動によって、新たな展開をむかえた、東京北社会保険病院の公的存続と拡充についてです。
 ご存知のように、社会保険病院や厚生年金病院などは、地域医療の中核的な病院であり、公的な医療関として、救急医療や小児医療を担うとともに、難病や・リハビリなどの専門医療においても重要な役割をになってきました。
 とりわけ北社保病院は産科のある区内唯一の病院として、年間900人もの出産をささえるとともに24時間小児救急、災害拠点病院、地域の医療連携などの重要な役割を果たしています。

 ところが、北社保病院を含むこれらの病院は、昨年10月、自民・公明前政権のもと、独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構、RFOに出資され、病院施設の譲渡や売却のための作業がすすめ
られ、病院の存続が危ぶまれました。

 このような事態に直面して、北区議会ではいち早く「公的病院としての存続を、地域医療を守れ」の意見書を全会一致で政府に送付し、区民は自治会・町会として政府に署名を提出し、さらに地元民や患者を中心とした「東京北社会保険病院の拡充をもとめ、地域医療をよくする会」は、署名や厚生労働省への要請活動を現在も継続させ、全国各地の運動とも連帯するなど、たたかいは大きく広がっています。

 こうした情勢の中で誕生した新政権は、北社会保険病院などの施設の譲渡・売却方針を転換し、臨時国会に「独立行政法人地域医療機能推進機構法案」を提出して、「社会保険病院等を存続させ、また地域医療に貢献しつつ安定的な運営を図る」という方針を明らかにしました。

 たたかいによって、病院の公的存続への新たな展望が切り開かれましたが、北区としてこの方針を法的にも確実なものにしてゆくために、さらに、北社保病院の100ベッド増床、周産期医療の中核的病院機能の拡充を求めて、新たな決意で新政府と厚生労働省に積極的に働きかけてゆくことを求めます。お答えください。

●なぜ急いで区庁舎改築を行なおうとするのか

 大きく2点目は、区庁舎の改築問題です。史上最悪といわれる経済状況のもとで、北区はなぜ急いで、庁舎改築を行なおうとしているのでしょうか。
 
 今後の庁舎のあり方については、区議会がそのための特別委員会を設置したように、50年から70年におよぶ一大プロジェクトであり、庁舎を移転することになれば、議会では3分の2の賛成が必要となる重要事項です。ところがこの間の経過を見ると、区民意見をないがしろにして移転・改築という結論を急ぐ区の姿勢には、目に余るものがあります。

 昨年北区は、議会に対して庁舎の耐震診断結果を報告しました。その時、区は今後の庁舎のあり方としてA案、B案、C案、D案の4つの案を並べ、議会や区民の意見を十分聴取することもしないでいきなりD案つまり、「移転・改築」案のみに丸印をつけ、その結論を議会に押しつけるやり方をとったことが問題になりました。そのため、議会としての慎重審議の必要性から、今年度、特別委員会を設置し、7月にその審議がはじまったばかりです。

 にもかかわらず、11月2日に開催された第5回目の特別委員会には、「今後、庁舎のあり方については、D案による改築を基本的な方向として、必要な対策・検討をおこなってゆくものとする」という基本方針(案)が示され、10日後の11月13日には「庁舎のあり方について、基本方針案の改築という方向性を了承する」という、委員長のとりまとめがおこなわれました。

 これに対して日本共産党北区議員団は、3つの問題点、1つは、議会と区民に対して説明責任を果たしていないこと、2つに、「結論先にありき」という拙速な審議のあり方の問題、3つに、耐震性問題があるとしながら、緊急の耐震補強工事を「二重投資だ」として先延ばす、人命軽視の姿勢を指摘して、北区の基本方針(案)に反対の立場を表明しました。また、月本共産党は、委員長の「とりまとめ案」の取扱いについては、挙手による態度表明をすべきとの動議をだしましたが、委員会はこれを否決して改築の方向性を決定しました。

 昨年来の経済危機が一層深刻化し、区の財政も先の見通しが立たない情勢です。建物だけで150億円、新たな土地購入となれば、さらに多額の税金を必要とする庁舎の移転・改築計画を、区民への説明も合意も得ないまますすめることは、認められません。板橋区では、今後の財源不足が見込まれることから、区役所南庁舎の改築を中断すると発表しています。

 区長におたずねします。史上最悪という経済状況のもと、日本共産党が主張する緊急耐震補強工事については「二重投資」だといって先延ばしする一方で、なぜ急いで庁舎改築をしなければならないのでしょうか。区民が理解できるよう、明確にお答えください。

●緊急要請の1新型インフルエンザ対策について

 つぎに、11月5日、区長に「緊急要請」をしました課題について、大きく4つの質問をします。
 1つ目は、新型インフルエンザ対策についてです。

 保育園や学校などでの感染が拡大しており、冬を迎えるこれからの時期、区民の心配と不安はさらに強まっています。WH○が発表した世界各国の感染状況で、日本は8歳以下の子どもたちの重症
化による入院が多いことが特徴であると報告され、子どもたちへは前倒しで予防接種が行なわれるこになりました。
 また中央区では医師会による集団接種が開始されました。
 北区では、すでに予防接種の費用助成や、医師会と連携した「臨時平日夜間外来」の解説を実施す
るなど、医療現場での献身的な対応が続けられていますが、子どもたちへのきめ細かな対応をふくめ、以下3点について質問します。

1.医師会との連携をはかり、必要な体制確保のためのさらなる財政支援を行うこと。

2.高齢者の肺炎の8割は、肺炎球菌感染によるものですが、重症化や入院という事態を防ぐために、65歳以上の高齢者の方に対しては、肺炎球菌ワクチンの接種にも補助を行うこと。

3.保健師をはじめとした保健所などでの相談体制を強化すること。

 以上、予防接種についてお答えください。

●緊急要請の2、社会問題化している「無料低額宿泊所」問題について

 緊急要請の2つ目は、自立を保障する真のセーフティネットについてです。社会問題化している「無料低額宿泊所」の問題を中心に質問します。
 無料低額宿泊所は、区内にも4カ所あります。大きな社会問題になったきっかけは、ことし5月、千葉市内の宿泊所に入居していた61歳の男性が、知らぬ間に銀行口座をつくられ、振り込まれた生活保護費の大半を「入居費」として不当に天引きされていたとして、天引き分270万円の返還を施設側に申し入れたことが大きく報道されたことからです。

 そもそも「無料低額宿泊所」とは路上生活者など生活困窮者に宿泊施設を提供するもので、社会福祉法が定める「第2種社会福祉事業」のひとつですが、運営基準は明確でなく、「厳格な規制があるほかの福祉施設に比べ異色な存在だ」と指摘されています。

 補助金などの公的支援がない代わり、設置も簡単で、個人でも、NPOでも、任意団体でも、知事に届出を出すだけ開設でき、政令市なら市長への届出すればいいので、最近はビジネスとして、福祉関係以外の建設や不動産業界などの参入が目立ってきています。
 各自治体は運営基準や入居資格についてガイドラインを設けていますが、罰則がないため強制力を伴った指導には限界があります。そのため、千葉県、埼玉県など、施設を所管する都道府県のうち、約6割にあたる自治体が国に対して、開設を許可制に切り替えることや、施設基準の一元化などの法的整備を求めています。こうしたことから政府もようやく実態調査を実施し、無料低額宿泊所の制度を見直す作業をすすめています。

 北区内では4箇所の無料低額宿泊所に170人余の入居者がいますが、そのすべてが生活保護受給者となっています。
 私たち区議会議員の所には、いきなり仕事と住宅を失った労働者や、無料低額宿泊所入居者からの相談もよせられ、その方々の体験を聞くことができました。
 70代の男性が住んでいた、無料低額宿泊所は、いつも80人ぐらいの人が居住し、1、2階はユニットバスとトイレが付いた6畳一間の部屋が並んでいて、間仕切りのない部屋に2人づつ入居していました。
 部屋には、小さいテレビと冷蔵庫、洋服かけ、古いエアコンが付いていますが、布団を2枚敷くといっぱいという状態で何年間も暮らしてきたこと。
 食費は一ケ月で4万5千円もとられているのに、ご飯は輸入米でボロポロ、朝の納豆は小さい豆で固かったりで、貧しい食事だったこと。
 食堂として使われている地下室にはかつては奥には3段ベッドが3つぐらい置いてあって、そこにも人が寝起きしていたこと。手荷物の置き場もなく、窓も無い部屋はカーテンでしきってあるだけで「本当に、かわいそうだった」と話していました。

 毎月、2月の日に、生活保護費から家賃や食費などを引いた残りだと言われて、施設の人から2万1千円が入った封筒を貰っていましたが、区役所の窓口で生活保謹費を受け取ったことはなく、印鑑は、この宿泊所に入るときに渡したままであったこと。外に出て自立するための準備もできず、「一時的なつもりだったが、ここで死ぬだけだと思った」と言います。現在はここを出て、生活保護を受けながら民間アパートで暮らせるようになり、「やっと気持ちが楽になりました」と話しています。

 仕事上の事故がきっかけとなって解雇と同時に会社の寮を追い出され、宿泊所での生活を続けていた20代の若者も、50代の現役世代の男性も、「普通のアパートで生活できるようになって、よかった。やっと安心して眠ることができます。早く仕事を見つけて働きたい」と、共通した言葉がかえってきました。
 このように職と住まいを奪われた人びとにとって、自立した生活に踏み出すにほ、まず人間らしい生活を取り戻すことが不可欠であり、それには、まともな住宅の確保がなによりも必要であるということを、私はあらためて実感しました。

 現代の貧困を象徴する、ワーキングプア、ネットカフェ難民、派遣村、そして、筆困のゆえに居住の権利を奪われた「ハウジングプア」は、人間をもののように扱い、使い捨てる、新自由主義、「構造改革」路線のもとで産み出されています。無料低額宿泊所が初めて開設されたのは、今から10年前の平成12年(2000年)のことですが、それは、公的住宅の建設を怠ってきた国と東京都などの貧困な住宅政策も重なり合っています。
 同じこの年、政府と東京都は増加する一方の路上生活者に対応するため、「ホームレス対策」を打ち出していますが、仕事も住まいも失って、困ったときに安心して住める住宅がない」という実態は、若者や現役世代にとっても、高齢者にとっても、過酷な現実です。

 したがって、行き場のない人びとの受け入れ先として、また自治体としても無料低額宿泊所に依存せざるをえないという構図がつくられ、「貧困ビジネス」や温床となってきたのではないでしょうか。
 人間らしい生活を保障する、最後のセーフティネットである生活保護費が「貧困ビジネス」の温床とされているような実態を、このままにしておくことは許されません。自立を保障できる、真のセーフティネットの確立が必要です。

 そこで、無料低額宿泊所にかかわり、以下4点の質問をします。

1.あらためて、北区における「無料低額宿泊所」の実態調査を行い、北区の姿勢を正すこと。あわせて、国、東京都に強く働きかけ、その是正、改善をすすめることを求めます。

2.新たな無料低額宿泊所の進出に対して、板橋区では「周辺住民の合意」に基づくことなどを求めたガイドライン、「指導要綱」をつくっています。北区としても、このような「指導要綱」の整備を求めるものです。

3.仕事と住宅を奪われた労働者の自立を支援し、保障するためには、公的年宅への斡旋など、人間らしい生活ができる、まともな住宅情報こそが必要となっています。ハウジングプアをつくらないために、国、東京都とともに、公的住宅の建設をすすめることや、空き家の借り上げで低額な住宅を提供することなど、住宅政策の強力な推進を求めるものでです。

4.年末を控え、昨年にも増して厳しい雇用実態からみれば、抜本的で早急な対策が求められます。
 すでに、ハローワークにしても、生活福祉課の現場においても、日々の対応に追われ、職員の負担も、重くなっているのが実態ではありますが、人的確保も行いながら、ワンストップ相談窓口の開設などの緊急対策を求めるものです。以上、無料低額宿泊所問題と年末の相談窓口に関する4点の質問について、前向きな答弁を求めます。お答えください。


●緊急要請の3、「公契約条例」の制定について

 緊急要請の3つ目は、千葉県野田市が全国で初めて制定した「公契約条例」を北区としても制定することを求めて質問します。
 「公契約条例」は、公が発注する公共工事や委託業務につく労働者の貸金水準を確保するためのも
ので、区内の建設職人の方々からも繰り返し条例化がもとめられてきました。

 北区では、指定管理者や区が発注する委託業務に関して、これまでにもさまざまな問題が起きまし
た。
 当面している問題は、駐輪移送業務を委託していた(株)東宝クリーンサービスによる従業員の給与未払い問題が、いまだに解決されていない問題が明らかになるなど、北区にとっても公契約条例の
制定が急がれます。詳細については、明日の本田正則議員の個人質問で取り上げます。

 野田市の場合には、北区でも見られた、庁舎の清掃業務委託が低入札価格で行われ、それが賃下げや人減らしなど、働く人たちにしわ寄せとなって、「官製ワーキングプア」を生み出していることが問題となり、働くルールづくりを求める世論が高まり、先の第3定例会では全会一致で制定されました。

 野田市はこの条例の冒頭で、「地方公共団体の入札は、一般競争入札の拡大や総合評価方式の採用などの改革がすすめられてきたが、一方で低入札価格の、問題によって下請の事業者や業務に従事する労働者にしわ寄せがされ、労働者の賃金の低下を招く状況になってきている。それは、「ひとつの自治体で解決できるものではなく、国が公契約に関する法律の整備の重要性を認識し、速やかに必要な措置を講ずることが不可欠である」と述べています。

 しかも「このような状況をただ見過ごすことなく先導的にこの問題に取り組んでいくことで、地方公共団体の締結する契約が豊かで安心して暮らすことのできる地域社会の実現に寄与することができるよう貢献したいと思う。」と、その決意を内外に強く発信しています。

 この条例ができたことによっで、市長が定める最低額以上の貸金を支払わなければなりません。
 その最低額は農水省や国交省が公共事業の積算に用いる労務単価や、市職員の給与条例を勘案して決めるとしています。また、労働者からの申告があれば、市が調査し、是正を命令でき、違反を是正しない場合には契約を解除し事業者名を公表するとしています。当面は、予定価格11億円以上の公共事業と、1千万円以上の業務委託契約で市長が定めるものに限定されていますから、規模の小さい工事や、どこで仕事をしても適用されるよう、一刻も早い国の法律制定が求められます。

 函館、国分寺、尼崎などの市でも条例制定にむけた動きが強まっていますが、北区としても、適正な賃金の確保、下請保護、地元企業育成、談合防止などを盛り込んだ「公契約条例」を早急に制定することを求めます。積極的な答弁を求めます。

●緊急要請の4、保育環境の整備について

 緊急要請の4点めは、保育環境の整備についてです。
 現在開会中の臨時国会、参議院予算委員会では日本共産党の小池晃参議院議員が、全国共通に国が
定めてきた保育所面積の最低基準を、東京など待機児の多い都市部では一時的に下回ることも認める
とした方針は撤回するよう政府に迫りました。

 現行の面積基準は1948年、終戦から3年後に制定して以来、60年間も改善されておらず、子どもたちはいまも、隙間なく布団を敷き詰めてお昼寝しているのです。国会質問で、小池晃議員が示した、寝返りも打てないような保育所のお昼寝風景写真に、閣僚や委員がいっせいに見入る姿が印象的でしたが、北区の保育園を調査した結果では、そのお昼寝風景はまったく同じでした。
 布団を敷きながら、「今日は3人もお休みの子がいると言うのに、びっしりで余裕がないんです」と、ベテランの保育士さんはため息をついていました。これが、東京の保育現場の状態です。だからこそ長妻厚労大臣が、国会答弁で読み上げた今年3月の委託研究報告書でも、「現行の最低基準以上のものとなるよう取り組みをすすめることか重要である」とされていたのではないのでしょうか。

 0歳児1人当たりの保育面積基準の国際比較では、日本が乳児室1.65uに対し、スエーデンのストックホルムは釣4倍の7・5uです。新政権が、「地方分権」の名で、子どもにかかわるナショナルミニマム、全国一律最低基準を壊し、「待機児解消」を理由に、子どもたちにさらなる犠牲を押しつけることなど許されないではありませんか。

 北区長には、こうした政府の動きに対して真正面から異議を唱え、待機児の解消のためには保育所の増設が必要であり、最低基準は常に向上させることこそというこ保育環境改善の先頭に立っていただくことを求め、以下、3点質問します。

1.国に、保育基準の規制緩和路線の撤回を求めるとともに、北区としては保育基準の緩和は行わないこと。

2.緊急要請した施設改善についてですが、王子北保育園の赤水対策、浮間東保育園の排煙窓ノズルの破損、桐ヶ丘保育園の落下物防止対策、各園に共通する湯沸かし器のガス漏れ、給食室の大型食器洗浄機や保温庫の老朽化問題など、その後どのように対応されたでしょうか。

 またトイレでは、タイルの床を水で洗い流すために、臭いが強く残り、指定管理者となった社会福祉法人側が自前で設備改善を行っていたこともわかりました。臭いのこもらない乾式トイレへの切換えや、東十条保育園や桐ヶ丘保育園ですでに導入されている、1、2歳児童の床暖房設備の要望も切実です。
 各園から、毎年度ごとに施設改善要望なども提出されていると思いますが、すべての保育園で施設総点検を実施し、設備改善をすすめることを求めます。

3.私立保育園園長会から、北区の保育水準を高め、安定した保育を提供してゆくためには、コア人材となるベテラン保育士の育成確保や、質の高い保育を実践するため、民間福祉施設サービス推進費の引き上げを東京都に求めるとともに、産休明け保育、延長保育、特例保育などの区単独補助の継続を求める要望が出されています。私立保育園と指定管理保育園の処遇改善をすすめ、若い保育士が希望をもって働くことのできる環境を整え、人材確保がはかられるよう、区長の積極的な答弁を求めます。

●平和事業の推進について

 最後の質問は、平和事業の推進についてです。2009年は、5月に行われたオバマ大統領のプラハ演説をきっかけに、核兵器廃絶を求める国際世論が大きく広がりました。
 11月9日、北区議会・憲法9条を守る会は、長野市の平和事業を視察・調査しましたが、この中でことし8月に長崎市で開催された「第7回平和市長会議」のことがが話題になりました。
 長野市の話では、主催都市のひとつである長崎市長から、同会議への参加と賛同を求める「ご案内」が長野に届けられたということでした。長野市長は、会議そのものには出席できなかったそうですが、その趣旨に賛同する返事を出されたと伺いました。
 その後、この平和市長会議の事務局をつとめた長崎市に問い合わせたところ、この会議への参加よ
びかけは、国内でいえば東京23区の区長を含めて、全国すべての市長に発送されたとのことでした
。「非核都市宣言を行っている自治体には『非核自治体連合』から、そのほかの自治体には、広島市
・長崎市がそれぞれ手分けをして、北区には、広島市からご案内させていただきました」と、ていね
な返事をいただきました。

 平和市長会議は、広島市と長崎市における、原子爆弾による悲劇が2度と繰り返されてはならない
と、核兵器のない平和な世界をめざして1982年(昭和57年)に設立され、今年11月現在で世界134カ国と地域から、3241都市が加盟しています。ことしは新たに、都内では新宿区と8市が加盟したとのことです。平和市長会議は、いま、2010年の「NPT再検討会議」での核兵器廃絶に向けた明確な合意形成と、2020年までの核兵器廃絶に向けた国際世論の喚起のため、「ヒロシマ・ナガサキ議定書」に賛同する都市アピールへの首長署名をよびかけています。

 そこで、平和事業の推進を求める1つ目の質問です。
 第7回平和市長会議の案内は、北区にも届けられていたのでしょうか。また、どのような返事を出されたのでしょうか。今後、この平和市長会議のすすめている、「ヒロシマ・ナガサキ議定書」に賛同する署名活動に協力することなど、広島市や長崎市などと連携した平和事業の推進を求めるものですが、積極的にお答えください。
 平和事業に関する2点目の質問は、来年4月に開設される(仮称)赤羽自衛隊跡地公園についてで
す。
 新しい公園として、東京外大跡地の防災公園とともに、現在新しい名称の選考がおこなわれていますが、この2つの土地は、国有地売却方針を受け、「北区基本計画2000」の中で、「国有地利用計画」として位置付けられてからおよそ10年を経て、いよいよ区民利用開始への新しい歴史を刻むことになります。

 とりわけ、陸上自衛隊十条駐屯地赤羽地区の跡地(当時約5万7944u)に新たな公園が開設されることによって、すでに赤羽自然観察公園として整備された約6万3千uと合わせ、赤羽地区の全面区民開放実現となります。
 「軍都北区から平和都市北区」の歴史を語るうえでも、この土地に刻まれた戦前戦後の歴史を次世代にしっかりと引き継いでゆくことは、大事な平和事業と位置づけることができるのではないでしょうか。
 新たな憩いの場として、スポーツの拠点として、永く区民に愛され、みどり豊かに平和を象徴する公園として成長してゆくことを願って、区長の積極的な決意を求め、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

トップページへ  はじめ通信目次へ