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はじめ通信・05勝利めざして5−726

都立中高一貫校の対象となる小石川高校OB有志が「つくる会」教科書採択ストップのためアピール

●7月25日、都教委に対し、都立中高一貫校の対象4校のOB有志が、要望を提出し、交渉を行ないました。
 例によって、都教委側は情報課長しか出てきませんでしたが、我が母校の小石川高校の卒業生有志も、以下のような文章を、島田さんが代表して提出しました。
 北区でも、私をはじめ木元区議、石山たみお元区議など、小石川や五中出身者は各界にいますので、広く声をかけて、有志の会を立ち上げ、「つくる会」教科書の採択に反対するとともに、採用されたとしても、学校でのそれを使った歴史捻じ曲げの授業を許さないあらゆるたたかいを粘り強く進めて行きたいと思います。

●教科書を決める都教委が、当初は8月とも言われていましたが、都内の採択に影響を与えようと言う意図からか、7月中の採択に前倒しをすることが明らかにされました。事態は緊急を要しています。
 以下に、25日に提出したアピール文を紹介します。

小石川中高一貫校の教科書採択に関して東京都教育委員会への要望

 小石川高校の建学の理念と校風の伝統を尊重して下さい

          府立五中・小石川高校卒業生・元教職員有志及び賛同者

 東京都教育委員会は、来年度に発足する小石川高校付属中学校および他のすべての都立中高一貫校に対して、歴史・公民の扶桑社版教科書をはじめとして、いっさいの教科書を押しつけないでください。
 小石川高校は、前身の東京府立五中初代校長伊藤長七先生による「立志・開拓・創作」の建学理念に立って、戦前・戦中と「自由・自治の全人教育」の基本方針をつらぬき、戦後は憲法・教育基本法のもとで現代的な発展に努力しつつ今日にいたった学校です。
 校則がなく、毎週一日を自治の日とした大正期の新教育の校風は、戦時下にも生徒の意欲的な科学研究と文芸創作を生み、その成果は生徒の編集した年刊誌『開拓』に収録されています。定期試験最終日には教師と生徒がサッカーの対抗試合を楽しみ、戦時にあっても学校をあげて、世界のスポーツ文化を享受していました。
 また「天才は中学生ではまだ決まらない」として英才教育を否定した、伊藤長七校長いらいの厳しい教科教育の校風は、今日まで学校の伝統として教師達によって引き継がれてきました。そして自由・自治の生徒の活動は、厳格な教科数育と教師達の援助に支えられ、毎年の「創作展」や他校交流などで今も表現されているところです。時代や学制の変化をこえて脈々と伝わるこの自治の精神は、誰にも押しとどめることはできません。
 ところが、今年度に発足した白鴎高校付属中学校の例を見ると、東京都教育委員会は、誇りある歴史と伝統を引き継ぐ白鴎高校の生徒と教職員、卒業生連の要望や意見に耳を傾けずこ扶桑社版の歴史・公民教科書をはじめ
として、全教科の教科書を押しつけたと聞きます。
 なかでも扶桑社版の両教科書は、太平洋戦争の美化をはじめとして、わが国が近現代において近隣諸国に対して行なった武力侵略と植民地政策、また国民の運動への抑圧など、重要な事項の欠落や史実をまげた叙述が多数にのぼり、とくに明治憲法の絶対主義的な構造と、日本国憲法の基本的人権保障に関する学習内容が欠落し、改憲を正当化する内容が強調されて、教育基本法が要請する真実に立脚した基礎学習として、まったく不適当です。
 近隣諸国をはじめ国際社会とかかわる教養として、後期中等教育や高等教育を受ける上でも問題です。
 白鴎高校についで、芥川龍之助や堀辰雄、立原道造などの優れた近代作家を輩出した両国高校の付属中学校に対して、また都立大付属高校に対して、扶桑社版教科書が押しつけられる恐れがあると聞いています。
 教科書の選定に関する東京都教育委員会の責務は、特定出版社の問題のある歴史・公民教科書の販売増に努めることにあるのでしょうか。それとも各学校の独自性を重んじ、生徒の基礎学力の育成に取り組む教職員の要望に応え、父母や卒業生、都民に納得のいく学校運営を保障することにあるのでしょうか。
 東京都教育委員会は、中高一貫校への特定教科書の押しつけをやめ、次の三項を実施されるよう要請します。

1 中高一貫校の教科書採択には各校の伝統を受け継ぐ立場から、現在の各学校教職員の意見を尊重すること。

2 すでに採択教科書を決定した中高一貫校については、その学校の建学理念と伝統に照らして再検討を行い、あらためて教職員の意見を聴取、尊重して、再度決定し直すこと。

3 中高一貫校の教職員異動に関しては、6年異動の原則にこだわらず生徒の利益に資する措置をとること。

     2005年7月20日  府立五中・小石川高校卒叢生・元教職員有志及び賛同者一同

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