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はじめ通信7−0607
2兆円越す史上最高利益あっても補償をケチるのか
5日からトヨタ前で昼夜通し座り込みの公害病患者を激励

●公害病への国や都の責任を認めた02年東京地裁判決以来、敗訴を認めた石原都政はじめ控訴した国や、免罪された被告の自動車メーカー相手に、公害病への医療保障制度を求め、たたかい続けてきた公害病原告団は、6月5日から最大の自動車メーカートヨタの本社前(後楽園)で、昼夜連続の座り込み行動に突入しました。
 私は6日の夕刻、地元の小竹都議とともに激励に行き、団長の西順司さんと固い握手を交わしました。

●02年秋の判決で、国とともに大気汚染公害を拡大する道路行政の責任を問われた石原都政は、控訴を断念し、大気汚染公害は社会問題であり、環境対策とともに何よりも患者の救済が急がれるという趣旨の見解も発表しました。
 しかし石原知事は、くれの定例都議会で「陳謝」したものの、原告の患者達へはおわびするどころか絶対会おうとせず、具体的な患者救済を拒み続けてきました。

●一方、訴訟原告団は、自動車メーカーが裁判では有罪とならなかったものの、公害規制が厳しい欧米には基準を満たした自動車を輸出しながら、国内では同じ価格で規制の甘い車を売り続けた理不尽なやり方を追及して、トヨタからは財政補償を検討する約束を取り付けてきました。

●こういう中で、昨年知事選を前に、私物化批判などで石原知事の支持率が下がりだすと、都は一転して患者救済の基金制度を提案。国が金を出せば都も出そうと言うものでした。
 ただし予想通り、タカ派の安倍政権はこれに対応する姿勢を示そうとはしません。関係者の中には「都もメーカーも、どうせ国は動かないだろうと高をくくっているんじゃないのか」という疑問の声さえささやかれました。

●そういう中で、最近になって、これまた支持率が急落した安倍内閣が、ついに医療保障に60億円の財政を出すと表明したのです。
 ともに弱者に冷たい史上最悪の都知事と、改憲派の最タカ派の政権を相手に、そのコワモテゆえのもろさをついて、患者さんたちの命を懸けたたたかいがついに実を結ぶ一歩手前まで来たのです。

●しかし、いざというときになってトヨタが、自動車メーカー全体で出せる金額を数億円と、超低額を提示してきたのです。
 原告団は、この期に及んで金を出し渋る自動車メーカーのモラルのなさ、あまりにけち臭さに激しく抗議し、5日から原告患者が交代しながらの連続座り込みに入りました。NHKはじめ多くの新聞テレビがこのたたかいに注目しています。

●小竹さんは、5日にも激励に訪ねていましたが、「手ぶらで行ってしまった」と悔やんでいましたので、「ぼくが荷物を運ぶから、何か果物でも差し入れしよう」と提案し、トヨタ本社の近くには商店がないので、少しはなれた真砂市場でスイカを買って切ってもらい、タクシーで駆けつけました。少し疲れた表情で座っていた原告団の方々の表情がほころぶのが手に取るように分かりました。

●せっかくなのでマイクで激励。
「皆さんの命がけのたたかいが、まずあの石原知事を動かしました。落ち込んでいた人気を回復しようと言う狙いがあったにせよ、そこを見事に突いて皆さんの要求に答えさせた力はすごい。
 さらに安倍政権もついに60億円の負担を約束した。これも支持率急落に追いつめられた上での参議院対策かもしれませんが、とうてい弱者に見向きをするとも思われなかった二人の支配者に言うことを聞かせたのは、たたかい続けていたからこその奇跡だと確信します。
 そして残ったのは、やっぱり最もたちの悪い財界の巨頭・トヨタでした。おととしの1兆円台から昨年は2兆円を越す天文学的な利益を上げながら、皆さんには数億円の超低額回答。補償を100倍に増やしたって痛くも痒くもないだけの儲けを上げている会社のこのけち臭さが、日本の大企業の底意地なんだとあらためて痛感させられます。
 しかし、このたたかいは何としても勝ってほしい。都議団も勝利の日まで全力で応援します。」

●気がつくと横断幕の端に、きょうまでに既に他界した原告患者の人数が121人と書かれ、幾度も張り替えられた跡がありました。もはや一刻も猶予はない。日々、犠牲者が増えているのだと実感しながらトヨタ前を後にしました。

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