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はじめ通信6−1120
いじめと自殺の連鎖と行政の対応について

●金銭問題の子ども同士のいじめを報告せず隠していたと報道され、渦中で自殺した北九州の小学校長について、きょうTBSが「実は校長先生は金銭問題を隠していたのではなく解決に努力していたさなかに『いじめを隠していた』と報道され、自宅まで抗議が殺到して追いつめられていた」とレポートしました。

●いじめ隠しと騒がれたきっかけは、教育委員会の記者会見が「学校の対応は不適切だった」と校長に責任をかぶせる内容だったことにあります。これを受けて、校長が自分で全ての責任をかぶってしまう形になったのは確かです。

●しかしこの校長は、前任校時代も長靴を履いて子どもと一緒に作業していたので長靴校長とあだ名がついて親しまれた人物だったと言われ、なくなった直後の学芸会で、たまたま生前に吹き込んだ「仲間はみんな仲良く」という校長のせりふが流れると、子どもや保護者が涙ぐんだというエピソードも紹介されました。

●先日、子どもの小学校時代にお世話になった北区の校長OBと、周年行事でお会いしましたが、最近の「いじめ隠し」報道とバッシングについて、「いやあ、あんなに厳しく非難されたら先生はみんな参っちゃいますよ」と嘆いていました。
 「今、教師のことばが子どもを傷つけていなかったかなどと100項目ぐらいの自己点検をせまられてますけど、若い教員達は、それでなくとも夜8時9時まで翌日の準備や、書類の整理でおわれて疲れ果てているんですから」と訴えました。
 そして私がナルホドと思ったのは、「私だって内心反省はいっぱいあります。けれど悔いが残るのは、自分の言葉で子どもを傷つけたのではなく、クラスの誰かを世話している間に『あの子は大丈夫』と思って手をかけられなかった子どもを残したときですよ」という話でした。

●つい最近、外国の教育者が、いじめは起こりうるという前提に立たなければだめ。起きたときに全力で解決できる準備こそ大切という話をしている番組があったが、周年行事での校長OBの方の話とダブって聞こえます。
 東京の、クラスに40人まで詰め込まれる非人間的学習環境で、ことは解決されるのか・・・。私も目撃しましたが、前列の6人ぐらいが全て問題児で絶えず動き回り、そのほかに日本語もままならない帰国子女や外国からの子どもがいて、一番後ろの子どもには、どう見ても担任の目は届ききれていない実態がすくなからぬ学級で日々続いているという現実を、多くの人に知ってほしい。

●いま、政府や多くの教育委員会がやっているのは、こんな学校の子ども達や現場教師の悲鳴が聞こえないふりをしながら、上からの方針や教育内容への干渉・介入まで押し付けようとする動きが目立ちすぎるのではないでしょうか。
 教育基本法の改定方向もまた、学校の裁量を認めるよりも、政府の方針を学校運営や教育内容にまで徹底していく方向です。
 こんなことでいじめやそれを苦にした自殺が減るとは、とうてい思えないのです。

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