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はじめ通信6−0606
●首都高速鰍ェ、5月12日付で堀船水害の最終報告を発表しました。
 実際に都がこれを受け取ったのが6月になってからで、時間がかかったのは、「原因評価」の表現について都が必ずしも会社の報告を了解していないのが理由だそうです。結局多少の調整はしたものの、この内容で会社は報告書を出し、これに対して都側が6月中にコメントを発表するそうです。
●いま、会社は約束した補償について個別に交渉を始めているようですが,都にはまだ合意に達した報告は着ていないそうです。基準は一応決まったものの、個別の被害の算定には時間がかかるのと、それぞれのお宅が交渉について全体の情報をかならずしも得られていないため、足踏みしているケースが多いと考えられます。
●会社の責任について、この報告書で認めた点と、間もなく出される都の意見は、交渉の参考にもなると考えられますので、発表され次第お知らせします。

平成17年9月4日石神井川水害に関する
  調査報告書(最終)

平成18年5月12日

首都高速道路株式会社


1.構造概要

(1)工事概要
 首都高速王子線整備に伴い、王子・喝船地区において、高速道路工事と同時に石神井川の線形を変える河川改修工事(護岸改修工事)と溝田橋の架替え工事が必要となっている。現在までに、石神井川飛鳥山トンネルから溝田橋付近の約350mのコンクリート護岸がほぼ完成している。なお、高速道路本線については、平成14年12月に開通している。
 現在、コンクリート護岸が完成した下流部から溝田橋付近を含む残りの区間の護岸改修工事、溝田橋架替えエ事(準備段階である地下埋設物移設工事を実施中)を進めており、これらのエ事が完了する頃から、王子南出入口工事に着手することとなる。
 高速道路と石神井川が縦断的に競合し、旧石神井川の河道内に高速道路の橋脚が設置されるため、河川改修工事を実施するには、石神井川のスムースな流れと一定の河積を確保する必要がある。
 そこで、エ事中において、1時間50mmの降雨における計画高水量(480m/秒)において最高水位を確認するための水理実験を行っており、各工事段階において、旧護岸や将来護岸(改修されるコンクリート護岸)の高さ以上に水位が上昇することが確認されている。
 そのため、旧護岸部においては嵩上げ仮設護岸とすること、護岸改修するコンクリート護岸部においては築造時に打設される鋼管矢板の天端高さを水理実験で確認された水位高以上となる仮設高さとすることとし、東京都との協議を行っている。

(2)石神井川付け替え協議の経緯(表示)

(3)嵩上げ護岸施エに関わる経緯

(資料1.1〜3参照)
1)嵩上げ護岸施工に関わる経緯

 河川法20条申請において、石神井J肘寸け替えの水理模型実験結果から、施工中の仮設護岸について、背面鋼管矢板を必要高さ確保したうえでの施工条件を付されたが、承認(平成11年1月)後、首都公団(当時)において、嵩上げ護岸により仮設護岸高さを確保する方法が建設コスト上、有利と判断した。その結果、平成11年6月、背面鋼管矢板を低く打設すること及び平成14年10月覆工受け桁のH形鋼を転用することにより嵩上げ護岸の施工を実施した。
 また、今回破損箇所以外についても、H鋼支柱及び鉄板により、嵩上げ護岸を順次施工した。

2)石神井川 三井JV工区(その4) 嵩上げ護岸について
・工事概要:既設護岸底版・杭撤去・新底版構築、既設護岸(左岸部)背面の鋼管矢板撤去、嵩上げ護岸設置工(164m)
・嵩上げ護岸設置内訳:左岸‘124m(Aタイプ:59m、Bタイプ:60.6m、Cタイプ:4.8m)と右岸40m(Bタイプ:40m)
 (A:H=0,9m〜1.3m、B:H=0.3m〜0.9m、C:H=0.Om〜0.3m)
・工事期間:平成14年11月12日から平成15年10月7日まで(310日)

3)石神井川 三井JV工区(その5) 嵩上げ護岸について
・工事概要:Ul〜5:新設護岸(右岸)の構築、護岸前面の鋼管杭(整流鉄板工)の設置・撤去、鋼管杭撤去工、嵩上げ護岸設置(105m)
・嵩上げ護岸設置内訳:左岸9.1m(Bタイプ:9.1m)、右岸95.9m(Aタイプ:63.7m、Bタイプ:26.4m、Cタイプ:5.4m)
・工事期間:平成15年9月23日から平成18年10月6日まで(1110日間)

4)石神井川 清水JV工区(その4) 鋼管矢板について
・工事概要:U13〜∪20新設護岸(右岸)の構築、護岸前面及び背面の鋼管杭の設置・撤去、既設護岸(右岸)撤去、桟橋撤去、及び高速基礎3基の施工
・平成11年6月、U13〜23既設護岸(左岸)撤去、背面の土砂撤去、整流鉄板工(鋼管杭前面)の追加、護岸背面の鋼管矢板天端高さをAP+6.5mからAP+4.Omに変更

工事期間:平成11年3月13日から平成14年2月24日まで(1080日間)

5)石神井川 清水JVエ区(その4の2)嵩上げ護岸について
・工事概要:U13〜20鋼管矢板の撤去、桟橋撤去、既設護岸の撤去及び高速基礎3基の施工
・H形鋼嵩上げ護岸設置エ(139m)の追加    (資料1.4参照)
・工事期間:平成14年4月1日から平成16年2月19日まで(690日間)

(4)嵩上げ護岸の高さ

1)水理模型実験             (資料1.5〜1.7参照)
 32.5分の1の模型により、施工条件を合わせた河道形態に対し、石神井川の計画高水量(480m/秒相当)を流下させたときに発生した水位を調査している。

2)嵩上げ護岸高さ        (資料1.8、資料1.4(2)参照)
 今回の破損箇所の嵩上げ護岸高さは、AP+6.7mとなっているが、これは、水理実験上発生した水位を満足するよう設定したAP+6.5mにさらに余裕を持った高さとなっている。

(5)嵩上げ護岸の構造

1)アンカーボルトの設計計算の考え方
設計の考え方は、以下のように考えた。
(資料1,9参照)
・AP+6.5mの水位に対し安全となるよう考えた
・90cm高の鋼材に水圧が作用するものとして設計
・鋼材の定着はM12アンカーボルトを1.5mピッチで2本ずつ配置

2)アンカーボルトの状況            (資料1.10参照)
 アンカーボルトは径12mmの打ち込み式アンカーボルトで、埋め込み(雌ねじアンカー)長50mmと雄ねじボルト80mmより構成されたボルトである。


(2)水害発生の経緯

 北区堀船1〜2丁目の石神井Jll護岸改修事業は、弊社が首都高速道路建設のため、河川法20条に基づき河川管理者である東京都に申請し承認を受けて整備を進めている。
 前記の集中豪雨により、当該区域では河川水位が急激に上昇し、仮設護岸天端付近まで達し(計画高水量の480m/s を超える流量となったものと推測される)、仮設護岸の一部が落下、出水し、堀船地区において都道及び近隣家屋が浸水した。

  ○日時:平成17年9月4日(日)22時25分頃(推定)
  ○場所:北区堀船1丁目(溝田橋より上流側右岸約90m付近)
  ○災害内容
    一溝田橋上流右岸に弊社で設置した仮設護岸(T型鋼:高さ 90cm)
    が延長約33m破損。(護岸から落下:延長18.2m、護岸上のずれ:延長14.5m)
   ・破損した仮設護岸部分から出水したことにより、明治通り、付属3号線等の街路や近隣民家などが浸水。

(3)被害状況
   ・堀船1〜3丁目において、民家、事務所、車両等が浸水被害。
    床上浸水:133棟、床下浸水:253棟(9月13日15:00現在:北区調査)

  **表2.2 地区別浸水被害**

地 区    床上浸水   床下浸水   計
堀船一丁目 83棟    92棟  175棟
堀船二丁目 34棟    64棟   98棟
堀船三丁目 16棟    97棟  113棟
 計    133棟   253棟  386棟



3.水害に対する対応

(1)現場での対応

9月4日

  22:25 白石・東鉄 溝田橋架管下部,石神井川付替え建設工事JV(以下「JV」という。)の現場代理人がJVの警備員より石神井川の水位上昇の報告を受ける。
 
  23:25 JV現場代理人が、首都高速道路の工事第五G総括Mに明治通り、石神井川脇の道路(付属街路3号線)が冠水してしいることを報告。

  23:35 工事第五G総括Mが建設管理第ニG担当Mに明治通り、付属街路3号線が冠水していることを報告。

9月5日

  0:50  JV監理技術者が北区河川管理課へ状況報告「23:00頃石神井川の水位がAP+6.7m、明治通り及び付属街路3号線冠水。0:50石神井川の水位がAP+3.5m」した。

  1:30  建設管理第二G担当MがJV現場代理人に状況聴取し、石神井川護岸嵩上げ部破損と明治通り及び付属街路3号の復旧作業に入ることについての報告を受けた。

  2:00  建設管理第二G担当相が建設管理等ニG総括Mへ、石神井川護岸嵩上げ部破損と明治通り及び付属街路3号の復旧作業に入ることについて報告。

  2:20  都河川部防災課長よりJVへ電話連絡あり、状況の聴取があった。JV職員より破損と復旧について説明。

  3:00  明治通りの道路清掃開始、5:00道路清掃完了。

 9:30頃  工事第五G職員3名が現場状況、復旧状況確認。
        建設管理第ニGから都河川部改修課宛FAXにて状況報告。

 13:00  付足街路3号線の道路清掃完了。


  ※ 首都高の組織及び役職(G:グループ、M:マネージャー)

(2)関係機関への対応

 (北 区)
@平成17年9月5日(月)13:45〜
 ・<北区まちづくり部>まちづくり部長他に
 「仮設護岸破損状況と復旧方法」を説明
  :エ事第五G総括M他

A平成17年9月7日(火)10:30〜
 ・<北区まちづくり部>まちづくり部長他に
 「仮設護岸破損状況」を説明
  :エ事第五G総括M他

B平成17年10月17日(月)13:30〜
 ・<北区議会交通環境対策特別委員会>委員11名に
 「石神井川仮設護岸破損に伴う水害対応状況」を説明、質疑応答
 :担当部長、建設管理第ニG総括M、調査環境第二総括M、設計第二総括M、エ事第五G総括M他

C平成18年2月22日(水)14:00〜
 ・<北区議会交通環境対策特別委員会>委員11名に
 都に提出した「調査報告書」について説明し、質疑応答
 :担当部長、建設管理第二G総括M、設計第二総括M、エ事第五G総括M他

(東京都)

@平成17年9月5日(月)9:30
 ・建設局河川部改修課に「集中豪雨に伴う石神井川仮設護岸破損と現地状
  況、対応経緯」をFAX送付
  :建設管理第二G総括M

A平成17年9月5日(月)11:30〜13:00
 ・<石神井川溢水箇所現地視察>建設局次長、第六建設事務所長他
  「降雨による石神井川の水位上昇状況と仮設護岸破損状況」を説明
 :工事第五G総括M他

B平成17年9月5日(月)13:00〜14:00
 ・<建設局道路建設部、河川部>建設局道路建設部及び河川部に「被害状
 況報告、応急復旧、緊急連絡体制」を説明
  :担当部長他

C平成17年9月6日(火)10:00〜
 ・<第六建設事務所>第六建設事務所副所長他に

 「仮設護岸破損状況」を説明
 :エ事第五G総括M他

D平成17年9月13日(火)9:00〜11:00
 ・<建設局河川部>建設局河川部計画課長他に
 「石神井川仮設護岸損傷に関する対応」について協議
 :建設管理第二G総括M他

E平成17年9月28日(水)13‥00〜15:00
 ・<東京都会議室等>建設局河川部他に
 「石神井川仮設護岸に関する地元説明、仮設護岸破損の発生と被害状況」説明
  9月28日以降「石神井川仮設護岸の破損について」報告
  =建設管理第二G総括M、設計第二G総括M、工事第五G総括M他

F平成17年12月22日(木)14:00〜15:00
 ・<建設局河川部>建設局河川部長他に
 現時点における調査報告として「平成17年9月4日石神井川水害に関
  する調査報告書」を提出
  ‥担当部長、設計第二G総括M他

G平成18年1月19日(木)9:30〜12:00
 ・<石神井川現場確認>建設局河川部、都六建
 仮設護岸(T型)補強構造の確認及び全体確認
  補強構造の出来型資料、写真等の確認並びに現地での補強状況確認
 :建設管理第ニG総括M、設計第二G総括M、、工事第五G総括M他

H平成18年3月14日(木)13:30〜15:30
 ・<建設局河川部>建設局河川部、都六建
 水防計画の見直しについて説明
  ‥建設管理第二G総括M、エ事第五G総括M他

(3)地元への対応

 @平成17年9月5日(月)19:00〜
 ・<堀船振興会館>堀船連合町会(堀船1丁目会長、堀船2丁目会長、
  堀船3丁目会長)に「仮設護岸破損状況」の説明とお詫び
   :工事第五Gエ事長、JV現場代理人
 ・<堀船1丁目会館>堀船1丁目町会長他に説明
  :担当部長、エ事第五G総括M

 A平成17年9月6日(火)13:30〜
 ・町会長(堀船1丁目会長、堀船2丁目会長、堀船3丁目会長)と一緒に、
   堀船1丁目から3丁目の被害状況の確認。

  :担当部長、建設管理第二G担当M、エ事第五G総括M、工事長

B「9.4堀船地区水害対策協議会住民説明会(第1回)」
  日 時:平成17年9月15日(水)18:30-20:30
  場 所:区立堀船小学校体育館
 出席者:堀船地区住民(約300名)、都議、区議、北区、都、首都高
 「今後、関係機関と調整し、誠意ある対応をする」と説明

C平成17年9月22日(木)19:00〜20:00
 ・<堀船振興会館>対策協議会(連合町会長他 約20名)に
 「石神井川の出水被災lニ対する公団の対応(未曾有の集中豪雨、仮設護岸破損に伴う見舞金等)」について説明
  :担当部長、建設管理第二G総括M、エ事第五G総括M他

D「9.4堀船地区水害対策協議会住民説明会(第二回)」
  日 時:平成17年10月8日(土)18:00〜20:00
 場 所‥区立堀船小学校体育館
 出席者:堀船地区住民(約100名)、都議、区議、北区、首都高
 「被災された方には見舞金として、一定の責用を負担する。(床下浸水は、一律のお見舞金。床上浸水は一定の費用を負担)」と説明

E平成17年10月23日(日)10:00〜11:00
 ・<堀船1丁目会館>対策協議会(会長他8名)に「お貞舞金及び一定の責用負担について」を説明
   :局長、担当部長、建設管理第二G総括M、工事第五G総括M他

F平成17年11月2日(水)18:00〜20:00
  β<堀船1丁目会館>対策協議会(林会長他8名)に「お見舞いと被害調査」について11月9日から実施することを説明
   :局長、担当部長、建設管理第ニG総括M、工事第五G総括M他

G平成17年11月9日、10日
 被災された方へのお見舞い、被災調査票を配布

H平成17年11月16日〜
 被災調査票(315枚)を回収

I平成18年1月17日(火)14:00〜15:40
 ・<堀船1丁目会館>対策協議会(林会長他8名)に、今後の費用負担についての検討状況報告と今後の調整内容について説明
  :担当部長、建設管理第二G総括M、エ事第五G総括M他

J平成18年2月8日(水)18:30〜20:30
 ・<堀船1丁目会館>対策協議会(林会長他3名)に、一定の費用負担についての考え方を説明し、一部具体的な内容を提示
   :担当部長、建設管理第二G総括M、エ事第五G総括M他

K平成18年2月16日(木) 9:00〜11:30
 ・<堀船1丁目会館>対策協議会(林会長他8名、区議2名)に、一定の章用負担についての具体的な内容を事例とともに提示(現時点での責用負担の考え方と負担に対する金額を提示)
   :担当部長、建設管理第二G総括M、エ事第五G総括M他

L平成18年3月13日(月)18:30〜21:00
  <堀船1丁目会館>対策協議会(林会長他4名)に、被害に対する相当の費用負担の考え方を提示し、ほぼ合意に達する
   :担当部長、建設管理第二G総括M他

M平成18年3月16日(木)18:30〜21:00
 ・<堀船1丁目会館>対策協議会(林会長他5名)に、
 補償に関する確認書案を提示。合意の方向を確認
   :担当部長、建設管理第ニG総括M、エ事第五G総括M他

N平成18年3月22日(水)18:30〜21:00
  <堀船1丁目会館>対策協議会(林会長他5名)に、
 補償に関する確認書案の内容についての調整、確認
   :局長、担当部長、建設管理第二G総括M、エ事第五G総括M他

O平成18年3月24日(金>10:00〜
 ・9.4堀船地区水害対策協議会主催の第3回住民説明会の案内状の配布

P「9.4堀船地区水害対策協議会住民説明会(第3回)」
 日 時:平成18年3月30日(木)19:00〜20:30
 場 所:読売新聞北工場会議室
 出席者:堀船地区住民(約180名)、都議、区議、北区、都、首都高
 「水害発生に対するお詫びと『石神井川水害に関する補償について確認書(案)』の内容の説明」            (資料3.1参照)

Q平成18年3月31日(金)11:30〜13:00
 ・<堀船1丁目会館>対策協言義会(林会長他8名)に、
 「石神井川水害に関する補償についての確認書」の締結
   :局長、担当部長他     (資料3.2(1)〜(3)参照)

I平成18年4月7日(金)〜
 被災された方への補償交渉開始

4.水害の原因

(1)水害の発生状況

 工事概要で記したように、王子駅南口より明治通り芦田橋付近までの石神井川は、首都高速王子線整備に伴い、河川改修工事及び溝田橋架替えエ事が必要となり、現在まで溝田橋より上流区間を中心に河川改修工事を実施している。

  この旧石神井川は、河道内に王子線の橋脚を設置するエ事中において、1時間50mmの降雨(計画流量480m3/秒)に対し、スムースな流れと河積を確保する必要があった。そのため、水理実験を実施し、最高水位の変化を確
 認するとともに、工事中において必要な護岸(仮設護岸)高さを設定している。

  この水理実験の結果を反映し、背面の鋼管矢板によって必要な護岸高さを確保するとして、東京都との協議を実施した。その後、公団として、その仮設高さを確保するため、鋼管矢板に替わり、H形鋼を転用した嵩上げ護岸構造を採
 用し、施エしている。
  そのような中、平成17年9月4日夜から5日未明にかけ、東京西部において集中豪雨があり、弊社(旧首都高速道路公団)が設置した嵩上げ護岸(H形鋼)の一部が落下、出水し、堀船地区において、家屋、店舗等へ浸水被害を発
 生させた。

(2)仮設護岸落下の原因

  平成17年12月14日に外部有識者による「石神井川水害に関する調査委員会」を設置し、原因の究明を行った。解析、実験による調査結果は、以下の通りである。(資料4.1参照)

@ 水理解析の結果によれば、仮設護岸損壊時に仮設護岸(H形鋼)に作用した水圧は最大約1.43KN/m(水深0.54m:A.P.+6.34m)であり、設計時に想定した水圧(6.OKN/m)に比べ非常に小さいことがわかった。

A 載荷試験においては、アンカーボルトは設計荷重以下では破断せず、耐力はメーカー保証値以上の結果となった。

B 錆の主要結晶成分を分析した結果、採取できたアンカーボルトの全ての破断面から初期に発生した錆が変質した錆(Goethite:α-FeOOH、Magnetite:Fe30.)が確認された。この錆の発生には、環境条件にもよるが、一般には年単位の長期間を必要とする。

C 水害当日に現場で回収したアンカーボルト(雄ねじ)の調査結果では、錆の成分が全てα−Fe20。で構成されていたと仮定すると、Feと0の原子量の比から錆中Fe量が計算され、この量をFeの腐食減量と仮定すると、東京地区での大気暴露条件で、錆の生成された期間と.して約2年という数値が得られ、月単位の短期間に生成されたものではないと考えられた。             (資料4.2参照)

D B、Cの成分分析結果に加え、錆の厚さの測定結果等から、仮設護岸損壊時に確実に有効であったアンカーボルトは確認できなかった。

 これらにより、平成17年9月4日増水時の仮設護岸損壊原因の推定は、以下の通りである。

 ・平成17年9月4日増水時に仮設護岸が損壊したのは、アンカーボルトの詳細調査結果等から、当日以前にほとん  どのアンカーボルトが破断していたことが原因と考えられた。
 ・そして、平成17年9月以前にアンカーボルトが破断したメカニズムとしては、

  @平成15年6月の増水により水圧が整流板に作用し、この力が整流板と接続していた第1ブロックのH形鋼に伝   達し、その変形に伴い第1ブロックのアンカーボルトが破断した。
  AH形鋼の温度伸縮に伴い発生した拘束力により、アンカーボルトが破断した。

  が考えられた。また、@の整流板の影響以前に、温度変化の影響で、アンカーボルトが既に破断していた可能性も あり得る。

 以上のことから、首都高速道路鰍ニして、水害を発生させた直接的原因は、仮設護岸のH形鋼を取り付けていたアンカーボルトが9月4日当日には、ほとんどが破断していたためと考えている。

5.再発防止対策

(1)水害の原因評価

  前記のように、仮設護岸落下等の原因は、水害当日以前にアンカーボルトが破断していたことによる。さらに、『未経験の構造形式を仮設護岸とはいえ極めて重要な河川構造物に採用したことが事故の遠因であるといわざるを得ない』と委員会報告書の課題・提言において言及されている。これは、エ事中に必要となった仮設護岸の構造検討段階等における河川管理者との十分な調整及び仮設護岸設置後の定期的な点検等の維持管理が徹底されていれば、水害を未然に防げた可能性があったと考えている。
  このため、今後の河川改修工事を進めるに際し、河川管理者である東京都との協議及び指導、監督にもとづき、水防に関わる見直し、仮設護岸の補強・点検を実施する。

(2)具体的な対応

1)仮設護岸の補強  (資料5.1参照)
・H形鋼による嵩上げ部は、アンカーボルトでコンクリート護岸に取付けていたが、今回の水害を踏まえ、再発防止のため、控え材を追加することにより補強を実施した。
・日鋼支柱及び鋼板による嵩上げ部についても、同様に、控え材を追加することにより補強することとした。現在、渇水期までに完了させるべく補強工事を実施中である。

2)水防に関わる見直し
  今回の事故発生時の対応について、問題点を抽出し、より的確な水防に関わる見直しを図っている。

@9月4日水害発生時の対応における問題点
・河川法20条の申請・承認により、指示させた水防計画書は、東京都第六建設事務所及び北区役所に提出している。
・当日の「首都高速板橋足立線新設工事に伴う石神井川関連工事の水防計画」(平成17年度)に基づく、エ事請負者及び首都高速道路(株)の対応(休工日の場合)における問題点は以下のとおりであった。

ア) テレビ・ラジオ・電話により気象情報を早期に入手することになっていたが、情報入手が出来ていなかったため、現場巡視をしている警備員に「河川水位の状況確認をすること。」という連絡が出来なかった。
イ) 大雨洪水雷注意報が発令され、河川内水位が著しくなった場合には、第一報を首都高速職員の自宅へ連絡することとなっていたが、大雨洪水雷注意報の発令状況が確認出来ていなかったため、連絡が遅れた。
ウ) 量水標により、水位観測を行い、水位状況について首都高速に連絡することとなっていたが、急激な水位上昇及び現場職員不在のため、水位観測が随時出来なかった。

A水防計画書の見直し

・現行の水防体制に、首都高速道路(株)の水防態勢表及び水防組織表を追加した。
(資料5.2〜5.5参照)

・上記@を踏まえ、大雨洪水注意報、警報が発令され、被害の発生が予想される場合には、作業員及び近傍の住民にいち早く、河川水位状況を知らせるため、水位感知器を設置することとした。なお、この水位感知器については、「電話応答装置にて水位警戒値を関係機関に通報する装置とすること等」について、関係機関と調整中である。      (資料5.6参照)

・上記@を踏まえ、通常勤務時間外(平日夜間、休日昼夜間)において、大雨洪水注意報、警報が発令された場合、いち早く気象情報を入手し、指示・連絡を取れるようにした。

・上記の平成17年度水防計画書に記載された現行の水防計画区域(エ事実施箇所)をエ事実施区域に限定せず、20条申請全体区域(護岸完成区域+工事実施区域)とし、請負業者の実施すべき管理(点検)区域を追加した。     (資料5.7参照)

・水防用資機材のうち、土のう袋に加え、土のう袋に詰める材料(砂)を常時確保するこことした。

3)仮設護岸の点検

  仮設護岸については、今後、定期的に点検を実施し、その機能が確実に維持されていることを確認する。
  (資料5.8参照)

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