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はじめ通信8−5−11

シリーズ「この期に及んで?!」
<4>道路特定財源を一般財源化しても59兆円の中期計画はおろさない?!

●先月末、自民・公明によって衆議院の3分の2条項を使ってガソリン税の暫定税率復活が可決されましたが、さらに今月中旬には、道路整備財源特例法改定法案など10年間で59兆円という道路計画を固定的に推進していくための財源措置も再び衆議院の3分の2規定で可決されようとしています。

 ガソリンの税率復活で、ガソリンは原油高騰分も含めて一気に1リットル160円レベルまで値上がりしました。福田内閣は支持率を20%以下まで急落させ、これ以上の支持の低下を食い止めようと懸命です。そのために09年度には道路財源を一般財源化すると、閣議決定をして見せました。
 しかし一般財源化するのに、実際には今後の道路計画は降ろさない上、道路財源特例法など、それを裏付ける財源措置も継続させようと言うのですから、まったく矛盾していることは明らかです。

●福田首相が一般財源化の公約を打ち出した直後に、私たち都議団は、都の建設局の担当者から、道路財源の一般財源化の影響について聞き取りしました。
 右の表にあるように、東京都の道路関係費の殆どを占める道路橋梁費(この他に再開発と警視庁の交通費に若干道路費がある)2864億円のうち、国庫支出金877億円が国税による道路特定財源、都の一般財源のうちの498億円が都税による道路財源です。合計1375億円が特定道路財源で、道路費の約半分を占めています。

●ところが道路の予算には、このほかにも固定的な財源が含まれているのです。
 まず表の中央にある「その他の特定財源」がそれです。道路整備に伴って、関係自治体や法人から分担金などが入る場合や手数料などの収入で、300億円もあります。
 さらに「都債」があります。これは公共事業など建設関係予算について一定割合で借金が認められているもので、福祉や教育など経常予算には認められません。

●こうしてみると、他の分野と同じように、本当に都の一般財源から予算を取ってこなければならないのは、わずか450億円ということになります。
 またさらに、この中にもかなりの割合で都市計画税(都市計画決定された公園や道路に使う財源)を含んでおり、「本当に純粋の一般財源は、数十億円しか使っていませんよ」と、担当課長は自慢げに説明しました。

●「道路特定財源が一般財源化されたらどうなるのか」と聞くと「今後は福祉や教育などと予算の分捕り合戦になります」と、不安げに言いました。
 今まで、9割以上の財源がさまざまな形で固定的に保障されていた優遇状態から見れば、大きな不安があるのでしょうが、何のことはありません。やっとこれで他の事業と公平になるだけです。いや、これでもまだ都債発行分や都市計画税などの優遇財源ルートは残っているのです。 

●自民党などの道路族と呼ばれる議員らが、「一般財源化しても今まで通りの財源を確保しないと、道路補修も、開かずの踏み切り解消もできなくなる」などと叫んでいますが、実際にはこれまで道路財源のうち、道路補修や生活道路、交通安全対策や連続立体交差事業などに使われてきたのは1割程度であり、中期計画でもこの割合は変りません。
 一つ一つの立体交差や道路事業が都民に必要だと言うことをきちんと議会で審議しながら必要な予算を確保していけば、都民に必要な事業までストップするなどありえません。ムダ遣いを隠すために、誰が見ても役立っている事業を人質にとったようにして脅しつける、姑息なやり方はもう通用しません。

●一方で、59兆円の4割近い21兆円は、「渋滞解消」などの名目で、高速道路や高規格道路(大型幹線道路)に使われることになっており、高速道路の延長距離は、何と14000キロメートルと、4年前に9千3百キロまで絞り込んだはずの整備計画が(これ自体でもムダ遣いがかなり含まれていますが)、元のもくあみにされようとしているのです。
 この中には、石原知事が無理やり進めようとしている外郭環状道路も含まれていますが、2兆円近くかかる事業費を高速料金で回収できるわけがなく、赤字を税金で穴埋めすることになるのは確実です。
 こういうムダ遣いを復活させないためにも、都民の前で道路事業を、福祉や教育などと、真に公平な”分捕り合戦”をさせるところまで、道路財源の一般財源化を徹底させる必要があります。

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