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はじめ通信8−0112
革新都政をつくる会総会での都政報告( 2007・11・27 )
「いまこそ石原都政の終わりを早めるチャンス」

 私なりに、都政の現状と変化について報告します。
<1> 都知事選挙は偉大なレガシー(遺産)を残した
 まず、都知事選挙の結果については、石原知事の三選を許したとはいえ、私は大きな財産、今流行の言葉で言えば“レガシー(遺産)”を残したと思います。
 あの石原知事が、共産党と都民世論の「私物化を許すな」の包囲網で追いつめられ、「福祉を大切に」とか「中学生まで医療費を無料化」とか、「生活保護並みの生活に課税されている都民に減税」などと、これまでの態度を一転させて公約しました。
 選挙のあとは「公約の進化」だといって不十分な「低所得対策」にすり替えたり中学までの医療費無料化も先送りされましたが、しかし私はくやしまぎれでなく、大きな財産が残されたと感じています。主税局に何度聞いても「絶対無理」との返事だった都民税減税が、知事の決断で可能なことが証明されたのです。

 同時に都民減税には知事が恥を承知で公約撤回するだけの重大な意味があるんです。
 三月に60万人対象に50億円と発表された減税規模が、今年六月の通知で新たに課税や増税された人の分が増えたため、撤回直前の八月の試算では80万人への70億円の減税案に拡大していたのです。
 つまり石原知事の減税公約とは、老年者控除・年金控除などの廃止で非課税から課税もしくは増税になった高齢者はじめ“庶民増税”の一番の被害者を救済する制度であり、今後も国が庶民増税を強行すれば、そのつどこの減税が国の増税から都民を守ることになる、まさに自治体本来の使命である“国の悪政への防波堤”となるものなのです。
 だからこそ一人当たりの減税額は大したことはなくても、都民には大歓迎されたし、仕組みとして都政はもちろん他の道府県、そして区市町村にもおおきなインパクトをあたえずにはおかなかったでしょう。
 日本共産党は、低所得対策として生活応援手当てなどの給付策とともに、どうしてもこの減税を実現させるため、引き続きがんばりたいと思います。

<2>逆立ち都政の腕が折れそうだ
 もう一つの特徴は、都税収入を都民のくらしよりオリンピック招致をテコに大型開発やためこみに使っている“逆立ち都政”の(“逆立ち”ですから“両足”ではなく“両腕”で支えているわけですが)“腕”がもう折れそうだという点です。
 腕の一つは知事の言いなりで動かされている都庁幹部です。いまその幹部がワンマン都政で使い捨てみたいにされています。
 オリンピック招致本部に各局の優秀な幹部がどんどん集められています。60人ぐらいの半分近くが管理職という頭でっかちな組織ですが、休日に総出で街頭のオリンピック署名に駆りだされ、夕方に戻ってくる姿は、都庁の頭脳というべきそうそうたる人たちがすっかり疲れ果てていました。一方で予算編成時期に中枢の課長を引き抜かれて大混乱の局も出る始末です。都政新報が、兵力の逐次投入で全滅したガダルカナルみたいだと痛烈に皮肉った記事を載せたほどです。
 知事のツルの一声で創設した新銀行もいよいよ傾き、都の出資1千億円に対し928億円が消滅。民間から呼んだ頭取が病気を理由に辞めてしまい、前副知事に続いて送り込まれたのは現港湾局長です。きのう退職の挨拶に来ましたが悲愴な面持ちでにこりともしません。「ああ、民間さえ誰も乗らない沈み行く船の艦長はやっぱり港湾局長か」と妙に納得しました。
 力のある幹部を使い捨てにする石原都政はもう長くありません。
 【 年明けの現時点で補足すれば、逆立ち都政を支えるもうひとつの”腕”は豊富な都税収入でした。石原知事はこの余剰財源のおかげで、都民批判をかわしながら浪費につぎ込むことが可能でしたが、12月11日の知事と福田首相の都民無視の取引きで、地方税である法人事業税を国税化し都税収入3千億円を国に吸い上げさせる代わりにオリンピック関連の大型事業を認めさせる合意がされました。
 加えて景気は年明けから急速に悪化しており08年度後半には都税収入にもかげりが出てくる危険があります。オリンピックに大盤振る舞いを続けていたら、都民福祉に再び大きなしわよせが予想され、逆立ち都政への都民批判がさらに高まるでしょう。 】


<3>石原都政の最後のときを早めるチャンス!
 最後に、石原知事のワンマンとトップダウンの都政・・都政全体がそうなんですが、これがいよいよ破綻とゆきづまりに直面して、石原知事の最後のときが繰り上がる可能性が大いに出てきたということです。
 もともと石原氏は今期で知事を引退することを表明していますが、しかしこれから3年以上は待てないというのが心ある都民の実感ではないでしょうか。
 そのチャンスがたくさん用意されていると思うんです。最大の時期は、大方が予想している2016年東京オリンピック招致の失敗が確定する再来年の秋。すでに100億円規模の招致経費を使い今後さらにエスカレートしていく無駄遣いの責任は免れません。
 しかしそのもっと以前にも、新銀行の1000億円が消滅する時期が来るでしょう。一大都市の年間予算並みの財政を、いわばどぶに捨てることになった罪は深く、無傷で済ませるわけに行きません。
 知事が強引にすすめてきた築地市場の豊洲移転も風前の灯です。さらに深刻な汚染が発見されればアウトでしょう。これも用地取得と汚染対策で莫大なムダ遣いをしつつあります。何より自分の構想と引き換えに都民の食の安全を犠牲にした姿勢が厳しく問われます。
 米軍横田基地の全面返還を放棄しての軍民共用化も暗礁に乗り上げ、三宅島バイクレースも突っ張っているのは知事ぐらいです。
 とりわけ都立病院への民間企業の参入による医療の後退や、都営住宅制度改悪による居住者追い出し、家賃値上げなど、もうこれ以上石原都政を続けさせたら都民被害が取り返しのつかないことになりかねません。
 今度の議会に出される公害患者への医療費助成は、史上最悪の石原知事と、史上最悪の安倍内閣、史上最悪の大企業トヨタをすべて和解のテーブルにつかせた、東京公害裁判原告団の命がけのたたかいで勝ち取られたものです。
 たたかえば必ず未来がひらけることを確信に、いまこそ都民世論の力を結集して、知事の最後の時へのカウントダウンを繰り上げさせようではありませんか。

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