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はじめ通信9-1028
社会保険病院の受け皿法案の要綱を入手

●26日から臨時国会が開会され、民主党政権の最初の国会での予算案や法案の動向が注目されていますが、補正予算の大幅見直しとともに、11本の法案が準備されているようです。
 そのうち厚生労働省からは二本。新型インフルエンザ対策とともに、予定されている「地域医療機能推進機構法案」について、先日発表された法案要綱を紹介します。

●まだ極めて概括的な要綱の段階ですが、前回レポートしたように、二年近くをかけて新たな「機構」を立ち上げ、社保病院や厚生年金病院を直営にしていく点では、明らかにこれまでの「構造改革」路線による「官から民へ」の流れとは一線を画し、医療など必要な機能や施設は、公に戻していく方向が具体化されています。
 郵政民営化の見直しとあわせて、民主党政権が、国民の切実な課題については、あえてこれまでの「改革」路線を転換せざるを得なくなりつつある点でも注目されます。

独立行政法人地域地域医療機能推進機構法案要綱

第一 総則

 一 名称

   独立行政法人地域医療機能推進機構とすること。

 二 機構の目的

   独立行政法人地域医療機能推進機構(以下「機構」という。)は、独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構法第三条に規定する年金福祉施設等である病院、介護老人保健施設等の施設の設置及び運営等の業務を行うことにより、地域において必要とされる医療等を提供する機能の確保を図り、もって公衆衛生の向上及び増進に寄与することを目的とすること。

 三 資本金

   機構の資本金について所要の規定を設けるものとすること。

第二 役員及び職員

 一 役員

  機構に、役員として、その長である理事長及び監事二人を置くとともに、副理事長一人、理事五人以内及び非常勤の理事八人以内を置くことができるものとすること。

 二 その他

   役員の職務及び権限、役員の任期、役員の欠格条項の特例その他所要の規定を設けるものとすること。

第三 業務等

 一 業務の範囲

  1 機構は、第一の二の目的を達成するため、次の業務を行うものとすること。

  (1)病院の設置及び運営を行うこと。

  (2)介護老人保健施設の設置及び運営を行うこと。

  (3)看護師養成施設の設置及び運営を行うこと。

  (4)(1)から(3)までに掲げる業務に附帯する業務を行うこと。

  2 機構は、1に規定する業務のほか、当該業務の遂行に支障のない範囲内で、介護保険法に規定する事業に係る業務の一部を行うことができるものとすること。

二 施設別財務書類

  機構は、毎事業年度、一の(1)から(3)までに掲げる業務を行うために設置する施設ごとに、その財務に関する書類を作成しなければならないものとすること。

三 積立金の処分

  機構の積立金の処分について所要の規定を設けるものとすること。

四 長期借入金及び債券

  機構は、施設の設置等に必要な費用に充てるため、長期借入金をし、又は債券を発行することができることとし、そのための所要の規定を設けるものとすること。

第四 雑則

 一 緊急の必要がある場合の厚生労働大臣の要求

   厚生労働大臣は、災害が発生し、若しくはまさに発生しようとしている事態又は公衆衛生上重大な危害が生じ、若しくは生じるおそれがある緊急の事態に対処するため必要があると認めるときは、機構に対し、第三の一に規定する業務に関し必要な措置の案施を求めることができるものとすること。

 二 その他

   医療法その他の法令について機構を国とみなして準用することその他所要の規定を設けるものとすること。

第五 罰則

   罰則について、所要の規定を設けるものとすること。

第六 附則

 一 この法律は、平成二十三年四月一日から施行するものとし、一部を交付の日から施行するものとすること。

 二 機構は、この法律の施行のときに成立するものとすること。その際、現に独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構が有する権利及び義務は、一部を除き機構が承継するものとし、機構が承継する資産の価額から負債の金額を差し引いた額は、政府から機構に対し出資されたものとすること。

 三 機構は、平成二十五年三月三十一日までの間は、施設の運営を委託することができるものとすること。

 四 政府は、機構の成立の日から五年を目途として、機構の経営状況、地域における医療の提供体制の確保の状況等を勘案し、国民が安心して地域で医療を受けられる体制の確立に資するとともに機構の業務運営の効率化及び経営基盤の安定化を図る観点から、機構の役割及び在り方について検討を加えるものとすること。

 五 独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構について、その存続期限を六か月延長するとともに、船員保険法の施設の運営又は管理の業務を特例として行うこととすること。

 六 その他この法律の施行に関し必要な経過措置を定めるとともに、関係法律について所要の改正を行うものとすること。

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