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06-8-28はじめ通信
葛飾区の都議団ニュース配りへの不当逮捕による裁判の無罪判決が出され、弁護団の声明が出されました。

弁 護 団 声 明
           2006年8月28日

 本日、東京地方裁判所刑事第12部は,荒川庸生氏に対する住居侵入被告事件について、無罪判決を言い渡した(求刑罰金10万円)。
 無罪判決は、至極当然の結論である。しかし、いわゆる板橋高校事件・堀越事件・立川自衛隊官舎ビラ配布事件に見られたような,思想良心の自由・政治的言論の自由に対する締め付けを狙いとした「不当訴追」に対して裁判所が「不当判決」を以て追認するという悪しき風潮に流されることなく,良心に従った判決を下した東京地裁刑事第12部の勇気ある判断は率直に評価されるべきである。憲法21条1項が保障する言論の自由の重要性を明確にすることで,「憲法の番人」としての司法の役割が見事果たされたのである。
 そもそも本件は,民間分譲マンションの各戸ドアポストに日本共産党東京都議団・葛飾区議団が発行した議会報告等を投函した行為が住居侵入罪に該当するとして,見せしめ的な家宅捜索(押収物は全くない)と勾留延長を含む20日間の身柄拘束を経て,昨年一月11日に公判請求された事件である。
 1年半にわたる公判審理の中で,本件マンションにおいて日常的にボスティングが行われていた事実が明らかになる一方、ポスティングを断固排除する管理実態など存在しなかったことも浮き彫りとなった。
 さらに,公安警察・公安検察が,平穏なボスティングを行っていた荒川氏を咎めるなど日本共産党を快く思わない一住民による110番通報に便乗して私人による逮捕行為を仕立て上げるという,厳格たるべき逮捕勾留手続を骨抜きにする捜査手法を展開したことも明るみとなった。
 この無罪判決によって,ボスティングの犯罪化を通じた自由な言論活動の弾圧を目論んで,そのための手段を選ばないという公安警察・公安検察の姿勢もまた厳しく断罪されたと言うべきである。
 本件マンションでは,様々なビラ・チラシのボスティングが行われ,それを住民各自が自分の意思で取捨選択することで多様な情報を平穏に享受してきたのである。そのことを住民のエゴによって打ち破ることは許されず,ましてや一住民のエゴを利用して警察・検察権力が介入して特定の言論活動の弾圧を図ることなど言語道断である。
 本判決に対し,検察官が控訴することは断じて許されない。2006年8月28日を、真に言論の自由の輝かしい勝利の一日と出来るかは、ひとえに検察官による控訴を許さないことにかかっている。我々弁護団としては,今一度気を引き締めて,控訴阻止に向けた新たな闘いに臨む所存である。

                                        以 上

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