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はじめ通信7ー1028
07学力テストが残したもの//シリーズ4
格差を見せつけただけの残酷な「結果」

●足立で起きたことの検証に入る前に、全国テストの結果が発表され、反響が広がっている問題について触れる必要がありそうです。
 文科省が予定より一月以上遅れて都道府県別の成績を発表した翌日、たまたま父親の手術に立会うため札幌の実家に一泊したかみさんは北海道新聞(道新)の朝刊を見てびっくりしました。大きな横見出しで「学力テスト北海道は46位」とあったからです。思わずかみさんは全国の都道府県の数を数えたそうです。

●いっしょに購読している朝日新聞の見出しは全国共通の「知識の活用苦手」でしたから、道内で購読が7〜8割を占める「道新」の見出しの中に、北海道の「下から2番目」の衝撃の重さを痛感したそうです。47位は沖縄県でした。

●新聞記事の中で、文科省は、地域の経済格差や就学援助の割合で成績に差がある傾向を考慮して、そういう地域には教員配置を若干手厚くするなどの配慮を検討する見通しとかかれていました。
 さすがに足立の不正発覚の後であり、成績のよかった方に予算を増やすなどと言うよりはよっぽどましですが、この分析には重大な問題があります。

●北海道と沖縄が下位を占めたと同時に、小学校ではトップが秋田県、中学校では福井県であったように、地域や家庭の経済格差ということだけに原因を求めるのは安易すぎます。

●成績の背景に経済格差があるというなら、格差をうめるためには、地域の活性化と併せた抜本的な子育て全般の支援が必要なことは明らかです。
 同時に、過疎の中でこそ「橋や道路が遅れても」国に先駆けて小人数学級を実現し一人一人の子どもへの教育に力を入れて来た東北各県の好成績は偶然ではないはずだと思います。

●問題なのは、いっせいテストでなくても毎年のようにやってきた抽出テストで、こうした分析は十分可能なのに、まじめに分析してこなかった文科省が、いっせいテストの結果として、本格的な分析や対策も示さぬまま、成績の格差を他人のせいにするような発表をしたことです。
 
●私達は、全国の子どもや保護者を巻き込んで、不必要な全員参加型テストをやらせ、北海道や沖縄には経済格差の上に「教育格差」の絶望感を与え、しかも過疎でも頑張っている自治体の教育政策には一瞥もしない、こんな学力テストとその公表は、朝日の社説の言葉どおり「これならもういらない」と改めてきっぱり言わなければならないと思います。

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