はじめ通信8−8−15 8・8北区革新懇話会 都政報告メモ 来年春で10年となる石原都政の特徴と、それと闘う日本共産党都議団の取り組みについて、3つの柱にそってお話したいと思います。 (1)都民のくらしにとっての石原都政 ◆都民のくらしから見てマイナスばかりだった石原都政ですが、昨年春以来プラス方向への打開のチャンスが現われ、これを押し広げることに全力あげています。 ◆プラス方向には二つの底流があり、第1は、石原知事が追いつめられて知事選などで公約した福祉やくらしの政策です。 *子ども医療費無料化、ネットカフェ難民など低所得者対策、小中学校耐震化補助・・・いずれも今だにやる気を示さなかったり、公約すり替えもありました。 *その中で、大気汚染と地球温暖化対策は見るべき前進がありました。とりわけ、ぜん息患者への医療費助成18歳の制限撤廃は、公害患者の激しい闘争でかちとったものです。 *地球温暖化対策は、都市再生と高速道路促進の免罪符という狙いはあるが、遅れている政府を一歩リードしたことは事実。 いずれも曽根が2003年予算委員会で知事と激論したテーマです。(詳しくは03年予算委議事録をお読みください) ◆もう一つの底流は、来年都議選を控えてオール与党の危機感から、都民要望やわが党政策をにわかにとり上げる傾向も生まれています。 *公共工事の単品スライド導入を、定例会前の委員会で異例の質疑で提案し検討を約束させた自民党。 *代表質問で突然、自民・公明が都営住宅建て替えで「2K」の設計中止を提案。都営住宅を敵視したり居住者に犠牲を押しつけてばかりいた態度を豹変させました。 *財政委で曽根が「単品スライドはもちろん全体スライド、インフレスライドも」と要求し検討を約束。都営住宅建替え問題も「2K問題」含め都議団として8・6申入れ。都は「今月中に結論」と回答。 ◆わが党は物価対策、後期高齢者医療制度廃止など都民要望を正面からぶつけました。 また、東北地震に機敏に対応して学校耐震化助成、知事公約を迫って子ども医療費助成の、2つの条例を提案。 ◆いずれも自民・民主・公明のオール与党に否決されましたが、与党は正当な条例案を否決する矛盾を糊塗するため、都の対応を質問で求め、都は答弁で「子ども医療費助成は、実現に向けて準備」「区市町村と協議する」と約束し、耐震補強には「新たに都独自支援策を早急に講じる」と前向き答弁せざるを得なくなりました。 ◆もちろん、石原知事がテコでもやらない30人学級、介護手当て、障害者負担軽減などは都民運動とともに実現を迫る決意です。 ◆実現の財源は、まだ使われずに都庁に眠っている2・9兆円の溜め込みがあれば、今後不況で税収減になっても都民福祉やくらし予算はまもれるし拡充も可能です。 石原知事先頭に「消費税を増税し地方によこせ」といいますが、とんでもありません。 ◆オリンピックをテコにした石原都政の浪費事業は、外環道、臨海部の巨大施設、都庁など大規模施設改修や建替えなど、これからが本格的。抜本見直しで財政は守れます。 (2)石原トップダウンのてんまつについて 今、私たちは、石原知事の3つのトップダウン問題を追及しています。 ◆第1は、知事が3年前に無理やりつくった新銀行です。 つくるときには中小企業を救うといって、都民の税金から1千億円投資しましたが、殆ど全部赤字で失ってしまい、今年の春あと400億円出してくれれば、倍にして返すといってこれも自民・公明をまきこんでごり押ししました。 *最近この銀行の融資リストに石原知事の息子や側近、銀行設立に賛成した都議などの口利きによるものが500件に及ぶという報道があり、実名も出始めました。彼らがなぜ400億円に賛成したり、民主党が反対しながら参考人に反対したのか、明らかになりつつあります。 *わが党は、銀行設立時に経営破たんの路線を無理やり押し付けた「ブリーフィング会議」の録音CDをつきつけて、厳しく追及し、都に事実上CDの内容を認めさせました。 *今度こそ追加した400億円が闇に消えてしまう前に都民の税金を取り戻し、知事の責任をさらに追及したいと思います。 ◆第2は、2016年オリンピック東京誘致キャンペーンを予算3倍に水ぶくれさせている問題です。 *東京都が全部金を出すからと、商店街の横断幕やのぼりを全部五輪マークにしてくれとか、都内の60以上の区市町村に1千万円ずつ、ポンと出す代わりにその金で何か東京五輪誘致にちなんだイベントをやってくれとか、こういうひも付き援助を押し付けられた関係者を戸惑わせています。北区では馬場商店街などきっぱり断る所も少なくない。 *というのも、肝心の都民のオリンピック誘致支持が昨年の6割から2割台に落ちてきて、マドリッドやシカゴ、リオデジャネイロなどに完全に水をあけられているのです。もはや断念を決断すべき段階です。 *誘致キャンペーンだけで150億円、さらに競技場建設に何千億円、関連する高速道路などで何兆円もの莫大な費用を使う前に、都民生活が、いったいオリンピック誘致で下り坂から脱出できるのか、知事が都庁のてっぺんから降りてきてちゃんと見てみろといいたい。 ◆第3に、都民の食べる海産物の卸売市場として世界一を誇る築地市場を、オリンピック施設整備のために、豊洲に移転させようとしている問題です。 *現場の業者などを無視して無理やり移転させるやりかたの問題とともに、移転先の豊洲に史上最悪の土壌汚染が見つかり、都の対策案では汚染はなくなりません。都民の食の安全より築地の跡地開発優先という石原知事の姿勢が都民の目にはっきり見えてきました *築地は、関係者の大多数が求める現地での再整備が、知事は難くせつけていますが技術的に可能だと共産党が解明しました。知事の無理おしさえなければ事態はすぐに打開できるのです。 *食の安全とまちの魚や・すし屋など中小業者を守る点でもぜひ皆様にご支援願いたいと思います。(8月20日3時から環境学会畑会長を招き、都議団主催で学習会を予定) ◆さすがにこれらの問題では、与党の自民・民主・公明に足並みの乱れが出て一部知事を批判したり反対し始めました。しかし都民の立場で断固追及する様子は見られません。 知事の恫喝にも動ぜず、暴走する石原都政から都民を守るには共産党13名が頑張りぬき、来年都議選でもっと議席を伸ばし、さらに役に立てる都議会での活動をしたいと決意しています。ご支援をお願いします。 ◆このほかにも、去年に続き今年も秋に三宅島復興と称してバイクレースイベントを計画。しかし昨年、タレントや有名レーサーの招待に莫大な費用かけるなど、殿様商売に島民はしらけきっている。真の復興の道を提起してたたかいます。 ◆横田基地解放を投げ捨て、米軍再編を真っ先に容認して、軍軍民共用化を推進してきたが、7回の話し合いで決裂。知事も「米軍は最初から民間機を入れるつもりなどない」などと開き直るしまつ。ならば「基地解放」公約放棄の責任を取らせましょう。 (3)石原都政の本質である新自由主義・市場原理主義の破綻が次つぎと明らかに。 ◆今まで自民・民主・公明などオール与党の全面協力で市場原理・コスト優先おしつけ路線がゆきづまり、修正余儀なくされてきました。いくつかの例を見ると・・。 ◆都立病院民営化路線・・・八王子・清瀬小児病院廃止はいまだに強行できず。としま病院も民営化できず区も引き受けず独法化に切り替え。駒込病院は、医療部門以外営利企業に任せる「PFI」への反対運動で2万の署名。 ◆都立大学廃止・独法化した「首都大学」は・・・3年たっても成果の宣伝できず大失敗。最初から知事は、世界的植物研究に「砂漠の乾燥に強い植物よりゴルフ場の芝の研究をしろ」という発言。言われた教授は都立大学廃止と闘い「これからよい大学に復活させる」と今も奮闘しています。 ◆上野動物園・・・直営を止め、3年前に園内の売店や雑誌しか経験ない動物園協会に丸投げ。飼育員の採用は低賃金短期契約。現都職員は「民間職員になるか都の事務部門に異動か」迫られている。 北区と同じぐらいの人口の旭山動物園に観客数で抜かされ、職員が以前から提案していた「行動展示」をやっと導入したが、動物を知らない設計者でちぐはぐ。子どもに触らせすぎて小動物が衰弱死するなど。「民営化は誤り。旭山のように直営にもどし根本から見直すべき」の声が出ている。 ◆営利企業まかせを防いだ東京都美術館・・・「PFI(建替えから長期管理運営までゼネコンに任せる)導入で全面建替え」の予定でしたが、利用団体が粘り強く交渉し、必要最小限の大規模改修に切り替え。するともうけがすくないせいか、PFIは立ち消えに。施設管理を民間企業に任せる一般入札も検討されたが、東京都美術館が「フェルメール展」など一流展示ができるのは、海外に信頼の厚い現館長のおかげで、企業任せは無理と判断し、歴史文化財団による安定運営の継続に。 ◆都の非正規職員の実態を解明・改革へ・・・都議会議事堂を清掃してきた東京都弘済会が全面撤退職員150人整理解雇。正規雇用では入札に勝てないため。都庁のアルバイトは、それよりさらに低い時給794円で、生活保護基準を300円も下回る。 ◆都税事務所では、年度末だけ申告用紙のコピー作業をコピー機会社に委託。委託先から人材派遣企業に。実際の作業は税務職員が指示しており偽装請負と二重派遣のダブル違法が恒例に。 これらは官製ワーキングプアが引き起こした違法。内部告発受けて都議団が質問で暴露。国に正式に提訴し、間もなく是正勧告。最大の要因は時給794円の公務員アルバイトでは人が確保できないこと。せめてアルバイト職員を時給1000円以上にと取り組み。 ◆交通局でもあまりの民営化に事故続発。都民サービスにも危機が迫っています。 オール与党の推進した市場原理主義の害悪を徹底してウミを出し、健全な都政運営体制を取り戻すため粘り強くたたかいます。 ◆最後に・・3つの柱の問題は、古い自民党政治の害悪と、新自由主義の害悪が、石原の右翼反動思想と結びついて激化したもの。 これと最後までたたかう政党の存在が欠かせないのは国政と全く同じ。 来年都議会での共産党躍進にお力を貸してください。 |